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あなたは国のために、見知らぬ子供を殺せるか【アメリカンスナイパー】

今回は、2015年に世に出た『アメリカンスナイパー』(監督・クリントイーストウッド)を観た感想を書いていく。

はじめに.あらすじ


 主人公・クリスの身体には、父の教えもあり、幼少期から「雄大な正義感」が育まれていた。
 それを体現するかのように、弟がいじめられている際には、相手の体格など気にせず「弟を助ける」の一心のみで、いじめっ子を成敗したこともある。

 そんな心の持ち主の主人公・クリスが、自国の軍(米軍)に入隊することは「必然」であった。彼は、戦争において、自分と同じアメリカ人が倒されることに、耐えられなかったのだ。

「俺が、救う」というスローガンを持つクリス。彼の得意分野は、演習中に教官が舌を巻くほどの「射撃」だ。
 その技術は、その後2キロ先の敵を倒すほどまでに成長する(砂漠で針を探しだすほどの難易度だ。)。また、輝かしい「射撃」の才能を持つクリスは、後に「レジェンド」と呼ばれ、崇拝されるようになる。

 しかし、初の戦地で、後の「レジェンド」の目の前に現れたのは、屈強な男たちが銃撃戦を繰り広げているだけの場所ではなかった。

 そこにあったのは、たった10歳程の子供が、爆弾を抱えているおぞましい状況であった。

 そんな環境において、アメリカ軍人としてクリスは、その子供に銃口を向けなければいけないのだ。倫理的には間違えているのかもしれないが、子供を撃たなければ自分たちが死んでしまう。

―――このような、戦争によって引き起こされる、様々な「葛藤」と主人公の「雄大な正義感」を描いた作品が『アメリカンスナイパー』である。

つぎに.主人公の「決断」は正しいのか


 この映画では、考えさせられる場面が多い。なぜ考えさせられるのだろうか。それは、主人公に与えられていく選択肢が、どれも重要に見えるからだ。

 仕事か、家族か。
 国の命か、自分の命か。
 爆弾を持つ見知らぬ子どもの命か、危険にさらされ得る仲間の命か。

 もちろん、どちらかを選択すれば、どちらかは捨てる事になる。そんな「決断」を、主人公・クリスは、常に行わなければならなかった。

 「決断」がキーワードの一つである『アメリカンスナイパー』において、重要な決断のシーンは多くあるが、今回は「見知らぬ子供に対して、引き金を引くこと」に関して、焦点を当てる。


 タイトルにもある「あなたは、国の為に見知らぬ子どもを殺せるか」という文。物騒な言葉ではあるが、一度考えてほしい。

 「 あなたの親友が、死にそうになっている。ただし、親友はあなた次第で「生きる」か「死ぬ」かが決定する。 」という状況を。

 ここで、クリスは親友を「生かせる」という決断をした。つまり、見知らぬ子どもを「死なせる」という決断をしたのである。
 もちろん、クリスも長い時間の葛藤の末の決断だった。(とは言っても、私たちのように、腰をつけて「うーん。」と悩む時間は、彼には与えられていない。)

 この「決断」、オブラートに包まずに言えば、「殺害」は、果たして正しい行動と言えるのだろうか?もしかしたらその子供は、心の中で「助けて!」と叫んでいたかもしれないのに…


 先に個人的な意見を言うと、クリスの決断に対しての正誤は、「(今は)分からない」だと思う。

 その行動が、クリスにとっても、世界にとっても「善い行い」かどうかは、後々、蓋を開けてみないと分からないからだ。そして、その行動の正誤が分かる時期も、分からない。

 ただ、まったく正解が分からない中でも、クリスは「決断」をした。
 そして、仲間を救うという結果を残したのである。

まとめ「一寸先は闇」ではあるが。


 私は、この映画でのクリスの「決断」を観て、なにか自分にも「決断するべき事」があるのではないかと考える。

 クリスは戦場なのに対し、私は10畳の部屋ではあるが、なにも分からない状態でも「自分にとって優先するべきことを見極めて、決断する」という行為は、必要不可欠な行為であることは、間違いない。

 そう感じ、私は、自身の重要事項を紙に書いてみた。
  ・Ⅹ(Twitter)を見る時間よりも、パートナーとの時間。
  ・動画を見る時間よりも、自分の趣味の時間。
  ・成功の為に、まだ見ぬ様々な人脈を探そうとするよりも、いま居る友人たちと交流を深める事

  色々書き連ねたが、この重要事項もまた、正解なのかは分からない。しかしながら、まず自分で判断し、決断、ついでは行動を起こさなければ、答えを確かめる事すらもできなくなってしまう。

 そんなことを、主人公・クリス、並びにイーストウッドから教わることのできた作品だった。

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