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農業をひも解く7 ~大地から離れる~

植物は発芽し、根を下ろす。これは植物の生理である。
しかし、

根を下ろす場所=大地

でなくともよい。もっといえば、
根を下ろすところに「土」

でなくともよいのである。

実はこれは現在、(閉鎖型)植物工場」という形で具体化されているのだが、こういう視点で見ている人はあまりいないだろう。

僕はこのnoteで、農業のいろいろな形を書き留めているわけだが、この、

根を下ろす場所は、大地でなくともよい

という考えをもつと、農業が

「立体的」

になる。空間利用が進むと言ってもよいかな。これは異業種、特に工業やシステム系の方にはご同意いただけると思う。

さて、農業という産業につきまとう問題のうち、
畑を起こすために機械を使い、その機械がGHGを排出することや、
農家を悩ます、
腰痛
ひざ痛
というのは、実は、

栽培を大地で行うこと

に起因する問題なのだ。

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これを一気に解決するのが、大地から離れた

高設栽培(こうせつさいばい)

なんである。僕はこれを、勝手に

ユニバーサル農業

と呼んでいる。

つまり、

ユニバーサル

・・こんな感じ。

写真は家電であるが、この家電を”台”と思ってもらえばいい。この台の上で植物を栽培すれば、誰でも、かつ、体にしんどい体勢を強いることのない
栽培環境
が出来上がる。
当然、トラクターで起こす必要もない
むろん、雑草も生えない

じゃあ台の上はどうなってんの?というと、これには選択肢がある。
「水耕(水栽培ですね)「ロックウール(生け花とかに使う緑色のアレ)があるし、まあ、土を敷き詰めたっていいだろう。
だがどうせならここに、植物のマジックを掛け合わせてみようじゃないか!

そのマジックとは、根のたくましい適応能力。専門的には、

根の可塑性(かそせい)

だ。要は、環境に応じて根の形はどうにでも変わるよ、ってこと。

根

どんな植物であっても、原始的な器官である根は、この可塑性を有する。
水分が豊富にあれば「水根(みずね)」に、
水分が少なければ「畑根(はたけね」になって、体に水分を吸い上げる。
前者は荒くて太くてのっぺりしているが、後者は細く細かく網の目状だ。
田んぼや畑をやっていればわかりますね。

使う資材はこれ。以前紹介した、緑化に使ったやつだ。

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これにとか園芸培土とか、要は物理的に土っぽいものを放り込む。そして、ポタポタと、点滴みたいに肥料の入った水をタイマーで落としてやる。水と肥料をすごく節約できる。

ネリカ

この資材は通気性がいいから、根が腐ることもなく、限られた空間の中で可塑性を発揮し、与えられた水分と養分を吸収する。その結果がこれだ。

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イメージを持っていただけただろうか?

農業は大地と共にあってよい。けれど大地から離れることもできる。
離れることで見えてくるものがある。これはまごうことなき科学だ。

座って作業ができ、
腰痛やひざ痛が起こることもなく、
車いすや障がいのある方でもフツーに、
スーパーの2階とかでゼロ・フードマイレージの野菜づくりを、
GHGを排出せずに、
雑草を生やすこともなく
実現する。

ユニバーサルじゃんね。(笑)

いろいろな農業の可能性を、僕はカタチにしていく。

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