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easy poem「痕」

雨は降っていなかった

透明に浮遊していた水が
誰かの重みをまして
姿を現わし
地面に降りてきて
さらに誰かの重みをまして
氷になっている
早朝にみつけた
誰かと水の戯れの痕

誰かとは
私なのかもしれないし
私ではないのかもしれない
昨夕、
乗換案内に逆らって
路線図を遠回りをして
最寄り駅から暗い近い道を避け
大通りの街灯に沿って
遠回りをして帰宅した
夏ならば夕方の陽の名残が
まだ新しい、19時
冬の痕に気づくには
夜を越さなければならない
時差には種類があることを知る
遠回りもたぶん
そのうちのひとつである

雨は降っていなかった

早朝にみつけた痕は昼前にはとける
私の身体についた痕は
せめて一週間は残って欲しい

#日記 #詩

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