#112 たどり着けないTimes Square・地下鉄で右往左往•••ニューヨーク1人旅  2018年11月10日(土)10日目•••1

今朝の、宿のオーナー・陽子さんお手製の朝食は、フレンチトースト。
毎週土曜日の定番メニューなのだ。卵液が中まで染み込んで、フワッフワ。甘いクリームと傍らのブルーベリーの酸味が上手い具合に混ざり合って、それはそれは美味。

今日は英会話スクールがお休みのため、時間を気にせず昼間はBIGBAS(観光バス)に乗ることにした。

外に出ると、黄色いイチョウの葉が絨毯のように敷かれており、清々しい気分の朝だった。

何度も行ったTimes Squareに向かう。
慣れた場所なので迷子になることはないだろうと思うが、なにしろ週末。
地下鉄は平日とは違う路線が走るので、要注意だ。
いつもは④の電車だが、今日はLだった。

乗ってしばらくすると外に出た。④の電車はずっと地下のままだが、実はQの電車はマンハッタンブリッジを渡る前からしばらく外を走るので、Lで外に出ても、気にも留めなかったし、むしろ風景を楽しんでいた。
ところがふと周りを見ると、乗客が少ない。土曜日だからかと思ったが、
それにしても1つの車両にポツンポツンと乗っている程度なのだ。
もしや、間違えて反対方向に乗ってしまったか? 慌てて次に止まった駅で飛び降りたら、South Ferry駅だった。

後から路線図を確認したら、反対ではなく、いつもと経路が違うだけで、
ちゃんとManhattanに入っていたのだが、その時の私は、駅名や路線図が頭に入っていなかったので、Atlantics Avenue - Barclays Center stationからManhattan とは反対に、Brooklynの奥へ行ってしまったと完全に思い込みパニックになってしまった。
合っているのに間違えたと思い込んで慌てて飛び降りたSouth Ferry駅で、反対側のホームに移動した。ふきっさらしのホームで〝よし、これでAtlantics Avenue - Barclays Center stationに戻ってManhattanに行くぞ〟と思っていたのだが、実際にはManhattanからまたBrooklyn方面へ戻って行こうとしていたのだ。

間違えていることに気付かず、正解だと思い込んでいた反対路線の電車に乗っていると、ある駅に着いたとたん、乗客たちがドヤドヤと降りて行き、
1人取り残されそうになった。
〝ええーっ?!?! 何? 何? 何が起きたの?!?!〟 車内アナウンスはあったが理解できず、誰かに聞くことも出来ず、状況が分らず、ますますパニックになった。
嘘つきマップアプリを見ると、〝Manhattanへは近くの駅まで歩き、路線を変えろ〟と表示された。けれど、今まで散々騙されてきたので、信用できない。うっかり信用しようものなら、もっとBrooklynの奥のそのまた奥へ連れて行かれそうで怖かった。

まあ、いい。今日は夜まで時間制限はない。ゆっくり行こう。冷静に車内を見回すと、数人の乗客が残っていた。どうやらこのまま車庫に連れて行かれることはなさそうだったので、そのまま乗っていくことにした。

小刻みに1つ1つの駅に停車していくが、滞在中1度も通ったことがない駅ばかりだった。おそらく急行だったのが普通になったか、当初の行き先が変更になったのだろう。
それまで地下鉄の急な変更情報は、ネットやガイドブック、在住者のエッセイなどで色々と聞いていた。
各駅が走行中にいきなり急行になり、降りたかった駅をすっ飛ばして何十ものAvを越えて、とんでもない所に着いてしまったり、急行がいきなり各駅停車になり遅刻をしてしまったなどなど。

それまでは〝いいなぁ、そんなハプニングに私も遭遇してみたい〟と思っていた。そしてついにその時は来たのだが、あまりに突然だったため、気が付けなかった。とっさに何かよからぬ事件でも起きたのかと思ってしまったのだった。

時間があるとはいえ、コトコトと走る地下鉄に〝さっきの駅で、みんなに付いて乗り換えたほうが早くManhattanに行けたかも〟と、少々後悔しながら、嘘つきマップアプリに騙されて悔しい思いをするよりマシだと、自分に言い聞かせた。
コトコト進みながら、それでも頼れるのは嘘つきマップアプリ。見てみると、現在地の丸が、路線からドンドン外れて、線の無い所を進んでいる。どうして?!?!? 再びパニックになる。しかも停車した駅では、柱や人が邪魔になって、駅名のプレートが見えない。ここはどこ? 私はどこに向かっているの? Times Squareに行きたいの。あんなに有名で簡単に行けるところに向かっているはずなのに、何がどうなっているの?
たまらず、次の停車駅で飛び降りた。慌ててプレートを探し駅名を確認すると、18th STREET。

あ、通ったことある駅だ。よかった。少し安心した。
けれど、Times Square方面のホームがわからない。どこをどう行けばいいのか、どのホームに降りればいいのか、UP? DOUN? 
18th STREET駅のコンコースを散々右往左往ウロウロし、Manhattanと書かれた電車にのった。
おそらくこれでTimes Squareに行くであろう。多くの乗客がいたので、きっと中心部へ向かうはずだ。

次の駅で駅名を確認し、仕方がないが嘘つきマップアプリを見ようと思った。だが、困ったことに、乗客で混雑していてホームが見えない。しかも親切すぎるNew Yorkerたちが、空いている席を教えてくれて、わざわざ座るように指示してくれる。〝う~ん、親切は有難いんだけど、座っちゃったら駅名が見えなくなっちゃう〟でも、せっかくの親切をここで断る勇気も英語力もないなぁ。ああ、まだまだNew Yorkerになるには修行が足りんと思いながら渋々座った。
けれど、やはり不安は大きくなる。耐え切れずまた次の駅で降りた。
すると今度はTimes Squareを通り越していた。

こうして私は、地下鉄をあっちに行きこっちに戻り、またそっちに行ってあっちに戻り、最終的に宿から3~40分で行けるTimes Squareになんと2時間もかけて到着した。

いったい何がいけなかったんだろう? 私は何をしていたのだろう? さすが、方向オンチ選手権で世界一に輝ける、筋金入りのスーパー方向オンチの私。今となってはいい思い出だが、これがもしビジネスだったら、と思うとぞっとする。
けれど、こういうことに慣れ、事が起きても冷静に、スムーズに、間違いなく動けるようになったときこそ、本物のNew Yorkerになれる気がして、その時が来ることを願った。

夜には大きなイベントがある。それまで時間はまだ十分にあるが、死んでも遅刻はしたくない大事な大事なイベントだ。
時間にも気持にも、たっぷりと余裕を持ちたい。
くれぐれも遅刻しないように気を付けなければ。


 ※ 改めて路線図を見ても、今となってはどこをどう通ったのか不明。
駅名や方向が間違っている可能性ありだが、右往左往の様子だけ伝わればよしとする。 

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