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化粧の仮面を外すとき

取り出したるは、クレンジングシート一片。
そっと、ぎゅっと、ずずずいっと押さえ拭きする。

あれ?こんなにも塗っていたかな?という程に滲む
マスカレードの残骸。
化粧の習慣がついて、シュババッと身につける仮面は、
いつの間にやら分厚くなっていた。

これはお風呂でクレンジングする時には気付かない。
だからこそ貴重な大発見である。


ある日、仮面を外した電車の中で、
向かい合った7席に埋まる人の顔を観察してみた。

化粧無し、有り | 有り、無し、無し | 有り、無し。
こんな感じ。
ちなみに「 | 」はポール。
有りは圧倒的に女性で、無しは圧倒的に男性が多い。
(学生は除く)

ここで私が言いたいのは、
「男性って仮面なしで勝負してんだな」ということ。

女性は化粧品代やら何やらお金がかかる、
ということではなく、「男性ってすごい!」と思った。

女性トイレになくてはならない個室は、
男子トイレにはほとんどないと聞く。

女性に無条件に許された個室空間は、
男性には一刻を争う駆け込み部屋なのだ。


そう考えてみると、
女性に与えられた自由は、なんと有難いことか。
(性を語るにはあまりに薄っぺらく申し訳なく思う。)

が、しかし、
化粧の仮面を外し、素の自分で外出しても咎められず、
仮面を付ければ、モードに入ったなと思ってもらえる。

ON/OFFを入切するのは、それだけではないけれど、
でも、私はその固定概念を肯定する。

はい、OFFだから許して、と。


あぁ、仮面を外したら顔が軽くなった。
貼り付けた笑顔は、一転、朴訥とした木彫りのよう。

あぁ、化粧落としシートに滲むライトベージュよ。
今日もお疲れさま。