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子どもとアーティストとアートフェア。【ACK Kids' Programs】

2023年10月28日〜30日までの3日間、京都の国立国際会館を会場に、国内最大規模のアートフェア、Art Collaboration KyotoACKが開催されました。

私はその中で、キッズプログラム担当として、4月から約半年かけて準備をしてきたなかで、色々と発見や、考えたことなどがありました。ここにその要点をまとめておこうと思います。
またいつか誰かの役に立つように。
実施が終わり、改めて自分のなかで整理して、4つのポイントをまとめてみました。



会場の様子。壁に飾られているのは、
アーティストの制作現場から拾い集めてきたゴミ=副産物たち。
とてもヘンテコなものがたくさん!

その1:美術館やギャラリーではなく、アートフェアで開催するキッズプログラムであること


よく、美術館で作家の個展などに付随して、アーティストに触れ合えるワークショップが開催されていています。
しかし、今回はベニューがアートフェアであるということが、ポイントになるな、と思いました。

アート作品の売買がなされている場所、つまり経済の場所であるというところやお金というモチーフ、物事の価値などなど、アートや表現だけではなく、経済の側面からも子ども達に何か問題提起できることは、とっても付加価値を生むことだな、と考えていました。

このことは、アサインしたアーティストや講師陣にも共通して投げかけ、意識してもらいながら、プログラムの作成をお願いしました。
それが結果として、今回とても良い方法に繋がっていったと感じています。


谷澤紗和子さんのワークショップでは、Zero Shopというお店屋さんが登場。
自分で作ったお金で、別日に子ども達が制作した作品を買うことができる

その2:キュレトリアルテーマに準じたアーティストのアサインを行う


ACKでは毎回、オリジナルのプログラムの実施があり、それらを紐付けるキュレトリアルテーマを設定しています。

今回のテーマは「Visions of a Torn World:循環と共存」。
Visions of Torn World とは、鴨長明の方丈記の英題で、「循環と共存」というキーワードと響き合って、SDGsやサステイナブル、持続可能な、なども意味合いに含まれてきます。

そんなキュレトリアルテーマのもと、アサインしたアーティストは下記の3名でした。

副産物産店

谷澤紗和子

金氏徹平

今回は奇跡的に、3名のスケジュールが空いていて、ピタッとアサインできましたが、どうしてもスケジュールの都合で難しいこともあるのは事実。なるべくテーマに響くアーティストを多くリストアップできるほうが良いな、と思いました。

そのためには、もっとたくさん展示を見て、出会っておく必要がある…と思いました。


金氏徹平さんのワークショップから、日用品を組み合わせて、上から白い石膏を流す様子。
金氏さんの代表作「White Discharge」を卓上サイズで制作した

その3:アーティスト、講師陣からのアイデアはとことん採用する

打合せを進める中で、色々とアイデアや、逆に予算や運営側からの制約が出てきてぶつかってしまうことが本当によくあります。

けれど、基本的にはアーティストや講師からのアイデアは受け取って、何とか採用できるように動きます。
例えば予算がかかりすぎて実現が難しいことなどは、譲歩して少しでも取り入れられる方法を模索します。

多分、人間なので、この何とか検討する姿勢が関係を深めていくことに繋がるんじゃないかな…と思いました。もちろん過去にはだめなこともありましたけど。

金氏さんワークショップの材料を選ぶ子どもたちを見つめる綿引さん。
常に子どもたちを見つめて、声掛けをしていた

その4:委ねる、甘える、感謝する

最後は、委ねる、甘える、感謝する。
とことん準備や検討を行って、予算もクリアになりあとは実施のみ、の段階になれば、あとは委ねます。

今回、アトリエてくてくの綿引恒平さんと綿引真悠子さんに、制作のワークショップの進行ディレクターをお願いしていました。

彼らにはアーティストとの打合せにも参加してもらって、毎日子どもたちと接している観点からアドバイスをもらったり、当日は参加者への声掛けをしてもらい、子どもたちの気持ちをたくさん引き出してもらいました。

どうしてもワークショップでは、アーティストが主役になりがちですが、私は彼ら影の主役がいなければ、スムーズな進行と、参加者の高い満足度は引き出せなかったと思っています。


親子で溢れかえるスペースの様子。子どもは熱中して制作をして、
親もそれを一緒になって作ったり、見守ったり、おしゃべりしたり。
思い思いのスタイルで過ごす雰囲気がとてもあたたかい


当日は、アートフェアにこんなに子どもがいるんや…と思うくらい、キッズプログラムのスペースに多くの子ども達が溢れかえっている光景をみて、やってよかった、と初めて思うことができました。

また力を貸してくださった多くの方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとう。また何かご一緒しましょう。

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