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春の風の音にざわつく繊細な母を理解した話

毎年春が来ると
「あぁ、春ってこんなに風が強かったんだ」
と新鮮に思い出す気がする。

風が強い日は、母は大丈夫かな、と思う。
強い風の音は、すごく胸がざわざわするから
とても苦手だという。

私の母は、いわゆるHSPということらしい。

HSPという性質が世に知れ渡ったころ
そういうことだったのか!!と膝を打った。

母は傷つきやすい人だから
傷つけないようにしなくちゃ、と
子どものころ思っていた。

私の子どもらしい不躾なことばに傷つき
ときどき部屋にこもられた記憶がある。
母を傷つけてしまった!と密かに毎度
ショックを受けていた。

母は、大きな事故や事件があると
感情移入してよく泣いていた。
普段は楽しくて愛情たっぷりの素敵な人だが
傷つけられたと感じると感情をあらわにした。

よく考えると、私も多少HSPの要素を
引き継いでいて、ピリピリした雰囲気が
つらいときもあった。

母のことが大好きだけど、自分のなかで
消化しきれないモヤモヤをずっと抱えていた。
忘れたと思ってもたまに顔を出してくる。
私のほうも、傷ついてたよ。

それが、HSPという性質の存在に出会った。
繊細すぎる人。
その特徴は母にぴったり当てはまった。

そうだったのか。
だから、ああいう行動になっていたのか。
自分のなかのモヤモヤが、パーッと
晴れた感じがした。

今よりもずっと女性が息苦しかった時代に
繊細すぎる人が子育てをする。
しかも、うちは転勤族だったので
知り合いもいない知らない土地でひとり。

あぁ~………つらかっただろうな。

初めて、母のしんどさを理解した。
つらく当たられたわけじゃなくて
無視されたわけじゃなくて
繊細すぎるがゆえに、自分を必死で守って
また私にしっかり向き合うために
自分を立て直していたのか。

こうして理解できたことは、私にとって
とても大きなことでした。
母を好きな気持ちが、しっかり根を張った。

すごい安心感でした。

いつか母に
「お母さんはHSPだったんだね」と
聞くと、軽く
「そうなのよ、そうみたいね」と
話していたので、自分でもわかったのでしょう。

ちなみに現在は、私も父も年を重ねて
人間が丸くなったように感じているのか
「我が家はいい雰囲気になったね」
みたいなことを言って、母もだいぶ
穏やかでいられるようになりました。

経験を積んで、自分の性質への対処法や
考え方のクセをつかめるようになった
感じでもありました。

私たちにとっては、HSPという性質の人が
いることを知るのは、助けになりました。

それは、母だけじゃなくて
私にとっても、自身の理解に役立ちました。

でも今日は、母の話だけ。また今度。



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