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いつの間にか目指してる

私には、自分ではない人には素直に言えるのに、自分から自分へ言うことを忘れてしまいがちな言葉がある。
「最初から100点を目指さなくてもいいんじゃない?」だ。

何かを生み出すとき、目標を掲げてそれを目指すとき、
その目標の100%が出来ていないと、と考えてしまう。

けれど、本当にそうだろうか。
休職明けから2ヶ月経つ私は、一生懸命な新入社員のフォローをする時、いつもそれを考えている。
真面目な人ほど、考えこんでしまうのだなぁと。
100点や100%なんて誰も求めていないかもしれない。
だから最初からそこを目指すのではなく、30点、50点と段々に登っていけたらいいじゃない、と逡巡する。

そして、はたと気付くのだ。

それは私だ、私の方だ。

いつの間にかあれもこれもと考えて、泥の中に長靴のまま突っ込んでずぶずぶと沈んでいくような感覚に埋もれてしまう。

鷽(うそ)という鳥

ベッドの中からぼーっと部屋を眺めていたら、鷽の背中が見えた。
「鷽か、そうか、嘘か。」とよく分からないことを一人呟いて、泥の中から出てみた。いつの間にか、私の心の中の景色は変わっていて、軽やかになっていた。

よく見える場所に鷽を移動させた。
自分をもう少し甘やかすことを目標にしようと決意した朝。