#87 かっこいい白髪淑女・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月7日(水)7日目・・・2

今日は英会話スクール初日。
10:45スタートなので、宿を9:45に出ても、トラブルがなければ間に合う。でも、方向オンチ選手権で世界一に輝ける、筋金入りのスーパー方向オンチの私なので、余裕を持って早めに宿を出るつもりだった。
けれども、例によって宿のオーナー・陽子さんの、おもしろエピソードを聞き入り、看護師さんとの最後の朝食があり、まったりしすぎてしまい、
9:30過ぎに大慌てで出発した。

宿があるAtlantics Avenue - Barclays Center駅からGrand Central Terminalへは、④の電車に乗ればいい。ほぼ毎日行っているので、覚えていたはずだった。
ところが乗った④の電車内の表示を見ると、Grand Central Terminalがない。再び大慌てでiphoneのマップアプリを見ると、Grand Central Terminal に行くにはSに乗ると出た。
どうして? いつも④の電車なのに、どうして今日はSなの? 
焦りながらどこでSに乗り換えたらいいか、またiphoneのマップアプリを開くと、Times Square駅とでた。運よく乗った電車はTimes Square駅を通るので、そこで乗換だ。わぁ、Times SquareでSに乗り換えたらGrand Central Terminalには何時に着くのだろう。ここからどれくらいかかるのだろう。
遅刻は嫌だ。焦りながら気持ちは猛ダッシュしていた。 

Times Square駅に着き、下車と同時にS乗り場に向かって走り出す。
Sと書かれた方へ、急げ急げ。
ところがTimes Square駅は広く、途中でSの文字を見失ってしまい、どっちへ走ればいいのかわからなくなってしまった。
あっちへこっちへ散々走り回り、やっと見つけたSの方へ走るが、電車から降りてきた多くの通勤客が、一斉にこちらに向かって歩いてくる。
その群衆の中を逆走しているのは私1人。
え? もしかしたらSの降車専用ホームに迷い込んだ? 
1人だけ違う方向を向いていることに不安になり、回れ右をして多くの通勤客と同じ方に引き返した。けれど上の表示を見ると、Sとは反対の方向だ。また回れ右してSへ向かって走る、でも不安になりまた通勤客と一緒に戻る。
あっちに行き戻り、また反対方向に進んで戻るを、顔面蒼白になりながら繰り返し、時々立ち止まり困っていた。
すると、背中がシャキーンと伸びたカッコイイ小柄な白髪の淑女が〝どこに行くの?〟(多分)と声を掛けてくれた。泣きそうになりながら、
「Sライン! Grand Central Terminal!! Grand Central Terminal!!!Sライン!!!! 」
乗りたい線と行き先だけを何度も繰り返し言い、困っていることをアピールした。すると白髪の淑女は、〝こっちだよ! ついてきなっ!!〟と言いながら(多分)手のひらでカモンとしながら、S乗り場に連れて行ってくれた。

やはり、下車した多くの通勤客を逆走する方向で合っていた。
Sライン乗り場のホームで何度もお礼を言っていると、S電車がホームに入ってきた。
背中がシャキーンと伸びたカッコイイ小柄な白髪の淑女と同じ車両に乗り込む。時計を見ると10:00。大丈夫。間に合う。一安心したら気持ちに少し余裕が出てきて、冷静になれた。カッコイイ白髪淑女は、時々私の方をチラ見しながら窓に向かって立っていた。

Times Square駅からGrand Central Terminalはたった1駅だった。
ドアが開くと、〝降りるよ〟と何気なく合図をくれ、一緒に降りた。〝Thank you〟と言ったが人混みの雑音に紛れてしまい、届かなかったかもしれない。さらに、ホームからコンコースに行く階段を上っている途中に、見失ってしまった。

それにしてもNew Yorkerの親切なことと言ったら、いつも感動する。
困っている人を自身のアンテナでピピッと察知し、ササッと動く。
New Yorkerのその能力の高さのなんと素晴らしいことだろう。

これまで、私は駅を聞くときに〝Grand Central station〟と言っていた。けれどNew Yorkerは〝Grand Central Terminal〟と言うことがわかり、この時の背中がシャキーンと伸びたかっこいい白髪淑女には、ちゃんとGrand Central Terminalと言えた。それが余計に分かってもらえた理由だったかもしれない。


(※)帰国以後、よくよく地図を見たら、Times Square駅から歩いたほうが早かったと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?