#201 とうとうやってしまった大失態・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月20日(火)20日目・・・1

宿のオーナー・陽子さんお手製の、今日の朝食は、野菜ハンバーガーとヨーグルト。

テレビからは、サンクスギビングだのブラックフライデーだの、単語だけが聞きとれた。どちらの日にも、もう私はNew Yorkにはいない。
35年以上憧れ続けてやっと来られたNew York滞在も、泣いても笑ってもあと3日。でも3日目は帰国日なので、実質2日しかない。

ここ数日、どこで何をしても何を見ても感傷的になってしまい、100%楽しめていない自分に、少し✖をつけながら、それでも見られるものをできる限りたくさん見て、体験できることは積極的に行動しようと思った。

今日は、滞在中にTIFFANY&COのBlue Box Caféに連れて行ってくれたHidemiさんが、またまたManhattanを案内してくれるという。
あれこれと計画を立ててくれているようで、楽しみだ。
嘘つきナビで、待ち合わせの時間と場所を確認し、張り切って宿を出た。

最寄りのAtlantics Avenue - Barclays Center stationに着き、UP、DOUNを確認し、Manhattanに行くUP方面のQの地下鉄に乗った。
Qはイーストリバーを渡るとき、外を走り鉄橋を渡る。その車窓からの景観は、Manhattanが俯瞰できて素晴らしく、好きな路線なのだ。
乗ってしばらくすると、お待ちかねの高架の後、気持ちいい青空を眺めながらご機嫌で乗っていた。

しばらくはご機嫌で電車の小さな小さな旅を楽しんでいたのだが、ふと気づいた。いつまで走っていても、一向に地下に入る様子がない。しかも風景が都会のビルではなく住宅街のようになっている。これはもしかしてもしかすると、やっちまったか? 
慌てて次の停車駅で降りると、ホームは上下線の2つしかなく、乗客も誰もいない、のどかな街についてしまった。
大慌てでホームから渡り廊下への階段を駆け上がり、反対のホームへダッシュ。駅名は『Kings Highway』。

ええ……。見たことも聞いたこともない。とにかくAtlantics Avenueから反対方向の電車に乗って行き先を間違えたことは確かだ。UPの文字を確認し、Atlantics Avenueから、どれくらいDONUしたのか、嘘つきナビで見てみると、……30分。終わった。
これから30分かけてAtlantics Avenueに戻り、そこからHidemiさんとの待ち合わせ場所に行くには、どう考えても大大大遅刻だ。電車が来るまでの間にすぐにHidemiさんにメッセージを送る。

<ごめんなさい。電車、反対に乗っちゃったみたいです>
するとすぐに返信をくれて、
<大丈夫だよー。落ち着いて気を付けてきてね>
<Kings Highwayっていう駅に来ちゃいました。大急ぎでManhattanに戻ります>

この時点で、Hidemiさんには大幅遅刻は伝わった。後から聞いたところによると、ご主人が〝ずいぶん奥まで行ったね〟と話していたとのことなので、電車で30分とはいえ、それなりの距離を行ってしまったようだ。
とにかくUP方面に行かなければ。

幸い、ほどなくしてUP方面行の電車がやってきた。乗った瞬間、またしても終わった。車両が古く、行先の電光掲示板がない。自分が今どこの駅にいるかは、車内のアナウンスを聞き取るか、電車が駅に着いた時に、ホームの駅名プレートを読み取るしか方法がなかった。
嘘つきナビなど全くあてにならない。しかも、電車内のアナウンスは、次の駅とそのもう1つ先の駅をアナウンスするため、分かりにくく中々理解できなかった。とにかくUP方面に向かっていることだけは、今度こそ間違いない。本当は今すぐ空を飛んで、Hidemiさんとの待ち合わせ場所に行きたかった。
座っていてもソワソワしてしまい落ち着かない。しかも、車内はNew Yorkの電車とは思えないほどガラガラで、1車両に5人しか乗っていなかった。

あまりの人の少なさに少し怖くなった。
私は車内に入って左側の、隣の車両との連結部分近くに座っていた。同じ列の右側、扉を挟んだ先の席に男性が1人、私とは反対のずっと向こうの方の連結近くにポツンポツンと人が乗っているだけだった。

心の中で、〝お願いぃ~お願いぃ~、1分1秒でも早く着いて。お願いだから大急ぎで行ってぇーっ!!〟と叫んでいた。
無理なことはわかっていたが、Hidemiさんとの待ち合わせ約束時間を破ってしまったことが、心底申し訳なくて、自分で自分に腹を立てていた。
ずっと〝早くぅ~、早くぅ~〟と思っていた。もう外の風景を楽しむ余裕はなく、今思い返しても風景はまったく思い出せない。
電車内の空中を見ながら焦っていた記憶だけが残っている。

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