最晩年に、人のために何ができるか
あなたは、以前ご紹介した
英国の「キャプテン・トム」
を覚えていらっしゃいますか?
(前回の電子書籍
「1997~英国で1年暮らしてみれば~Vol.3」
http://amzn.to/3mItv7T
でも書いている方です)
昨日、twitterで
彼が2月2日に新型コロナウィルスで
亡くなったことを知りました。
(肺炎の治療を受けていたため、
ワクチンの接種はできなかったそうです。)
「キャプテン・トム」の愛称で親しまれた
英国のサー・トム・ムーア退役大尉は、
昨年の春、英国が最初のロックダウンを行っていた時、
あるチャレンジをしました。
新型ウイルスと最前線で闘う医療従事者のために
寄付を募ろうと自宅の庭を歩行器で
25メートルを100回歩くチャレンジを行い、
見事成功したのです。
そのチャレンジは英国内外で話題になり、
多くの方がキャプテン・トムの思いに賛同し、
そして彼が行動し続ける姿に感動して
150万人以上人々が3279万4701ポンド
(約47億1600万円)を寄付したのです。
簡単そうなチャレンジに聞こえるかもしれませんが、
このチャレンジを始めた時、
キャプテン・トムは99歳。
臀部の骨折とがんの治療も受けていたので、
歩行器を使いながら、
一歩一歩しか進めない彼にとって
25m×100回はとんでもない挑戦だったのです。
それでも、
「NHSのみんなは(闘病中に)
私に本当によくしてくれたし、
他の人たちにも今本当によくしてくれているので
みんなで『NHS, よくやった』と言わなくてはならないと思う」
という気持ちで、
このチャレンジを始めたのだそうです。
キャプテン・トムは
2020年4月の誕生日には名誉大佐の称号を、
そして7月には
このチャレンジによって
医療従事者などを支援するために
多額の寄付を集めた功績により、
ウィンザー城でエリザベス女王からナイトの爵位を授与されました。
エリザベス女王は、
「全国民と世界中の人たちを励ましてくれた」
と哀悼の意を表明し、ご家族に
お悔やみの言葉を送られたそうです。
Twitterの英国王室のアカウントでも
「女王陛下は昨年、
キャプテン・サー・トムとご家族との面会を非常に楽しんでいました。
陛下と王室メンバーはご家族に思いを寄せています。」
という投稿が掲載されています。
(そのTwitter投稿の写真を掲載させていただいています)
ロンドン・ダウニング街の首相官邸では
弔意の半旗が掲げられ、ジョンソン首相は
「キャプテン・サー・トム・ムーアは
真の意味で英雄だった。
第2次世界大戦下の暗い日々の中で
彼は自由のために戦い、
この国の戦後最も深刻な危機に直面した際には我々全員を団結させ、
我々全員を励まし、
人間の精神の勝利を体現した」
「彼は国を鼓舞するだけでなく、
世界にとっての希望の光となった。」
という声明を発表。
そして、2月3日水曜日の18時に
キャプテン・トムと医療従事者の方達に
感謝の拍手を送ろうと国民に呼びかけたのです。
新型コロナウィルスと戦う医療従事者のために
奮闘した彼がそのウィルスに倒れたことが
残念でなりません。
99歳で病のある身体でも
新型コロナウィルス と戦う医療従事者の方に
自分でできることをしようと
チャレンジをして、
たった一人で多くの寄付を集めた
キャプテン・トム。
わたしがもっと歳をとって
思うように体を動かすこともできなくなっても
わたしはそんな風に
他の人のために何かしようと思えるだろうか。
何か自分にできることを考え出して、
一人でもやり抜くことができるだろうか。
実際、自分が晩年を迎える時に
どんな状態でいるかわかりませんが、
キャプテン・トムが見せてくれたように、
「最後まで自分にできることを諦めない」
「たとえどんなことでもいいから人のためにできることをする」
「人に対する感謝の気持ちを行動で表すことを忘れない」、
それができる人でいたいと思います。
最後まで多くのことを教えてくれた
キャプテン・サー・トム・ムーアの
ご冥福をお祈りします。
今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
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