#24 一直線に向かってきたおばちゃん、必死に伝える。・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月1日(木)1日目•••24

John F. Kennedy International Airport(ジョン・F・ケネディ国際空港)を出発したAirTrainは、いくつかの駅に停車しながらJamaica(ジャマイカ)駅に向かっていた。
車窓からの風景が、洋画を見ているような街並みだった。
日本の瓦屋根の家などあるわけもなく、目に映る文字はすべてがアルファベット。ああ、私は日本を出て海外にいるんだなぁと実感しながら、15~20分ほど乗っていただろうか。AirTrainはJamaica駅に到着した。
 
ところが私は、電車がJamaica駅に到着したことに気付けなかった。
しかも、これまで停車してきた駅名も確認することができなかった。
車内からホームを見ても、文字という文字が全部アルファベットなので、
どれが駅名で、どれが案内で、どれが広告で、何が書かれているのかさっぱり理解できなかった。しかも停車時間は短い。さらに車内表示にも気付けなかった。ただ、宿のオーナーさんから、Jamaica駅が終点だと聞いていたので、きっと駅に着いたら全員が降りるだろう。車内に自分1人だけになったら、そこがJamaica駅なのだと勝手に思い込んでいた。
 
ところが実際には、Jamaica駅に着いてドアが開くと同時に、駅に下りる人と、空港方面へ向かう人の乗車下車が同時だったので、車内に私1人だけという状況にはならなかった。
ただ、万が一Jamaica駅で降りそこなったとしても、AirTrainは空港とJamaica駅を結ぶ線だ。再び空港に戻り、またJamaica駅に来ることは理解していたので、とんでもない所に行ってしまう心配は無く、のほほんと座って乗っていた。
 
襷掛けカバンをかけて、スーツケースと大きなボストンバックをしっかと握り持ちながら〝この駅は今までの駅より停車時間が長いなぁ~〟と、思ってはいた。
すると、1人のおばちゃんがホームから乗り込みながら、一直線に私のところに向かって来た。ちょっと突進気味に。

おばちゃんは、車内に入る前から明らかに私を見ていて、見ながら乗ってきた。そして私の目の前に立つと、大きな声で何か話してきた。
だが、見事に理解できない。でも、何かを一生懸命私に伝えてくれようとしていることはわかる。何だろう? 何を伝えたいんだろう? 
じーっとおばちゃんを見ていると、かろうじて「Where」が聞き取れた。
〝どこにいくのか?〟と聞かれているらしかった。おそらく。
とりあえず、
「ジャマイカステーション」
と言ってみた。エアトレインのときのようなカタカナ英語にならないよう、精一杯英語っぽく。

「#$%&%&‘&%ジャマイカ&%$#“!!!」
相変わらずおばちゃんは、何か一生懸命話してくれているが、わからない。
何だろう? 私に何を言いたいんだろう?????
 
「#$%&%&‘&%ジャマイカ&%$#“!!!!!」
「#$%&%&‘&%ジャマイカ&%$#“!!!!!」
「#$%&%&‘&%ジャマイカ&%$#“!!!!!」
 
〝あ、ジャマイカって言った。あっ!そうか!! もしかしたらここが、Jamaica駅かもしれない〟私は、床を指さしながら
「ジャマイカ?」
と聞くと、おばちゃんは何かしゃべりながら、顔をゆっくりと何度も上下に動かし、ドアの方へ腕を差し出し、人差し指を外向けた。
〝ああ!ここはジャマイカ駅なんだっ!! だから停車時間が長いのか〟と、やっと気が付いた。
 
おばちゃんは自分が乗り込む前に、すでに気付いていたのだ。
Jamaica駅は、そこから先へ行くには乗り換えをする駅だ。
それなのに大きなスーツケースとボストンバックを持ったアジア女が、目的のJamaica駅に到着していることに気付けず、ボケーと乗っているのだということを。
 
大変だ、降りなければ。教えてくれた親切なおばちゃんに、
「Thank you」
とお礼を言って慌てて降りた。ああよかった。
無事にJamaica駅に到達できた。

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