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【保育の場から】ピンクが好きではダメですか?

小児科病棟で働いていたときの話です。
4~5歳くらいの男の子と遊んでいたとき。
その子が「○○くん(自分のこと)は、ピンクが大好きなんだ~。でも、□□くん(お友達)は、男の子が好きなの変だって言うんだよ!」。

私は「えー、なんでだろうね? ピンク可愛いし、私も好きだよ! ピンク好きでもいいじゃないねぇ」。
すると「そうだよね! ピンクかわいいよね! なんでそんなこと言うんだろうね?」と返ってきました。

まだまだ、世間にそういう意識があるんだな、と感じました。
その子がそのように言うのは、男の子がピンクを好きなのは変だという話をどこかで聞いたからであるはずです。
保護者の方に言われたか、おじいさんおばあさんに言われたか、はたまたそう言われたお友達から言われたのか……

だいぶ変わってきたとは思うけれど、そういう思い込み、偏見、まだまだ残っているものですね。

保育所保育指針という、保育所保育の実施や運営について厚生労働省によって定められたものがあります。
そのなかに、こんな一文があります。

”子どもの性差や個人差にも留意しつつ、性別などによる固定的な意識を植え付けることがないようにすること”
  保育所保育指針第2章4 保育の実施に関して留意すべき事項(1) カ

厚生労働省が、こう考えてるってことですよ。
建前上、かもしれないけど、そうなんです。

こんなこともありました。
小児科病棟に新しく入院してきたお子さんがいて、看護師さんから
「2歳の子が遊べるおもちゃをいくつか持ってきてもらえますか」
と言われた私。
いくつか見つくろったなかに、音のなる新幹線のおもちゃがありました。
音のなる新幹線は、気を引くのに有効だったのです。

それを見た看護師さんは一言。
「あ、女の子なんですよ~言わなかったからごめんなさい、新幹線は返しますね」。
私は軽く、あ、そうでしたか、と返答しましたが、ちょっと考えてしまいました。
「新幹線が好きじゃない子だったんですね」とか言えば、気づいてもらえたかなって。
だって、新幹線が好きな女の子、少なくないですよ。

私よりずっと若い看護師さんでもそうなんだから、これは根深い話なんだなと感じました。
その人が悪いわけじゃないんですよ。
その人も、そうやって教えられてきたからだと思うのです。

やっぱり私たちが「そんなのあたりまえ」みたいな顔して、男の子だから女の子だからっていうことに反応しないようにする必要があるな、と思っています。

子どもがそういう発言をしたら、「そうかなぁ?男の子が(女の子が)それを好きだって全然いいと思うな~」と、しれっと言える大人でありたい。
みんなが好きなことを自由に選択できる世界のほうが、みんなにとって楽しいんじゃないかと思うんです。


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