#28  初めてのお買い物・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月1日(木)1日目・・・28

3週間お世話になる、B&Bのオーナー・陽子さんに、一通りご近所を案内していただき宿に戻った。

時計を見ると19:30。
ここはManhattanではないにせよ、35年以上憧れ続けたNew York。
街を歩きたい、空気を感じたい。
宿に着くまでは、部屋でゆっくりしようと思っていたのだが、体力はまだまだ余っているし、時間がもったいない。
もちろん不安はあった。すっかり夜になり、昼間のように街並みを見渡すことはできないし、道に迷っても聞くすべもない。そして何より私は、方向オンチ選手権で世界一に輝ける、スーパー方向オンチなのだ。
道に迷うことは日常茶飯事で、右だと思って進むと左が正解だったり、左と思って進むと右が正解ということは当たり前、時にはいつも間違うので右と思っても敢えて左に進むと、今度は右が正解だったということなど、ザラにある。
 
宿周辺に危険な雰囲気は感じなかった。異国であるというだけで、住んでいる東京の自宅周辺と、何ら変わらない空気感。このまま出かけても危険ではないと、直感が教えてくれた。
 
夕食の確保を兼ねて、出かけることにした。
宿から数十mの所に、美味しいタイ料理屋さんがあると教えていただいたが、とてもとても1人で入店する度胸も英語力もない。そこで、さっき案内していただいた、Whole foods market(ホールフーズ・マーケット)へ買い出しに行くことにした。
宿を出て左に進み、1度左折するだけだし、さっきの今なので、すぐに辿り着けた。
 
New Yorkで初めて入店したマーケット。広い店内の雰囲気は日本のスーパーと何となく似ているが、置かれている1つ1つの商品や大きさは、当然日本とは違う。その違いが、今、自分がNew Yorkにいることを実感させてくれた。

興味津々でゆっくりと店内を見回り、商品を品定めしながら、日本にいる感覚で〝菓子パンが食べたいな〟〝お弁当がいいな〟〝お惣菜を少し買って〟と思ったが、ない。
元々、ワンプレートご飯や、ワンボックスの中にチマチマとおかずが入っているお弁当が好きだ。それをNew Yorkのスーパーマーケットに求めたが、今ここでは、あるはずがない。そうか、ここはNew Yorkなのだ。
それなら、郷に入っては郷に従え。New Yorkのご飯を食べることにした。

ところが、ガラスケースの中に入っている料理を、カウンターの中にいる店員さんに頼む料理は買えない。なぜなら、ケースに並んでいる食べ物が、見ただけでは何の料理かわからないのだ。
味も想像できず、英語は読めず、聞くことも出来ず、頼み方もわからない。周りで、当たり前のように店員さんと談笑しながらオーダーしている買い物客を羨みながら、その場を離れた。

少し歩くと、様々なお惣菜らしきものやサラダが、サーティワンアイスクリームのような長方形のケースの中に、ズラーッと並んだコーナーに着いた。この中からいくつか選んで買うことを決めた。

けれども、買い方がわからない。仕方なく無駄にグルグルとその場を回り、他の客が買う様子を観察した。
コーナーの一角に大小2つの大きさの紙箱があり、その中に欲しい分だけ入れるようだった。
仕切りのない紙の箱に直接食べ物を詰めるのは少々ためらわれたが、とりあえず、黄色いタイ米のようなおそらくご飯、オムレツのようなおそらく卵料理、なすとパプリカの炒め物のようなおそらく洋風お惣菜を、小さい箱に詰めた。
パンも食べたかったが1袋に大量に入っていたり、個別売りの物は味や触感が想像できず諦めた。結局、おかず1箱、小袋で買えるワッフル1個、ヨーグルト1個、お水をカゴに入れた。

さて、お会計。
Jamaica(ジャマイカ)駅で切符を買って以来のドル支払だ。
切符は初めから値段がわかっていたし、助っ人駅員さんがいてくれたが、ここでは自分で金額を確認して支払わなければならない。言葉は通じない。ドキドキした。

20近いレジが横1列に並んでおり、お客の列の先頭の頭上には、番号が表示されているので、自分が列の先頭になったとき、頭上で表示された番号のレジに行けばいいのだ。私が先頭になったとき、頭上で17番が表示された。
常連客風をよそおって台にかごを置くと、レジのおねえさんが何か話しかけている。
「!“#$%&‘()=|&%$’-&%」
「&%$##$“&‘*+‘&#$!?」
うぅぅ~~~ん、わからない……。
何か言われていて、何か聞かれているようだが、わからない。
おそらく私の眉間にしわが寄っていたのだろう。察してくれたおねえさんは、商品を紙袋に入れてくれた。
とりあえず20ドル札を1枚渡し、いくらかのお釣りをもらってお会計終了。

レジの画面にはあちこちに数字が表示されたが、上手く読み取れず、いくらお買い物をして、いくらお釣りをもらったのか、さっぱりわからなかった。レシートには数字が点在しており、もらったお釣りの金額も、合っていたのかどうかさえ分からない。

後にオーナーの陽子さんから聞いたところによると、会員か会員じゃないかを聞かれていたらしい。会員ならカードを持っていたり、割引があるからだ。私のように会員ではないときは、「ビジター」と一言、言えばいいとのことだった。
夢か幻か、レジのおねえさんが「メンバー」と言ったような気がしないでもないが、いずれにしても、話せない聞き取れない理解できない私が、無事にレジを通過してお買い物ができたので、よしとする。

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