#164 【アグリーベティ】のロケ地・ジャクソンハイツ・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月16日(金) 16日目・・・3

英会話レッスンが終わり、20階から1階へ降りる。

この頃には、もうエレベーターのボタンを押すことにもすっかり慣れていた。
最初はどこを押したらいいかわからなかったし、1週間前に、どこをどう操作したらこのエレベーターは20階に行ってくれるのかと、焦っていたことが、ほんの少しだけ懐かしかった。
すっかり違和感がなくなり、1階ロビーの守衛のおじさんにもニッコリ微笑んで、朝は「good morning」、帰りには「Thank you」と、難なく言えるようになっていた。小さいが進歩である。

ビルを出て徒歩数分のGrand Central Terminalへ行き、7番の地下鉄に乗る。

その7番線が、地下へ下りても下りてもホームにつかず、まるで東京の大江戸線の様だった。

やっとたどり着いたその場所で、ヨーロッパ系の男性がバグパイプを演奏していた。
私にとってバグパイプ=少女漫画のキャンディキャンディだ。いつか本物のNew Yorkerとして移住するときには、漫画本9冊もちゃんと持って来よう。

7番の地下鉄は、Grand Central Terminalを出て、しばらくは地下を走っていたが、突然高架し地上に出た。Grand Central Terminalであれだけ地下に潜っていたのに、2階位の高さを走っているということは、走りながら何階分も上ってきたということだな。
街の風景はManhattanとは明らかに違い、郊外だ。

この当時、私が日本で住んでいたのは東京の外れで、すぐそばに県境があり、とても23区内とは思えない田舎。しかも近くを走る地下鉄は高架で2つ先から地下に潜る。
どうりでアメリカのテレビドラマ【アグリーベティ】に登場するウィルミナが、Jackson Heights(ジャクソンハイツ)やQueens(クィーンズ)をド田舎として見下しているのか、納得できた。

車内では、席が空いていなかったこともあるが、車窓からQueens(クィーンズ区)・Jackson Heightsの街並みが見たくて、外を向いて立っていた。
すると近くのおじさんが、自分が座っている足元を指差し〝席をかわろうか?〟的なことを言っているらしかった。え? また座席譲られた? 
私はそんなにシニアに見えるのかなぁ? 手を顔の前で左右に振りながら「Thank you」とお礼を伝えた。

また、車内には黒人2人組のおにいちゃんたちが、自分たちが被っているキャップをたくみに操り、車内のポールを使ってパフォーマンスをしていた。ド素人の私が見てもハイレベル。何人かの乗客からチップを貰っていた。

高架上から見るJackson Heightsが、どんなに田舎、もしくは下町だったとしても、私にとっては、Red Hook(レッドフック)同様、しっかりNew Yorkであり、【アグリーベティ】のロケ地であり、遠い遠い地球の裏側だった行きたかった街に、今、降り立つのである。

Jackson Heights–Roosevelt Avenue/74th Street Stationは、高架下に降りて改札を出ると、平日の午後なのに、結構な賑わいだった。
高架下の道路を行きかう車、両側に並んだ店舗、その風景はまさに【アグリーベティ】で映ったJackson Heightsだった。

とりあえず歩いてみよう。特にあてもなく歩き出した。
わーい! わーい! 
New Yorkだー! Jackson Heightsだー! ベティだー!

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