我が愛犬とキジ猟実話記

キジはオスはとても綺麗な色をしていて日本の国鳥である。キジは田や畑の廻りの藪や茅にいることが多い。田や畑を荒らす狩猟鳥である。やはり犬が頼りだ。畑の廻りにある茅の中とか荒れ地などに潜んでいる。ハンターはそこを狙う。キジの足跡が地面に残っている場所がある。そうゆう所で犬を藪に放つと強いポイントをして鳥のいる辺りを体で指し示してくれる。ハンターには犬のその迫力さでキジとの近さがわかる。ここがまさに猟犬の真骨頂である。ここで行けと言って犬が飛び込めば撃てばいい。普通は西洋ではそうなっている。映画でもそうなっている。格好いい場面だ。しかし我が愛犬は情けない事に違うのだ。我が愛犬の最大の難点は行けといっても全然飛び込まないのだ。これは実に困る。1度、我が愛犬がポイントしていて2メートルぐらい先にキジが居るのが見えた事があった。なんとそのキジがそっと歩いて逃げて行くのが私には見えた。それなのになんという事だ。我が愛犬はポイントしたままである。頭にくる。なんちゅうことか。なんだわれ、それでは意味がないではないか。おい、キジは這っているではないか。逃げちゃうぞ。お前、真面目にやれ。と言ってもポイントしたままである。嘘やろ、藪で先がわからないならともかく、キジが這って逃げていくのが私には見えているのだ。私は頭に来た。このただ飯くらいが、はよ飛び込め、尻を蹴飛ばすぞと言ってみたがそれでも駄目であった。仕方なく情けない事に私が飛び込むのだ。これでは犬は要らないではないか、ことさら左様に実際は犬がなかなか行けと言っても飛び込まないのが現実の猟場の姿なのである。映画のように格好よくはないのである。当然私は犬を叱る。ぼけ、なぜ追い出さん、飯やらんぞというと犬はこれが私の性分でしてという顔をする。なにが性分じゃ、気が弱いだけだろ。私はプリプリしながら結局私が犬の先を歩くはめになるのである。どっちが主人かわからない。犬は悠然と私の後ろを歩いている。熊が出れば私が先にやられる。愛犬は逃げられる。やれやれ。当然その日の猟果もゼロであった。

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