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大切な存在との別れの時 「くまとやまねこ」

先月酒井駒子さんの原画展に行った時、
原画とともに絵本の文章が紹介されていて、
会場内には絵本も置かれていました。 

何冊か手にとり、その場で
「素敵だなあ」と読んでいたのですが、
手元に置いて読み返したい本がありました。

「くまとやまねこ」という絵本は
子供も読めるように書かれていますが、
内容は大人が読むほうが
ずっしり伝わってくるかもしれません。

挿絵は酒井駒子さんですが、
文章は湯本香樹実さん。

最初のページから衝撃的。

ある朝、くまといっしょに暮らしていた
なかよしの小鳥が死んでしまうのです。

突然のお別れに、大きな衝撃を受けて
悲しみにひたるくま。

文章からもその悲しみの大きさや
苦しさが伝わってくるのですが、
酒井さんの絵からも
元気だった時のことりの愛らしさや
くまのうなだれた姿から
深い悲しみが伝わってきて、
切なくなるのです。

でも、この本のタイトルの通り、
くまはやまねこに出会います。

そして、この本のタイトルは
「くまとやまねこ」。

「くまとことり」ではないのです。

あくまでも、くまは
亡くなってしまったことりと
過去を生きるのではなく、
ことりとの思い出を大切にしながら、
新たに出会ったやまねこと
「今、これから」
を生きて行くのです。 


いろいろな形で
いろいろなお別れがあるでしょう。

今年、わたしの周りでも
たくさんの方のお別れのたよりがありました。

相手が大切な存在であればあるほど
失った悲しみは大きいはず。 

それでも、わたしたちは
生きていかなくてはなりません。 

悲嘆に暮れて生きるのか、
大切な思い出を胸に、
新たな一歩を踏み出すのか。

それはその人それぞれの選択ですし、
辛くて立ち上がれない時もあるでしょう。

何も手につかないような気持ちで
呆然と過ごすしかない日が続くことも
あるかもしれません。

それでも、
しばらくはそんな時間を
過ごすしかないとしても、
わたしは勇気を持って
歩き続ける人でいたいと思います。 

もちろん、大切な人たちが
いつまでも元気で過ごしてくれることを
いちばんに願っています。

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

*昨日、近所のギャラリーをのぞくと
可愛らしい展覧会が始まっていました。

「木工くま吉個展
今年も一年ありがとう」

可愛らしい木工作品に、
気持ちが明るくなりました。 
(撮影可能、シェア可能とのこと)

12月5日まで、井の頭公園駅近くの
キチジョウジギャラリー
にて開催中。
(ただし12/4−5は
整理券をお持ちの方のみ入場可能)

カフェで書き物をすることが多いので、いただいたサポートはありがたく美味しいお茶代や資料の書籍代に使わせていただきます。応援していただけると大変嬉しいです。