桜が散った後に見る桜「富士と桜」@山種美術館
今週末の東京は不安定なお天気でしたが、今日の晴れ間にふと思い立って山種美術館で開催中の「世界遺産登録10周年記念 富士と桜〜北斎の富士から土牛の桜まで〜」を見にいくことに。
この展覧会、富士山がユネスコの世界遺産に登録されてから10周年となることを祝う特別展です。
もちろん、富士山を題材とする作品も楽しみではあったのですが、わたしは桜を描いた作品が好きなので、とても楽しみにしていたのです。
山種美術館の入り口のそばには今回の展覧会でも展示された奥村土牛の「醍醐」のモデルとなった、京都・総本山醍醐寺の「太閤しだれ桜」を組織培養した「太閤千代しだれ」の苗木が育っています。
もう少し早くに足を運んでいればこの桜も土牛の《醍醐》も両方を見ることができたはずですが、さすがに今日はもうすっかり葉桜になっていました。(残念!)
今回の展覧会で唯一写真撮影が許された横山大観の「富士山」(上の写真)以外にも、まさに「霊峰」と呼びたくなる神々しい富士山や、葛飾北斎の「富嶽百景」で
様々な形で描かれた富士山、とても現代的な姿に描かれた富士山などなど、それぞれの画家が富士山に挑むように描いた富士山の姿を見て圧倒されました。
そして、桜を描いた作品は桜そのものを主役として描いたものも桜を愛でる人達を描いた作品もあり、桜の姿にも、桜を愛でる人達の様子にも見ほれました。
奥村土牛の「醍醐」は柔らかく、見ていてほっとしますし、上村松園の「桜可里(さくらがり)」は女性たちが桜の枝を持っていたり、桜の紋が入った着物を着ていたりして、おしゃれしてお花見を楽しんでいる様子にこちらも楽しくなってきます。
そして、今回第二展示室に展示されていた夜桜の絵の荘厳な美しさ。
稗田一穂の「惜春」では暗闇の中静かに咲く桜と三日月。
石田武の「春宵」では、溢れんばかりに咲き誇る枝垂れ桜と、それを見守るように輝く満月。
加山又造の「夜桜」は京都の円山公園のしだれ桜としか思えない姿の桜が。
千住博の「夜桜」はさあっと風が吹いてはらはらと桜が散るところまで見えるような。
圧巻、のひと言でした。
やはり、足を運んでよかったです。
これからしばらくの間、東京では気になる展覧会が続きます。
GWもわたしはいつも通り仕事なので、せめて天気と体調の許す限り、美術館を楽しみに行こうと思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*美術館に行く前に、恵比寿の子どものためのセレクト・ブックショップ、「ちえの木の実」に行ってみました。
子供向けの絵本や児童書だけでなく、大人向けのアート絵本や詩集などもあり、素敵な本屋さんでした。