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眠っていた記憶

近頃はプレゼンテーションと思考の文字起こしばかりしている。かつてはインプットが無いアウトプットを繰り返すなんて、そんな時間があったら他の事をやりたい!なんて思っていた。
ところが、どうだろう。アウトプットを突き詰めていくと自分が分かっていたと思うことが実は朧げであることに気付くのだ。そして、私はあの日のプレゼンでの質疑応答を思い出す。

プレゼンを終えるとクラスメイトが、「それはどれくらいの誤差が認められる場合に起きる現象なのか」みたいなことを私に問うた。ハッとした。
私はつらつらとあたかも自分の考えたことのように他人の成果をプレゼンし、こういうことが今研究されてるんだよ、面白いよね、役立つよね!みたいな発信をしていた。けれども、それは自分事ではなかった。
「すみません、そこまでは把握できていません。」と答えた私は、(そうか、私は研究者ではなく伝聞をアウトプットしただけなのだ)と自分の姿勢を壇上で恥じた。

これが私の中学3年生の時の思い出だ。

それから大学や会社など、様々な場面でプレゼンをするようになった。その度に、プレゼンは苦手だという気持ちが付いてまわる。私は研究職となった今も、どこか当事者でないような気がしてならない。そして、へっぴり腰になってしまう。

そんな時思い出すのは大学4年生のゼミでのプレゼンだ。そこには、研究はあまりしていないけれどプレゼンの上手い子がいた。普段は余りその子と関わりがなかったけれど、プレゼン終わりに「何故プレゼンが上手に出来るの?コツってある?」と聞いてみたことがある。その時彼は一瞬驚いた顔をして「慣れと回数だよ」と答えた。そんな彼は教師になった。

私は彼の言葉と過去の記憶を思い出しながら、後はプレゼンを前にして肝を据えるスイッチを自分で押せるようにする事だな、なんて考えている。
あと何回この記憶たちを引っ張り出すことになるだろうか。

プレゼンが上手い人になりたい。

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