#17  JFKターミナル内・入国手続きの列、長蛇の方。・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月1日(木)1日目 17

成田空港を出発した飛行機は、無事にJohn F. Kennedy International Airport(ジョン・F・ケネディ国際空港)に到着した。
飛行機を出る瞬間、キャビンアテンダントが
「いってらっしゃいませ」
と優しく微笑みながら会釈をしてくれたが、緊張していたので返事も返せず、前を歩くお客に続いた。
 
飛行機を出てターミナルに向かって狭い通路を歩いた。成田空港のような窓は無く、照明も薄暗い。日本に比べて通路も古かった。けれど、この薄暗くきれいとは言えない廊下が、日本とは明らかに違う、アメリカを感じさせてくれた。
緊張でドキドキしたけれど、私は念願かなって、とうとうアメリカ・New Yorkにやってきた。本当に来たのだ。
もう嬉しいを通り越し、気持ちが舞い上がって身体がふわふわしていた。
 
iPhoneに早速メッセージが届いた。
私が、聖地であり約束の地と勝手に思い入れている企業の社長からだった。
お使いを頼まれていた、たばこを持って訪ねることになっていたのだが、その約束の時間変更のお知らせだった。New Yorkに到着してすぐ、最初のメールがNew Yorker(日本人だけど)からなんて嬉しいではないか! 
しかも目指す聖地も聖地、約束の地と勝手に思い込んでいるところからだ。勝手に運命的なものを感じ、幸先良いスタートをきれたようで嬉しかった。
 
窓が無く照明も薄暗い廊下での緊張はさらに高まり、全身がふわふわと浮いている感覚が続く。

少し進むと列の動きが止まった。入国審査のための列なのだが、長蛇で1時間近く並んだ。周りを見ると、国籍も年齢も様々な男女がいた。
どこからか日本語が聞こえた。
〝同時刻にいくつもの飛行機が到着したらしい〟

けれど日本人らしき人は見つけられなかった。ここでは自分1人だけが日本人という思いが再び緊張感を煽る。もしここで何かトラブルが起きても、誰も私の訴えを理解できないだろう。そう思うと孤独感も感じたが、自分で自分に言い聞かせる。
〝大丈夫。緊急事態が起きたら、ジャパニーズ!ジャパニーズ!!って叫ぼう。きっと日本語のわかる人が来てくれる。だってここは国際空港だもん。それに、不正はしてないから強制帰国にはならないし、大丈夫、大丈夫〟

そんなことを考えながら、列の途中におトイレ発見。本当は入りたかったが、ここで列を抜けたら元に戻れるとは限らない。切羽詰ってはいないので、我慢する。New York初おトイレの楽しみは、もう少しお預けだ。
 
長い列に並んでいると、セキュリティの女性が呼びかけている。何を言っているのかわからなかったが、〝グリーンカード(永住権)〟という単語が聞き取れた。
私が並んでいる列のお隣にもう1つ列があり、その先には〝Green card〟とマジックペンで手書きで書かれた紙が天井からぶら下がっていた。印刷ではなく手書きのアナログ加減がおかしくて、1人でクスっと笑ってしまった。

どうやらGreen cardを持っている人は、この長蛇の列に並ばずに先へ進めるようだ。〝けっ、Green cardは特別待遇か〟と僻みつつ、その列へ行く人を見ながら、列に並ばなくてもいいことより、Green cardを持っていることが羨ましかった。
 
やがて長蛇の列は、廊下待機から蛇行待機エリアまで進んだ。
先には入国審査手続きのためのブースが見えた。二股に分れており、空いている方のブースの上の看板を観ると〝Green card〟の文字が読み取れた。
私が死ぬほど欲しているカードだ。当然持っていないので、混雑している方に並ぶ。
15以上のブースがあるのに、なぜか3つしか機能していない。混雑の原因だ。でも慌てたり腹を立てることもなく、自分の順番を待った。こんなことはNew Yorkではよくあることなのだろう。なにより、JFKで長蛇の列に並ばされていることすら、私には嬉しかった。だってNew Yorkにいるのだから。

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