#121 5000ピースのBROOKLYN BRIDGE・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月11日(日)11日目・・・2
Manhattan方面からEast Riverを渡って吹いてくる、冷たい風が気持ちいい。
どんどんどんどん橋に向って歩いていく。人がまばらなため、余計な情報が入らず、思う存分楽しめる。
もうすぐで橋の真下に着きそうになったとき、足を止めた。後方からEast RiverをまたいでManhattanまで伸びる橋を見て、遠い昔、同じ風景を見たことを思い出した。
New Yorkに憧れて憧れて恋しかった20歳くらいの頃、いつもNew Yorkを感じていたかったが、身近に適当な物がなかった。
そんなある日、テレビでBROOKLYN BRIDGEのジグソーパズルを見た。
これだ!
さっそく買いに行くと、5000ピースの、出来上がりが特大サイズの大きなBROOKLYN BRIDGEのジグソーパズルを見つけた。
けれど、私は細かい作業が大嫌い。買っても組み立てないことはわかっていた。でも、もしこの絵が壁に飾ってあって、いつでも見ることが出来たら、毎日New Yorkを身近に感じることができて嬉しい。やるやらないはともかく、売り場にある以上買わずには帰れない。
とりあえず購入し、包装されたまま自宅保管となった。
ある日のこと、仕事中にこの話しをすると、なんと目の前の席の先輩女性社員が、
「私、ジグソーパズルするのが大好き! 大きいサイズに挑戦したいと思ってるの」
と言うではないか。なんと好都合。さっそくお願いした。
畳半畳強ほどのパネルとパズルのピースを先輩の自宅に送り、託した。
それから毎日先輩は、昨日何ピース進めたかを報告してくれた。そして自宅で飼っている猫に崩されないよう、留守にする日中はパネルを押し入れに入れ、仕事が終わると飛んで帰り、夜な夜な取り組んでくれたのだった。
私は先輩の進捗状況を聞きながらワクワク、先輩は毎夜毎夜ワクワク、10日ほどであっという間に出来上がった。それを丁寧に梱包して宅配便で自宅に送ってくれたのだった。
ただのパズルだけれど、写真だけれど、思いっきり和室の私の部屋に、夜景の中に浮かび上がるBROOKLYN BRIDGEの大きなパズルがやってきた。
縦74㎝、横104㎝の、遠い遠いはるかに遠い国の、憧れの風景だった。
40年近く経った今でも、実家に置いてある。
そしてその場所に、BROOKLYN BRIDGEのすぐ近くに、今、私はやってきたのだ。2本の足でちゃんと立っている。
1つだけ残念なことは、ツインタワーが見えないこと。
けれど、ついについに私はやってきたのだ。
あのジグソーパズルの写真と同じ風景の、憧れ続けた場所に。
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