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ゴールデンカムイ聖地巡礼・旭川~網走編(6)網走監獄で開拓の歴史に浸る

7/31(月)~8/4(金)の5日間でゴールデンカムイ聖地巡礼メインで北海道旅行に行ってきました。5日目は網走市内観光です。念願の網走監獄!

日程
1日目 普通の美瑛・富良野観光
2日目 大雪山系・旭岳散策、富良野、神居古潭
3日目 北鎮記念館
3日目 屈斜路湖、摩周湖、硫黄山
4日目 阿寒湖、釧路湿原
5日目 網走刑務所(この記事)、北方民族博物館、モヨロ貝塚、オホーツク流氷館


朝食バイキング@北天の丘

前日は海鮮丼メインで和風っぽくしたのでこの日は洋風。

洋風と見せかけて冷奴もあります

ホテルの朝食バイキングだと目の前で焼いてくれるオムレツも外せません! なので洋風メインにしました。でも汁物はみそ汁。

自分で具材選べるみそ汁バイキングが楽しくて

野菜たっぷり、網走のお豆腐やさん自家製の豆腐と油揚げも多めに入れました。具材を選ぶとこから楽しくて美味しい。デザートまでしっかりいただいた後は、部屋でコーヒー飲んで一息。

軍曹ベアとコーヒー。窓からは網走湖が見えてます。

チェックアウトして荷物を車に積み込んで出発。車への積み込みまでホテルのスタッフさんが対応してくれて、サービスの良さに感動しました! 奮発してとったお宿だけあってスタッフさんのサービスも食事もとてもよかったです!

★網走監獄

網走監獄は昔の刑務所の建物を移築して野外博物館として公開してるものです。網走監獄というと博物館で自由に見学できる方を指していて、網走刑務所というと現役で稼働してる刑務所を指します。

歓迎されている

昔の刑務所をそのまま移築してるので大変広くて見ごたえあります! ランチ込みですが4時間くらいかかりました。

網走観光では必ず出てくるスポットなので公共交通機関でのアクセスもしやすくなっています。本数は少ないですが、網走駅からバスが出ています。監獄のサイトには網走駅から徒歩40分とありましたので、徒歩でも行こうと思えば行けます(でも夏とか冬とか無理しない方がいいので公共交通機関ユーザーの方はアクセスできるタイミングで…特に冬)

正門

まずは門から。意外と小さい感じはしましたが、威圧感のある作りです。

警備員っぽい人はマネキンでした。結構リアル。

ゴールデンカムイ作中でも、アシリパさんが杉元がアチャを連れてくるのを待ってたり、インカラマッが屋根から監獄を見てたりといろんな所で出てきます。

分厚い門。看守控え室もあります。
中にマネキンがいてちょっとビックリした

網走監獄は移築されてるので今の位置には門の前に川はありません。川の描写は後で行く網走刑務所前で紹介します!

庁舎

門をくぐると現れるのが庁舎。端正な外観をしています。

明治の建物で重要文化財指定!

中には典獄室や、監獄の歴史を軽く紹介する展示施設、お土産屋さんなどがあります。ゴールデンカムイコーナーもこちらに!

おいでませ網走監獄ポスター!囚人たちが歓迎してくれる
ちょっと後ろが映りこんじゃいましたけど野田先生の色紙も!
やはり網走監獄は脱獄王白石ですよね

北海道の開拓と監獄の囚人たちについての歴史についても学べます。北海道の監獄の歴史=ほぼ開拓の歴史となっていて、知らないことが多くて勉強になりました。北海道の札幌・旭川間や旭川・網走間の道路は囚人たちによって開拓されたもので、ゴールデンカムイ作中でも土方さんが開拓と囚人の歴史について次のように触れています。

札幌と旭川を結ぶ長い長い道路脇には…
おびただしい死体が埋まっている
ヒグマと狼に怯えながら寒さと飢えに苦しみ死んでいった囚人たちだ

ゴールデンカムイ10巻第97話「旭川第七師団潜入大作戦」

その土方さんの説明へのアンサーかのように、犬童典獄に扮した鈴川が典獄側の考えを説明していました。

『囚人らはもとより悪徒であるから懲罰として苦役させれば工事が安く上がり倒れ死んでも監獄費の節約になる』

ゴールデンカムイ10巻第97話「旭川第七師団潜入大作戦」

作中の鈴川のセリフは『』がついていて、犬童が言ってたことを引用したのかと思ってました。

「監獄費の節約になる」と金子堅太郎が言ってたことが分かる解説パネル

展示されていたパネルで知ったのですが、実際にほぼ同じ内容を言ってる人がいました…。なんと史実からの引用だったんですね。あのセリフはゴールデンカムイ内の創作かと思ってました。

パネルで北海道の色々な監獄の歴史が紹介されていたのですが、どこも囚人の扱いが過酷…。死者、病人が続出の悲惨な有様でついに社会から批判されるレベルだったそうです。土方さんが「戦争は負けてはいけない」と言うわけですね。囚人たちの苦役については以下の記事でも少し触れてるのでよろしければご覧ください。

舎房及び中央見張所

網走監獄といえば有名なこちらの五翼放射状房! 重要文化財です!

巨大すぎて5方向に広がるあれは撮れません
ドローン撮影とかじゃないと無理じゃないかな

内部は自由に入って見学できます。この日は網走と言えど日中の気温は30度超えていたので内部もちょっと暑かったです。が、囚人たちが苦しんだのは寒さだそうで、冬の夜は鼻を揉んでないと凍傷になるというかつての囚人の証言が展示されてました。

中央見張り

門倉看守部長や同僚たちが詰めてた中央見張り! こちらに入ると確かに5方向が見渡せます。ただ人間の視界に限りがあるので、一度に見えるのは2方向くらいが限度かなと思いました。

運よく人のいなかったタイミング
鯉登少尉色紙と軍曹ベアで記念撮影

舎房の見学に参ります! 舎房の柱は一方向しか見えないように斜めに切られた斜め格子になっていて向かいの房が見えないようになっています。

こちらは見える方向
正面に立つとほとんど内部が見えません。
中からも正面に当たる部分は見えないでしょう
第四舎第六六房!

ニセのっぺら坊がいた房にも行ってきました。作中で杉元&白石vs第七師団の戦闘が繰り広げられた場所です。

天井はかなり高い!

脱走防止のためなのか、天井はかなり高いです。でもこの天井を登っちゃうのが脱獄王。

シライシィ!

天井近くにいるマネキンは白石のモデルとなった実在の脱獄王・白鳥由栄だそうです。実在の脱獄王は殺人とかもしている結構な凶悪犯なので、脱獄とか野菜泥棒で捕まった白石がなんだかかわいく思えてきました。

冬はとても寒いのでストーブがあったそうです。それでも寒かったとか。

暖房にもとても気を配られていて、各房に「均等に温かさが伝わるように非常に神経を使い位置が決められた」そうです。均等じゃないと暴動起きかねませんもんね。

房の様子。作中でも男色起きないように三人部屋とかいう話がありましたね。

房内の生活の様子もマネキンで展示されています。ここに三人はちょっと狭いような…? 

小さい紙のリストが貼ってあるのが備品の管理表

房の扉の所には備品の管理表とか、囚人の苦役内容やそれに応じた食事が貼ってありました。道路工事って大変そうなのに二等食みたいです。一等食の人はどんだけの労役になるんですかね…?

外から眺めた舎房。デカい

外から舎房を眺めてみましたが、例の5方向に広がる写真が撮れそうなポイントはありませんでした。パンフレットとかに乗ってる写真もおそらく空撮のものじゃないかと思われます。2方向の分だけでも納められないかなと思いましたが、切れちゃってますね。

苦役中の様子

旧網走刑務所 二見ヶ岡刑務支所

こちらは網走刑務所の支所で、農業を行って刑務所の食事を自給自足できるようにしているそうです。模範的で逃亡の恐れのあまりない囚人たちがいくところだそうで、余った野菜を近所に売りに行くこともあったとか(しかも安くて美味しいとご近所で評判だったそうです)

入口。意外とカワイイ。言われないと刑務所だとは思わないかも

この建物も重要文化財に指定されています!

野外博物館らしい注意書き

ここはマネキンで刑務所の生活が紹介されています。

一方向を向いて私語はなし
豆の選別や藁づくり
農作業から帰ってきて足を洗う場所
入浴中

刑務所の入力は何か隠したり受け渡したりできないように、入浴のルールも細かく決まっているそうです。湯船につかる→体を洗う→湯船につかる、の流れもそれぞれ時間とかが決まっているのだとか。

廊下。ここも天井が高い!

廊下はちゃんと磨かれてる感じがして意外と綺麗でした。そういう素材なのか、模範囚なのでこういうところの掃除もちゃんとしてたのかどちらでしょうね? 今もスタッフの方が丁寧にお掃除されてるようでした。

テニヤン島で飛行場の工事に従事する囚人たち

こちらでは戦時中の刑務所の様子も紹介されていました。全国各地の刑務所から集められた囚人が南太平洋の島での飛行場作りに従事していたそうです。特に網走刑務所の囚人たちはダイナマイトによる爆破のプロで、工事のエリートだったとのこと。道内でも道路づくりの苦役させられてますから練度が高かったんですかね。
ただ、工事を終えて日本に帰国する途中で船を米軍に撃沈されて多くが犠牲になったそうです。ここの展示も知らないことが多くて学びになりました。

監獄歴史館

旭川と網走を結ぶ中央道路の開削を中心に網走刑務所の歴史を紹介しています。網走監獄は基本的に野外博物館で、この日はすごく暑かったので唯一冷房効いた歴史館がオアシスでした。とはいえ、学べる内容はヘビーです。

囚人たちの移動の様子。
足跡マークのところに立つと四人目の囚人となって記念撮影ができます

「赫い囚人の森」という体感シアターを中心に、過酷な道路工事の様子が学べます。この体感シアターは、道路工事中に囚人の一人が亡くなる場面を描いたもので臨場感がありました。仲間の囚人も最後には見張りの看守まで一緒になって倒れた囚人に「一緒に網走へ帰るんだろう」と呼び掛けていて、胸がギュッとなりました。

228キロを雪が降る前に8か月で完成させろという無茶な指示だったそうです

解説パネルによると平均して700メートルに一人の割合で死者が出た難工事だったそうです。当初は土方さんのセリフ通り道路わきにそのまま埋められていたようですが、沿道の住民によって掘り起こされ慰霊碑で弔われているそうです。確かに北海道の地図を見ていると、特に旧道沿いには慰霊碑があるところがちょこちょこありますね。

この歴史館には体験できるコーナーもあって、土を運ぶモッコの重さとか囚人が寝るとき使っていた丸太枕も体験できます。道路工事中に寝泊まりする小屋では囚人は丸太を枕にしていたそうです。丸太枕の感想はこんな感じ。

・まず硬いし頭に沿ってくれるわけもないので不愉快(でも疲れてたら寝れるとは思います)
・一本の丸太を複数人で枕にするので不愉快
・丸太を叩いてたたき起こされるので不愉快

最後のたたき起こされるのがすごく不愉快でした。何とも言えない嫌な感じの鈍い音と振動が頭に伝わってきて、確かに確実に起きるけど目覚めはかなり不快です。
歴史館は映像や体験で囚人たちのことが学べてよかったです!

職員宿舎

職員宿舎も刑務所の中にあります。ゴールデンカムイ作中でも門倉さんの部屋が刑務所内部にありましたね。

一棟が3世帯分くらいに区切られてます
内部はこんな感じ。ガラスに写りこまないように撮ろうと頑張ったけど無理でした

中は結構狭いですが、明治・大正あたりの下級官吏の社宅と考えればこんなもんなんですかね。

通用門と哨舎

看守が囚人たちを見張るところを哨舎というそうです。写真に写ってるやつは昭和60年まで現役で使われていたもの。舎房の中央見張りと同じく八角形ですね。

なるべく現代的なものが写らないアングルで

浴場

網走監獄の方の浴場風景です(先ほどのは支所の二見ヶ岡のもの)。支所と同じく、湯船につかる→体を洗う→湯船につかる、の時間も厳格に決まっていて、何か隠したり受け渡したりできないよう浴槽の深さは95センチ、手を挙げて入ること、などの決まりもあります。それでも入浴は囚人たちの楽しみだったそうです。

紋々入っている人もいてこちらの方が重罪の人っぽいですね

独房

白石が脱走を企てては閉じ込められてたところですね。

窓もなく中はかなり暗い

内部を覗くとかなり暗く、扉を閉めればたぶん真っ暗です。懲罰のためなので当たり前ですがかなり怖いし不快でしょうね。食事も七日間重湯のみだったそうで懲罰房行きはかなりの恐怖だったと思います。

教誨堂

ゴールデンカムイ作中でも重要な舞台となった教誨堂は、重要文化財にも指定されています。

作中でもよく見たこのフォルム!

犬童典獄が色々と出入りしてたり、白石とシスター宮沢の出会いの地でもありました。内部はかなり広い作りになっています。土方さんと犬童典獄の鎖デスマッチで作中でも印象的なシーンで出てきますね。

作中では地下室から出てきた犬童に都丹さんが襲われたところ
作中では鎖デスマッチの舞台

鎖デスマッチは土方さんの百戦錬磨の戦いぶりと折れない心が際立つ戦いでかなり好きなシーンです。犬童典獄の最後のセリフ「やれ 最後の侍…」もひねたキャラの最期に見せた潔さとして好きです。読み返してて気づいたんですが、あのシーンは土方さんが犬童の腹に一太刀浴びせてそのあと首を落としてるので、切腹と介錯へのオマージュと言えなくもない? 考えすぎ?

監獄食堂

色々見て回ってお腹が減ったので監獄食堂で監獄定食をいただきます!

ログハウス調のしゃれた外観

ランチピークは混みそうなので、11時ごろに行きました。ここでは網走刑務所で出されているのと同じ献立の監獄定食A・Bをいただけます! ほかのメニューもありますが、やはり監獄定食を食べたいところ。

これが監獄定食だ!

監獄定食の内容は、麦ごはん、味噌汁、サンマ or ホッケ、副菜2品となっています。ご飯の量はちょっと多め。野菜もちゃんと入ってて健康的ですね。味付けも美味しくて健康に配慮して作られてる感じでした。

高見張り

作中で尾形の狙撃ポイントとなっていた箇所です。2023年8月時点のGoogle Mapでは登り窯の近くにあることになってますが、そちらは見つけられませんでした。高見張りは2つあり、もう1つは監獄食堂裏手の職員さん向けの駐車場のところにあります。

看守のマネキンもいました
網走監獄入り口から撮ると見張りっぽい画角で撮れます

★網走刑務所の外観

さて、網走監獄は移築されているので、ゴールデンカムイの時代には現在の網走刑務所の場所にありました。サケ漁に偽装した小屋を建ててたのは現在の刑務所の位置と思われますので、こちらにも行ってみました。

Google Mapのキャプチャです

網走監獄と網走刑務所と網走刑務所二見ケ岡農場の位置関係です。二見ケ岡農場は行ってませんがついでに載せてみました。網走刑務所は前に川、後ろに山の位置になっているのが分かるでしょうか。逃亡しづらそうです。

現在の網走刑務所の外観

ゴールデンカムイ作中でサケ漁の小屋を作っていたのはこんな感じのレンガの壁の横でしたね。塀の外に小屋を作れそうなスペースもあります。
あまり近づいては見ませんでしたけど、この外壁は昔のを補修して使ってたりするんでしょうか。

この向こう側が網走刑務所です

作中では鯉登少将の駆逐艦の砲撃で壊された橋です。鏡橋という名前で、「鏡を見て自分を振り返るように」という意図からのネーミングだったと網走監獄の歴史館で見ました。

さて監獄めぐりはこちらで終了! 5日目は他にも北方民族博物館などに行っていますが、網走監獄が思いのほか分量あったので別の記事にします。

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