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ギルフォードで、思いがけず「ルイス・キャロル・ツアー」

あなたは英国の「ギルフォード」
という街のことをご存知ですか?  

ギルフォードはわたしが1997年に
ホームステイをしていたイングランド南東部の
サリー州の州都です。 

ギルドホール

わたしが住んでいたOxtedもそうでしたが、
サリー州はロンドンからも通勤圏内で、 

「平日はしっかり仕事をして、プライベートは落ち着いた環境で
ゆったり暮らす」
 
という、比較的余裕のある方たちが暮らす地域、という雰囲気でした。 

ちなみに、2017年にノーベル文学賞を受賞した
長崎出身の日系英国人小説家、
カズオ・イシグロが長崎から英国に移り住み、
少年時代を過ごしたのが、
このギルフォードでした。 
 
わたしはギルフォードについての予備知識は
ほとんどなかったのですが、
ギルフォードがきれいなところらしいと聞き、
「自分の住んでいる州の中心地だし、
一度行ってみようかな」
という軽い気持ちで出かけたのです。 
 
ですが、その日は英国滞在中の
わたしの数ある日帰り旅行の中でも
五本の指に入るくらい、
予想外に盛りだくさんの一日になりました。   

ギルフォード城に立ち寄った後、
近くのギルフォード・ミュージアムに
いってみると、
そこにはルイス・キャロルについての
展示がありました。  

というのは、ルイス・キャロルは
オクスフォードのクライスト・チャーチで
数学を教えていましたが、
6人の未婚の姉妹のために
「チェスナッツ(The Chestnuts、「栗」)」
という家をギルフォードで借りていたのです。

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そして、彼は時々この家を訪れては
数日間滞在し、
クリスマスには数週間を過ごしていました。 
彼は近所を散歩をしながら
詩を作ることもあったそうです。 

そして、66歳の誕生日(1/27)を
間近に控えた1898年1月14日、
ルイス・キャロルはこの家に滞在している間に
肺炎で亡くなり、
近隣の墓地に埋葬されたのです。 

わたしはそんなことは全く知らずに
ギルフォードを訪れていたのでした。 

ちなみに、ルイス・キャロルが亡くなった後も、
彼の姉妹たちは第一次世界大戦の終わりまでこの家に住み続けていました。 

最後に残った妹のルイーズは
この家に住むことを諦めて
もっと小さな家に引っ越し、
1930年に亡くなったそうです。

ギルフォード・ミュージアムには 
アリスのモデルになった
アリス・リデルがサインした本や
八十歳の時の彼女の写真も展示されていました。 

そして、帰りに売店で
ポストカードを選んでいると、
アリスらしき像の写真の絵葉書があり、
レジにいた男性に聞くと、
それはギルフォードにあるアリスの銅像だと
教えてくれました。 

「ギルフォードには、
アリスの銅像が二種類あるんですよ。
それから、The Chestnutsには行きましたか?」
といって、
それぞれへの行き方も説明してくれました。 

ルイス・キャロルが亡くなった家
「The Chesnuts」はすぐ近くにありましたが、一般の方が住んでいるので、
内部は見学できません。 

でも、門には
「ルイス・キャロルはこの家に住み、一八九八年一月十四日にここで亡くなりました」
という表示があり、その写真を撮らせていただきました。 

チェスナットハウスのプラーク

アリスの一つ目の銅像は、ギルフォード城の敷地内にありました。  

先にお城の敷地を歩いていた時、 
すぐ近くを通っていたのですが、
この像は木の陰になっていて、
全く気がついていなかったのです。 

「鏡の国のアリス」の像は
ギルフォード城を向いて、
鏡をすり抜けようとしているのですが、
お城に手を伸ばしているようにも見えます。 

城壁のアリス正面

ちなみに、ルイス・キャロルは
ギルフォード滞在中に「鏡の国のアリス」を
書き上げたそうです。 

そして、もう一つのアリス像は、
ギルフォードの中心部、ハイ・ストリート
(大通り)からほど近い、
川べりにありました。  

川べりのアリス

こちらは走っていくウサギ、
腹ばいになってアリスに
本を読んで聞かせるお姉さんと、
それを聞きながらも走っていくウサギに
気を取られているアリスの像。  

まさに、「不思議の国のアリス」の
冒頭部分の場面です。 
 
お姉さんのくつろいだ様子、
走っていくウサギの躍動感も
自然で目を引かれたのですが、
ウサギから目を離せないアリスも
 
「あれ、さっきの像と違う。 
アリスのモデルになったアリス・リデルに似せて作られたのかな?」
という印象でした。 
 
そして、アリスのお姉さんの像が広げている本が実は「不思議の国のアリス」で、
ちゃんと物語も書かれていて、
テニエルの挿絵のウサギまで描かれていたのです。 

ギルフォード城へき


ここまででもかなり大満足だったのですが、
ここでちょっと足を伸ばしたことが、
この日のギルフォード訪問、
そして「ルイス・キャロル・ツアー」を
大きく変えてくれました。  
 
この続きは、
「1997」のVol.3に現在執筆中です。  

出版された時に、読んでくださいね。 
 
今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。 
 
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