もしものときのYOSHIKI先生・・・New York留学準備・・・32 

部分入れ歯を作るついでに、新たに見つかった虫歯治療とクリーニングに、通うことになったN歯科医院。
コンビニよりたくさんある歯科医院の中で、何故N歯科医院に行ったのかというと、引っ越してすぐの頃、あちこちの歯科医院を検索したらご近所だったことと、ホームページを見たときに、医師がニューヨークで歯科の勉強と治療をしていたからという、単純な理由だった。

待合室の一角に、20㎝ほどの自由の女神がいたのだが、初めて行ったときは、ちょうど私は負のループをグルグルと周っていた絶不調の頃だったので、あまり高揚しなかった。

その後、行きつけの歯科医院となったのだが、今回は渡米も決まり、
目的がハッキリした状態で行ったので、待合室の女神に少々ウキウキした。

さらに20畳ほどの待合室の壁には、ズラズラーっと額に入った20〜30枚の賞状が並んでいるのだが、よく見るとどの賞状の文中にも〝New York〟の文字が入っていた。
英語なので文章内容はわからないが、私的には〝New York〟の文字だけで充分OKなのである。

ここの歯科医師が、声質、声のボリューム、少々舌足らずな話し方、
雰囲気が、X JAPANのYOSHIKIなのである。もちろんYOSHIKI本人ではないが、兄弟でしょ?と間違うくらい、YOSHIKIなのだ。
初めて話し声を聞いた時には、PCに映った自分のレントゲン画面ではなく、思わず先生の顔を見て、YOSHIKIではないことを確認してしまった。
そして、私の中でYOSHIKI先生になった。

予備の入れ歯の件で雑談をしていると、
YOSHIKI先生:「何処に行くんですか?」
私:「アメリカです」
YOSHIKI先生:「アメリカの何処ですか?」
私:「ニューヨークです。学校がマディソンスクエア―ガーデンの隣のブロックなんです」
YOSHIKI先生:「じゃあ、(歯の治療に)NYUに行ったらいいじゃないですか」

一瞬、何のことだかわからなかった。NYUとはニューヨーク大学だ。
NYUと歯科が結びつかなかったのだ。続けてYOSHIKI先生は、
「僕はそこにいましたから。今でも繋がりはあるので、医師をご紹介しますよ」
とのことだった。NYUと歯科がつながらないまま、とにかく何かありがたいことだとは思ったので、
「もしものときは、よろしくお願いします」
と答えておいた。

早速、NYUと歯科を調べてみると、NYU歯学部の学生が治療する代わりに、治療費が安くなるとのことだった。
さすがに部分入れ歯を作ることは出来なくても、詰め物が取れたり、
クリーニングくらいなら行けるかもしれない。

思わぬところで、YOSHIKI先生を通じてニューヨークが繋がり、どこかにいるかもしれない神様に、空を見上げながら手を合わせ、感謝したことは言うまでもない。

待合室の女神も、心なしか輝いて見えた。都合のいい私の思い込みである。
 

待合室にいる、自由の女神

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