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リモートワーク実施の最大の壁「上司の許可」を乗り越える

「リモートワーク、やってみたいけど上司の許可が下りない・・・」「規定はあるけど使っている人を見たことがない」「そもそも規定がない」

そんな悩みに対する解決策を、約10人の小規模企業でリモートワークを導入・実施した経験をもとに書いてみました。

今この時期に自分や家族、大切な友人を感染から守るため。そして騒動が終わった後も働きやすい環境を維持するための、参考になれば幸いです。


はじめに

改めまして、はじめまして。大学発ベンチャーでエンジニアリングマネージャーをしている @Yukichan_0528 です。

世間ではコロナが猛威を振るっていますね。ライブや就職説明会など多くのイベントが中止になったり、ジブリ美術館などの公共施設が休館になるなど、人が集まるのをなるべく避けようという流れになってきています。毎日の通勤時における満員電車も例外ではなく、時差出勤やリモートワークを推奨・必須にする企業も出てきました。

それに合わせて、最近ではたくさんのHowTo記事やツール紹介記事も見かけるようになったのですが、それらであまり言及されていない気になることがありました。それは、「リモートワーク、上司からは求められていないんじゃね?」ってことです。

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導入したいと(上司に)思われていない説

まぁリモートワークのHowTo記事に「求められていません」なんて書かれるわけがないので、当然といえば当然です。しかし、いくら便利なツールが世の中に増えてきたとしても、「働くときは全員が出社するべき」という文化ではそもそもリモートの選択肢すら考えられないのではないでしょうか。

平成30年3月に出された国土交通省の「テレワーク人口実態調査」というものを調べてみたところ、テレワーク制度等を導入している企業の割合は、従業員数1000人以上の大企業で25.1%、従業員数1~99人の中小企業に至っては11.0%と、ほとんど導入されていないようです。同様に総務省の「通信利用動向調査(平成30年度版)」でも、リモートワークの導入率がわずか19.1%と出ています。制度があるかどうかでこの割合なので、実際にリモートワークできている人の数はもっと少ないでしょう。

また、実際にTwitterでリモートワークについて検索してみると、実施に後ろ向きな上司や経営層に対する愚痴や、実施しづらい組織や規定に対する話題がたくさん上がってきます。

「改善を訴える部下」と「責任を考える上司」

リモートワークする側の「部下」としては、
・満員電車での辛い通勤を無くしたい
・子育てや介護と仕事を両立したい
・もっと集中できる環境で働きたい
といった仕事に前向きな気持ちがあるはずなのですが、

リモートワーク導入を決定・実施を許可する「上司」としては、
・部下がサボらないようにしなければならない
・セキュリティを担保しなければならない
・評価も引き続きする必要がある
などいろいろな責任があり、素直に「リモートOK!」と許可できない状況なのだと思います。

「ITリテラシーの高いCEOがトップダウンでリモートワーク導入を決定する」、なんてのはほんの一握りの会社にしか起こりえないものです。上司と部下の思いがすれ違う中でリモートワークできるようにするためには、天から降ってくるチャンスを待つのではなく、まずは自分から動いて、双方の課題を解決していくことが必要です。

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私がリモートワーク実施に向けてやったこと

ということで実例として、私がマネージャーとして所属する会社で、リモートワーク制度が全く無かった状態から、どうやって上司・部下に働きかけ、1か月経たずに実運用ができるようになったのかをまとめてみました。

1、なぜ自分に必要なのかを再確認する

働きかけの中心はどうしても自分になります。相手に必要性を説いたり、行動のモチベーションを維持するためにも、「なぜリモートワークが自分に必要なのか」を改めて考えてみます。

私の場合、「子供の出産(特に妻の切迫早産対応)」、さらにその先に「共働きでの子育て」というわかりやすいイベントがあったため、なんとしてもやるという意気込みでできたのが大きかったです。

一般的には「通勤時間を仕事に充ててもっと成果を出したい」とか、そういう理由でも十分だと思います。

2、必要性を相手に伝え、協力を依頼する

当時私はエンジニアチームのリーダーとして働いていたので、リモートワークを導入し継続して実施していける状態にするには、
・部下視点で上司(経営層)に導入を許可してもらう
・上司視点で部下(チームメンバー)に制度を活用し続けてもらう
必要がありました。

経営層への説明は、1で考えた理由をそのまま伝え、「出産子育てに使う時間が増えることは不可避。でも仕事も引き続き同じようにこなしていきたい。リモートワークなら解決できそうなので制度を作れないか。」と協力を依頼しました。

同じようにチームメンバーにも協力を求め、一緒にやり方を考えてくれる体制をつくりました。

3、相手の課題を聞き、一緒に解決する

私の場合、幸いなことに部下もリモートワークしたい理由があったので、制度さえ導入できればみんなが実施できる文化として根付きそうな予感はありました。(実際に子育てや、学業と上手く両立させるために活用されています。)

もしリモートワーク仲間を作らなかった場合、制度ができても「雰囲気的に使えない」「使う人がいないから制度がなくなった」という状態になりかねません。最低でも2~3人くらいは定期的に活用するメンバーがいた方がいいと思います。いろいろな人に仕事の課題を聞いて回って、リモートワーク仲間にしてしまうのも良いかもしれません。

また、上司も制度づくりに協力の意思を示してはくれたものの、導入・実施を即決断できる状態ではありませんでした。先述した通り、

課題1:部下がサボらないようにしなければならない
課題2:セキュリティを担保しなければならない
課題3:評価も引き続きする必要がある

といった課題があるためです。これに対して、

解決策1:いつでもテレビ会議に応答できる環境で働く
解決策2:会社指定のノートPCを使用し、公共の場所・設備は利用しない
解決策3:労働時間と仕事の成果は始業・終業時にそれぞれ報告する

のようにそれぞれ解決策を示し、さらに
・まずは自分一人で実施し、上記で管理できるか試してほしい
・サボったと判断した場合は、働いていたとしても休み扱いでかまわない
というような感じで、自分を実験台にしてまずは試してもらうことで解決を図りました。

今思えばいきなりの無理難題をよく受け入れてもらえたなと思いますが、当時は切迫早産で妻が急に寝たきりの生活になり、どう仕事と両立するか本当に困っていたので、とても助かりました。小規模組織だからこそできる芸当かもしれませんが、本当にありがたかったです。

4、制度とツールを整える

実験がうまくいけばその後もうまく進むはずなので、最初のリモートワークは全力で成果を出すことを目指しました。その甲斐あってか、自分の取り組んだ内容をもとに制度がつくられ、ツールが導入され、就業規則にも明示されるようになりました。

ツールに関してはこの記事では特に記載しませんが、実際にどんなものがあるかはnote内でも検索すればたくさん引っかかると思います。

制度ができてからはチームメンバーもリモートワークを実施するようになり、そうやっていろいろな人が実施していく中でさらに制度やツールが改善され、今ではより快適な環境でリモートワークできるようになっています。

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おわりに

こんな感じでいろいろな人に協力を求めながら、あくまでも仕事をするための手段としてリモートワーク制度やツールを利用することで、最大の壁であったはずの「上司の許可」も自然と乗り越えることができました。

この記事で書いたことと同じ方法がすべての企業で通用するかはわかりませんが、少なくとも「リモートワークうちもやりましょう!」とただ上司に伝えるよりは、より良い結果を生み出せると思います。

私の経験が、より多くの人がより働きやすい環境で、充実した日々を送るための参考になれば幸いです。

ご覧いただきありがとうございました。



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