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easy poem「香水」

街にでれば
年に一度は
Fの香りとすれ違う
記憶の端っこにできた
小さなほくろ
悪くはない
正確にはFの香り
というのではなく
商品の香りであるから
私はFの
本当の匂いを
知らない

悪くはないが
良くもない
例えば
Qから
あの香りがしたとしたら
それはFになってしまう
そもそもQは
無味無臭で
私と別れるのであるが

本物の薔薇の香りを
知らないくせに
薔薇の香りが好き
商品の香りを
身体に絡めて
AからZまで
私をほくろにして
残してやるのだ

#日記 #香水

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