#8  成田空港・あ、まだ出国していないのか。・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月1日(木)1日目・・・8

早く自分が乗る飛行機に近づきたくて、電光掲示板に、〝バイバイ、行ってきます〟と告げ、保安検査場へ向かった。
少々緊張したが、特にやましいことはない。こんな検査は普段しないし、
正真正銘、飛行機に乗るための検査なのだから、むしろ嬉しいくらいだ。

襷がけ鞄は、難なくベルトコンベアーを通過し、私も金属探知機を通り抜けた。10ヵ月前は、1年間の留学の不安から、泣きながらここにいた次女を、柵の外から見送っていた。今度は私が手荷物と身体検査を受けている。
現実だ。夢じゃない。嬉しかった。
 
検査を終え先に進もうとすると、右に行く人と、左に行く人がいた。
さて、私はどっちに行けばいいのだろう。立ち止まりキョロキョロしたり、右に行き戻り、左に行き戻り、挙動不審人物になった。
近くのおじちゃんに尋ねた。
「すみません。どっちに行ったらいいんですか?」
忙しいおじちゃんは手際よく作業を進めながら、若干怒鳴り気味に大声で、
「まずは出国してくださいっ!!」
と。
〝あ、まだ出国していないのか。私はまだ日本にいるんだ。なるほど〟
と納得しながら、いや、だから、出国手続きをしたいからどっちに行けばいいか聞いたのに。まあ、間違っていたら戻ればいいか。
先が短そうな右に向かい、エスカレーターを下りた。

先には、いくつものゲートが並んでいた。その中の1つで、指紋と顔の認証をした。何だか罪人かどうか疑われている気分になり、少し緊張したが、やはり私にはやましいことはない。35年以上憧れ続けたNew Yorkにやっとやっと行けるのだ。 思いっきり楽しんでくるのだ。

ここで、パスポートに出国スタンプをペタッと押してもらうことを、楽しみにしていたのだった。
ところが、記載は想像していたスタンプペッタンではなく、穴開きパンチで開けたような、小さな穴がいくつも開いた記載でガッカリだった。
ついでに言うと、私が憧れていたパスポートは10年使用の赤色。けれど手元の物は5年使用の紺色。
いつかグリーンカード(永住権)が取得できて、ビザの心配なく自由に日本とNew Yorkを行き来できるようになったら赤にしよう。それまでは紺で我慢だと、変なところで無駄に拘り、未だに紺色のパスポートを持っている。

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