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性別変更はゴールじゃなくスタートにすぎなかった。

僕はLGBT、トランスジェンダーの鈴木優希です。

今40歳。人生の半分以上は性別違和を抱えて生きてきた。

ガイドラインに沿った治療、美容外科ではない国内での手術にこだわったので戸籍を変更するまでかなりの時間を要した。

そして戸籍を変更した後は、身体のメンテナンスでの悩み、健康上の不安は絶えない。子宮・卵巣を摘出した性別適合手術の後から今まで医療費は毎年10万円をゆうに超えている。

僕がまずしていた誤算は、性別変更がゴールだと思っていた事だ。

ずっと何年も性別変更を目標に治療、行動していたから、他のことを考えていなかった。

性同一性障害を自覚してから、まずは自分を受け入れることに悩み、人を好きになって悩み、カミングアウトで悩み、治療への不安で悩みと、頭の中は「性同一性障害」のことばかりだった。

目の前のハードルをなんとか超え続けて、ゴールである性別変更にたどり着いた。

戸籍が鈴木優希「男」に変わった時は全てが終わった気がしていたんだ。

でも、それはゴールじゃなくてただのスタートだった。

性別変更したって人生は続く。そんな当たり前の事を忘れていた。

性同一性障害の悩みがひと段落した後

すぐに、31歳「男」としての悩みが追いかけてきた。性別がどうこうではなく、人として当たり前の試練、悩みだ。

恋愛、仕事、収入問題、家族、人間関係などなど、どっさり出てきた。

でも僕は全てのおいて経験不足でスタートダッシュがうまく切れずに苦労した。

女の子との交際も、結婚も、商売も人間関係も中二病というか、ままごと的な未熟さで多くの人に迷惑をかけた。

とにかく思ったのと違う。失敗だらけの毎日だった。

例えてみるなら、アスリート。小さい頃からそれしかやってこなかったから、他の経験が乏しく、セカンドライフに苦労するような感覚。

そりゃそうだ。普通の人(生まれた性と心が同じ人)だって、物心ついてからは、何かしらに悩みながら生きてきているんだもの。僕が心と体を合わせる作業に時間を取られている間にみんな経験値を積んでいる。

僕らは性別違和というプラスαがあるだけで治療はゴールじゃない。性別変更したって生活は続く。なんなら、性別変更後も体のメンテナンスで普通の人よりも自由な時間とお金が余分に必要となる事を忘れてはいけない。

スタートを切った後は、たくさん失敗の経験をしよう。僕らには立ち止まってる時間はない

駆け足で「経験」をしよう。人のアドバイスには耳を傾けよう。

逃げていたら、せっかく苦労して望んだ「性別」になっても、カッコイイ「男」にはなれない。良い男になる為にはそこからの努力しかない。

ゴールは死ぬ時。これは、LGBTも何も関係ない。

この世に生まれてきた全ての人に公平なもの。

悲劇のヒロインになってはいけない。性別違和がこの世の全てではない。視野を広く持つことを今からしておく必要がある。


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