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メディアが求めるもの。TV出演時に求められたもの。LGBTテレビ出演鈴木優希

以前、情報番組の密着取材を受けたことがある。

この番組に出演したことのあるニューハーフのショーパブで働いていた友達からの紹介で話がきた。

「男になりたい女たち」というテーマで性同一性障害、FTM、トランスジェンダーで性別変更をしている僕の生活に密着するという内容だった。

その時に感じた事をまとめていこうと思う。

TVが一番最初に撮った意外なモノとは?

まずは、マスコミ、TVが取りたがったのが、下着。

僕は普段男用の「ボクサーパンツ」を履いている。

それを並べて撮りたいとのこと。

実際に履いている自分のパンツがTVで放送されたのは、何だか恥ずかしかった(笑)

後は、「親」

これには少し迷った。

自分が性同一性障害であることを晒す事はいい。でも「親」は。

カミングアウトしていたとはいえ、父も立場がある人なのでその辺りに迷惑がかからないか心配だったので僕は乗り気じゃなかった。でも、TV的に子供が性同一性障害である「親の気持ち」は視聴者が見たい部分だといういう事も理解出来た。

それに伴い、父に相談してみた。

すると、意外な答えが返ってきた。

「少しでもお前の店の宣伝になるなら、俺はええぞ。」と。

当時、僕は名古屋市錦3丁目で今も経営しているVenusとは別に同じ錦3丁目で二号店となる「東海地区最大級」と銘打った大型オナベホストクラブをオープンさせた頃だった。リーマンショックの影響もあり、経営が厳しかった事を父は何となくわかっていたんだろう。

ありがたい親の思いに甘えて、取材を受けてもらう事になった。

父は僕の密着とは別日に実家での撮影となった。

あとは、新店Venusでの撮影。

僕がVenusで働いている姿とVenusに来店されていたお客様への取材。

お客様も快く取材に答えてくれた。


そして、3日ほど費やした密着が終わった。

驚いたのは、事前に編集して「こう流しますよー」という完成系のVTRを一切見せてくれない事。

放送日をお楽しみに!な感じだった。


そして迎えた放送日・・・

放送日は取材に答えてくれたお客様と一緒にVenus同伴前のご飯屋さんで見た。


僕はこのTV出演は新店Venusの宣伝が一番の目的だったので、希望した編集は「性同一性障害という病気・障害の部分というより、Venusでの楽しそうな様子。実際に応援してくれているVenusのお客様の声をメインに夕方の情報番組なのでこれ見た主婦層に来店してもらえるような明るい内容」を希望していた。

が・・・


察しのいい方はもうお分かりですね。。。



実際は、ビビるほどに、どんより「暗い内容」となっていた( 一一)(笑)


性同一性障害の医学的なお堅い説明とそんな大変な性同一性障害を抱えて生きる鈴木優希さんとパンツ。※パンツはしっかりと尺を貰って映っていた(笑)

インタビューを受けてくれた父にはモザイク。後日「俺は悪いことしてないぞ」と笑っていたが、これまでまっとうに歩いてきた父にモザイクをかけさせてしまった事は今も申し訳ない気持ちがある。そして僕の歳のテロップは間違えてるし。。

店の様子は映っていたが、障害を抱えた人が夜の街で働く的な、ニューハーフの子の時の華やかさは微塵もなかった。

実際にTVでこの放送を見た僕のお客様から、「あんなに悩んでたんだ。なんかゴメンね。」と謝りの電話が来たほど。


何よりも


一番気まずかったのは、お客さんの部分のインタビュー部分のオールカット。。。



ご飯屋さんが静寂に包まれた。(・_・;)



そんなTV取材からのギャラは、局のボールペン2本とメモ帳だった。(笑)

でも一つだけいい事もあった。

父の本音をTVを通して聞けたこと。普段あまり面と向かって話すことがない父がどう思ってたのかを知った。

「カミングアウトされた時は家内と2人戸惑いました、でも大事な自分の子供だから理解し応援していくしかない。」

嬉しかった。



僕はこのTV出演に関して、新店舗Venusの宣伝という目的があったので不満はあっても後悔はない。

ただそれがなく、「性同一性障害も持つ鈴木優希」個人だったとしたら、性同一性障害であることを晒すこと、親を巻き込み、語らせることのリスクとリターンは全く合わない行為だと感じた。

このTV出演は良くも悪くも僕にとって良い「経験」になった。

「経験」をしたから、今この記事を書けている。

思っている結果と違っても、無駄な「経験」はひとつもない。



鈴木優希のセミナー活動、LGBTについてのコンテンツを掲載しているオフィシャルサイトも是非見て頂けたら幸いです。

鈴木優希オフィシャルサイトはこちらから





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