大胆で、劇的で。「ヴァロットン―黒と白」＠三菱一号館美術館

昨年から何かと版画作品を見に行くことが多い気がします。

昨日(1/29)に終わってしまった展覧会ですが、とてもよかったのが三菱一号館美術館で開催されていた「ヴァロットン―黒と白」展でした。

展覧会のポスターに使われていた「嘘」もとても印象的な作品なのでずっと気になっており、年が明けてから見に行きました。

行ったのが日曜日ということもあったのですが、かなり混み合っていて、人気ぶりが伺えました。

わたしは今回の展覧会で初めてヴァロットンのことを知りましたが、大胆で、劇的で、色っぽくて。
まるで映画の一場面のような作品に惹きつけられました。

フェリックス・ヴァロットンはスイス出身の画家で、19世紀末のパリで活躍、黒一色の革新的な木版画で名声を得たのだそうです。

今回の展覧会で展示されていたのはどこかから借りた作品なのかと思いきや、三菱一号美術館は世界有数の彼の版画コレクションを所蔵しており、今回はそのコレクションを初公開したものとのこと。

ヴァロットンと同時代にパリで活躍したのがロートレック。

三菱一号館美術館と姉妹館提携をしているフランスのトゥールーズ＝ロートレック美術館は昨年開館１００周年を迎えたそうです。

その関連特別展示としてロートレック美術館所蔵のロートレック作品も展示され、ヴァロットンの作品と比較できるようになっていたのも面白く拝見しました。

ヴァロットンの作品はおしゃれで美しいだけの作品ではなく、デモ行進など社会の動きを伝える作品、「これが戦争だ！」というタイトル通り、戦争の悲惨さを伝える作品など、世界の動きやその時代の空気をも伝える作品でした。

「学生たちのデモ行進」（撮影可能エリア）

一部には彩色の作品もありましたが、ほとんどが黒と白だけの木版画作品なのに、なんと表現豊かで雄弁なのか。
本当に素晴らしいと思いました。

会場の中で、作品をつなげてアニメのようにした動画を見ることもできたのですが、それぞれの作品が劇的なので、動画にしても違和感がなく、ストーリーが見えるようでした。

ちなみに、三菱一号館美術館はこの次の展覧会、「芳幾・芳年—国芳門下の２大ライバル」のあとは大規模修繕工事のために休館し、２０２４年度中にリニューアルオープンする予定なのだそうです。

次の展覧会（2/25から）も面白そうなので、今から楽しみです。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

＊写真は撮影可能エリアで撮影したもの以外は展覧会ちらしのものです。