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鼻の手術をしたのです

今回は、個人的な話題です〜

わたくし、ここのところSNSに表れずにいたのは、鼻の手術をして入院していたからなのでありました。

東京の慈恵医大附属病院で手術をしていただきました。

東京だと、耳鼻科は「慈恵医大附属病院」か「神尾記念病院」が歴史ある系のツートップらしいです。

どちらも人気のある病院なので手術の予約を取るだけでもなかなか大変らしく、私が治療を受けている慈恵医大附属病院では、緊急を要する場合以外は、内視鏡手術のみでも最低3ヶ月待ち、だいたい半年以上待ちで、私の治療の術式のものだと1〜1.5年待ちだと言われました。

が、運良くおよそ3ヶ月待ちで受けられることになり、急遽、いろいろスケジュール調整して手術に臨みました。

私は、慢性副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症、鼻茸、その他の治療の手術を受けましたが、副鼻腔炎や鼻茸除去の内視鏡手術だけでなく、鼻の穴と穴の間の部分を切開して鼻全体をべろーん!と上にたくし上げるようにオープンにし、頭蓋骨の鼻の骨と鼻の軟骨を一度外してバラバラにしてから組み直す、というなかなか大掛かりな手術でした。

慈恵医大付属病院では、鼻中隔湾曲症のひどいものの場合は、耳鼻咽喉科の範疇の鼻中隔湾曲症の治療だけでなく、形成外科も加わり、より精密で結果の良い治療に取り組んでいるとのことです。私は鼻の内部の変形がギリギリそれに引っかかってくれたので、形成外科も加わった術式になりました。(自分でもそうして欲しいと望みました)

今はまだ術後10日程度で、鼻腔内の詰め物は取れるも、矯正手術をした鼻中隔を挟んで固定している大きなプレートが取れるのはさらに3週間後なので、まだまだ鼻に異物感は強くあります。

が、手術後、鼻に詰め物をガッツリするために全く鼻に空気が通らない状態で1週間程度過ごす必要があるのですが、その苦痛に比べれば全然楽です。(私は術後10日後に詰め物を除去しました)

匂いの感じ方は、まだまだ手術前の6割程度ですが、戻って来ています。私は慢性副鼻腔炎だったクセして、ニオイには敏感だと人々に良く言われましたが・・・

ついでに言うと、現状では、全てではないですが、今まで感じていたニオイをちょっと違うように感じてしまうものがあります。例えば、家で使っているシャンプーの香りを「あれ?こんな香りだっけ?」と感じたり。恐らく、全ての嗅覚が戻っているわけではないので、感じる部分と感じていない部分があり、その感受のムラで変わっているのでしょう。

初めての全身麻酔だったので、

1)不眠症の私、10年分ぐらい眠れるかね?
2)全身麻酔で肉体がダラダラにリラックスして五十肩が治ったりしないかね?
3)全身麻酔ってちょっとトリップした感じになるって言うじゃん?

などと身勝手な期待をしましたが

1)そんなわけは無く、目覚めかけた時には、仕事の夢を観ていた
2)むしろ、手術中に体を固定されるので首や肩が余計に痛くなっていた
3)普通に睡眠薬を飲んだ時と変わらない「眠い感」で眠りに落ち、これなら胃カメラの時の麻酔の方が心地よかった

という結果になり「勝手に期待していた全身麻酔には」多いに失望しました(笑)

が、現実的な全身麻酔としてはとても具合が良く、術後、体に不具合もなく、また手術そのものも大変技術が高く、恐らく最新の術式でやっていただけた感じで、術後も鼻とその周辺はほぼ痛まず、鼻からの出血、鼻から喉に回る出血も、最小限でそれに悩まされることもなく術後1週間を過ごせました。

手術をしていただいた先生方は30代前半〜40代前半の世代のようでしたが、経験も技術も知識も充分にお持ちで自信に満ちている感じでした。私達のギョーカイでは若手な世代ですが外科業界では現役バリバリな感じで羨ましくもありました。やっぱりこうでないとね!

また、高度医療の世界って高度なチーム構成で運営されているんだなあと、当たり前の事を改めて感じ入りました。

それぞれのプロフェショナルがいて、全体がさらに高度に増幅し、回っている感じです。

昔の工芸の世界みたいですね。

いろいろと感心しました。

術後、鼻の形が少し変わりました。

塞がっていた副鼻腔を全部キレイにするので、頭蓋骨の響きが変わり、声が変わりますよ、とお医者さんから言われましたが、まだ鼻中隔を押さえるプレートが入っているせいか、声は変わっていないと家族やスタッフからは言われております。

* * * * * * * *

幼少の頃から苦しめられて来た副鼻腔炎、そして青年期からそこに鼻中隔湾曲症が加わり、常時の頭重と頭痛、睡眠時無呼吸症候群と不眠、その他の苦痛に長年耐えて来ましたが、中老になり苦痛に耐える体力を失い、仕事への影響もだんだん顕著になり、手術に踏み切ったという次第であります。

慢性副鼻腔炎の手術は、内視鏡手術で患者の負担が少なくなってからも患者はいろいろ大変だったようですが、最近は技術の進歩も目覚ましく、これなら副作用も少なそうと思ったのも、手術の決断をした理由でもあります。

そうそう、それと、私は幼少から副鼻腔炎に悩まされていたのですが「ああ、普段よりもさらに頭が重い、痛い、鼻の奥が臭い、蓄膿になったな」と思い、街場の耳鼻咽喉科へ行っても「いや、副鼻腔炎じゃないよ」と言われて追い返されることが殆どでした。

仕方なしに放っておいて、本当にどうしようもなく辛いので行くと今度は「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ?」と怒られる・・・

この理不尽さに本当に嫌気がさしておりました。

大人になってからも、患者本人である私は「あ、これは慢性に急性が加わった副鼻腔炎になった」という実感があるのです。酷く苦しいんですからね、そりゃ分かります。

が、耳鼻咽喉科へ行くと「いや、なっていない」といういつものパターン。大学病院で観てもらっても鼻の穴から覗く程度では全てその所見。

それで何度かお医者さんと「なってる!いや、なってない!(シロウトが何言ってんだ!)」でモメて「じゃあ、レントゲン撮ってみよう!」となると、ちゃんと副鼻腔に白い影がある・・・

そうなると、お医者さんは逆ギレして、治療放棄的なことを言い始めたりする・・・

揉め事の強弱はあれど、どの耳鼻咽喉科でも、そんな事の繰り返しでした。患者としては不愉快極まり無い。

ここ数年、もう鼻の症状が仕事への悪影響を与え始めたので、自宅の近所の普段通っている耳鼻咽喉科で慢性副鼻腔炎と鼻中隔湾曲症の相談をしようと、本当に少し、鼻の曲がりが酷いので片鼻がいつも詰まっていて夜中に鼻で息が出来なくて・・ぐらいの事を言ったら、途中で遮られ「こんな程度の鼻の曲がりで手術なんてやり過ぎだ!慢性副鼻腔炎だってこんな程度のものは誰だってあるんだ!」なんて言って相手にもしてくれない・・・(私は手術の話題も何も振っていないのに、勝手にそういう風にキレられたわけです。相談にすら乗ってもらえなかったわけですよ!)しかし患者本人の私はそれに長年、本当に悩まされているのです。

「どの医師にもまるで理解されない」これはなかなか辛いものです。

もう、50年弱、悩み続けてこれはダメだ、自分でどうにかしようと思い、私は紹介状も持たずに、1万円弱の手数料を払って、直接、慈恵医大病院に行ったわけです。(大規模病院に直接行くと、1万程度の手数料を初回に請求されます。大規模以外の医院の紹介状があれば、免除されます)

そうしたら、キチンと精密に検査し、重度までは行かなくても「手術対象として充分な症状」として手術治療していただけたわけです。

自分だけがそういう目に遭っているのかと思ったら、違うのだということが今回の手術で分かりました。

術後、主治医の先生が私の妻に説明して下さった時に

「〜にへーさんの鼻、タバコを吸っていないせいか鼻腔の粘膜はキレイなんですけど、副鼻腔には膿をたっぷり溜め込んでましたねー(術前に抗生物質などで3ヶ月治療した後なのに)膿は全部キレイにしておきましたよ〜」

「〜まあ、鼻腔の粘膜はキレイでも副鼻腔にはたっぷり溜め込んでいるのは、慢性副鼻腔炎の手術の典型的なパターンですけどね!」

とおっしゃったと聴きました。

ということは、私のように、鼻の穴から覗いた鼻腔はたいして荒れていないから副鼻腔炎ではない、と言われ、重症化してから同じお医者さんへ行くと「こんなに酷くなるまで放っておくな!」と怒られ、なぜ初期の段階で治療してくれないんだ?と悩んでいた人が、どうしようもなくなって手術をしてみたら、やっぱり酷い慢性副鼻腔炎だったというパターンが多いのではないか?と思うのですが、どうでしょう?

「鼻腔の粘膜は割とキレイだけど、副鼻腔には膿をたっぷり溜め込んでいる症状は、手術している現場からは“典型的なパターン”とされている」ということですから。

自分の治療も、自分で計画を立てて行わないとダメなんだな、と改めて思いました。

家人の病気の時にもそうしましたが、あんまりお医者さん任せなのはダメですね。

が、最近の若いお医者さんはちゃんとしている人の割合が多い気がします。

* * * * * * * *

慢性副鼻腔炎や鼻中隔湾曲症、鼻茸除去、その他の鼻の手術直後には、鼻にガッツリ詰め物をする事が多いようで「全く鼻に空気が通らない状態」になります。(お医者さんによっては、詰め物に細い管を通して少し空気が通るようにする場合もあるようです)その10日間は、地獄でしたねー。いや、本当に地獄。鼻を指でつまんだような状態ではなく、鼻の空洞が全て埋まった状態で全く鼻に空気が通らなくなる状態で10日間を過ごすのです。

鼻は、呼吸するだけでなく、何かを噛んだり飲み込んだりする際にも使っているようで、鼻に空気が通らないと、つばを飲み込むだけでも耳が「ピー!」となり苦痛です。毎度耳抜きをしているようなものですね。

食事の時にも鼻から空気を沢山吐いているから噛み続けることが出来、かつ口中の食品の香りが口から鼻へ抜けるので風味が分かるというわけです。

なので、鼻が全く通らない状態で、口を閉じて食べ物を噛むと、窒息します。

液体を飲むのも、飲み込む時に空気を液体と分離して鼻から抜いているようで、鼻が完全に詰まっていると空気も一緒に飲んでしまいます。

風邪などで両鼻が詰まっていると思っていても、実際には多少は通っていたのですね。

完全に鼻が通らなくしてしまうと、これほど苦痛なのか・・・と思いました。こりゃ拷問に使えるね、と思ったほどです。

それと、涙も、下まぶたに涙を受け取って鼻に流す管があるわけですが、それも術後、通常ほど通らなくなるようで、やたらに涙が出ました。

人体に失って良いものは無いもんですねえ・・・

そうそう、上記のように、手術後は、止血や鼻の形を安定させるため、その他の理由で鼻に詰め物をガッツリするのですが、その充填物は時代を経るに従って変わっているらしく(1)から(3)のように進化したようです

1)大量のガーゼを詰める
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 
2)テフロン加工されたスポンジ状の物を詰める
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 
3)水分で溶けるスポンジを詰める

(1)は1週間程度後、除去するのが相当痛いらしく、患者の負担が相当だったそうです。血や分泌物その他がガーゼに付いて固まり、粘膜にこびり付いているのを剥がす事になるので、物凄く痛く辛いらしいのです。内視鏡での慢性副鼻腔炎や鼻中隔湾曲症の手術で、手術そのものよりもこの「ガーゼ抜き」の方が辛いと患者の間では伝説化されていました。私の父は40年近く前、鼻茸の内視鏡手術をしましたが、この「ガーゼ抜きの伝説」を語っておりました。

世の中の患者と医師の不評により(?)その後、粘膜や血に貼りつかないようにテフロン加工されたスポンジのような充填物になったようで、これがちょっと前までの主流だったようです。私もこれなのかと思いましたが私は(3)の「溶けるスポンジ」でした。

待ちに待った、鼻にガッツリ詰まった詰め物を取る処置をする日、先生が最初から内視鏡と吸引器でひたすら私の鼻をズコズコ吸引しているので、私は「アレ?詰め物って取らないんですか?」と尋ねると「今やってますよー。コレ、水分で溶けるスポンジなんですよー。だから吸引しちゃうんです。だんだん鼻が通って来たでしょ」・・・

おお、なんてこった、もうそういう時代なのか!鼻腔内の充填物が水分で溶けるスポンジ・・初めて聴きました。(手術前に鼻の手術の情報をネットで観まくったのであります)

症例によって使い分けるのかも知れませんが、そんな時代なんですねえ。

相当奥まで吸引器を突っ込んで処置するので、麻酔をかけながらの施術でしたが恐らく、その濃いめのドロドロした元スポンジだったものには、鼻の粘膜の切れ端やら骨の欠片やら血やら膿やらが付いているでしょうから、今まで「鼻の充填物を抜く→鼻の中のゴミの除去」と、別々に処置していた工程を一気に行えるのではないかと想像します。

うむー、技術進化はスゴイもんですねえ。

これで患者の負担が減れば良いことだと思いました。

* * * * * * * *

緊急の手術で無い場合、意外にも手術前には面倒なことが多いんだなと思いました。

私は中老なので、ちょっとした薬ぐらいは飲んでいたりするのですが、それは手術2周間前から止めること、サプリもダメ、などいろいろ決まりがあります。

それと、これは意外にむづかしいぞ、と思ったのは「手術日直前に、病気にならないこと!」でした。ちょっとした風邪ぐらいならどうにか手術出来ないことも無いけども、体温が37.5度以上の人は手術室に入れません、とのこと。それは分かる。分かるが、しかし、3ヶ月以上先の手術予定日まで、特に手術の直前に病気すんな!と言われても、病気になる時にはどんなに気をつけていてもなるじゃんよーと思ったのであります。

で、今回わたくし、手術10日前にして、風邪っぽい症状で体温が37.5度まで上昇、これはいけないと思い、まず仕事を休まないわたくしが3日程度休みました。

3日程度したら症状は収まったので一安心でしたが、さらに展示会で売り場に立つ予定があり、病み上がり的な状況で人混みに立ってぶり返したらマズいな・・・と思いましたが、どうにか乗り切れました。

その後さらに2日程度経過し、大丈夫だったので無事手術を受けられることになりました。

せっかく1〜1.5年待ちの手術が3ヶ月の待ち時間で受けられる事になったのに、それを逃したら手術を受けるモチベーションも下がりますしね。

幸運でした。

周りは、普段ですら鼻が利くのに、鼻を治療して良くなったら犬みたいになっちゃうんじゃないの?と言っております。

そんな背後霊が犬の私ですが、嗅覚がそこまで良くなるかはともかく、長年の憧れですらあった「両鼻孔通った鼻呼吸」「常時の顔面と頭の重さから開放されること」が叶ったら、幸甚であります。

そこに「嗅覚が最低以前程度に復活すること」加わってくれたら本当に嬉しいですね。

さらに、不眠も軽減してくれたら最上であります。

今日もよい子にしますので、神さまお願いします。

(写真は、以前、ご注文でいただいた「亥年の帯」です。うりぼうの縞模様と、イノシシの牙と、鼻と亥年の丸紋を組み合わせたものです・・・鼻の話題なので)

→ 鼻の手術、その後(鼻の手術の話題、その2)

→鼻の手術後の詰め物で鼻呼吸が出来なかった時期の過ごし方(鼻の手術の話題、その3)

→鼻の手術から1年経ち、治療が終了しました(最終章)


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