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コロナ禍で孤独とどう付き合うか

昨日、「英国のお母さん」ジルから
手紙が届きました。

手紙には彼女の家族の近況が書かれていて、
「あなたなら興味があるんじゃないかしら」
と同封してくれた地元の新聞の切り抜きには、
かつてのわたしのように、英国の学校で
子供達に日本文化を伝える活動をしている
女性のことが書かれていました。

そして、どうやらその学校側も
日本について学ぶ授業に力を入れていたようです。

「日本へのバーチャルトリップ」として
英国から日本への旅を疑似体験する授業では
生徒たちがパスポートコントロールの係官になったり
飛行機のパイロットやCAにもなり、
機内サービスまで行われたとか。

日本についたら、
茶道のお茶会を体験したり、
折り紙を折ったり、
という疑似旅を楽しんだようです。

「なるほどなあ、面白いなあ」
と自分の活動も思い出しつつ、
読んでいました。

切り抜きの日にちは2021年6月10日。

イングランドでは厳しいロックダウンが
徐々に緩和されつつあると聞いていましたが、
子供達も学校の授業を楽しんでいるようです。

ふと消印を見ると
「LONLINESS AWARENESS WEEK 2021」
#LETSTALKLONELINESS
とありました。

そういえば、英国は世界で初めて
「孤独・孤立対策担当大臣」
を任命した国なのです。

しかも、それはコロナが流行する前の2018年。

「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つ」
というのが任命の理由でした。

「孤独・孤立対策担当大臣」
の実現に尽力したのは
不幸にも2016年に41歳の若さで射殺された
労働党のジョー・コックス下院議員。

彼女は選挙運動中に戸別訪問をする中で
多くの人が孤独を抱えていると気づいたのです。 

「世代にかかわらず影響する孤独の問題は
政策的な対応が必要だ。」
そのために初当選後に
超党派の委員会を立ち上げて
活動していた彼女が亡くなってからも
彼女の遺志は受け継がれ、
大臣任命に至ったのです。

英国政府がこれほど力入れて取り組むのは
「孤独」が国民に与える影響によって
健康の悪化や生産性の低下が起こり、
医療費や経済を圧迫する可能性があるため。

そのような理由があり、
わたしが消印に見た
「孤独について語ろう」キャンペーンも
政府主導で行われているのです。

日本でも若い人の間では一人でいることを
「ぼっち」などと言って、
「友達のいない人」のような
マイナスの捉え方をしたりするようですが、
英国ではさらに
「孤独はスティグマ(汚名、恥辱)」
「自分が孤独だと認めることは『弱さの表れ』」
などという考え方をする人もいるのだとか。

でも、国を問わず、このコロナ禍では
否応無しに孤独と向き合わざるを得ない人が
増えているはず。

わたしもそうです。 

(とは言っても、仕事や趣味のおかげで
それほど深刻に孤独を噛みしめている
わけではないのですが)

日本では今年、世界で2番目となる
「孤独・孤立対策担当大臣」
を任命したそうですが、
ほとんど認知されていないような気がします。

インターネットを使える人であれば
サイトにアクセスして、
辛い時の相談先をしらべることもできますが、
(アクセスして見ると、
結構色々な相談先が掲載されていました)
PCがわからない高齢の方や、
そのような情報があることを知らない方達は
どうしたらいいのでしょうね。

ちなみに、英国の
「Let`s talk lonliness (孤独について話そう)」
のウェブサイトを見ると、
孤独を感じる人へのアドバイスとして

・家族や友人、隣人と連絡を取る。
・専門機関に連絡する。
・毎日の日課を決める。
・ボランティアに参加する。
・共通の興味を持つ人たちのグループに参加する。

などが記載されていました。

「そんなこと、もうやってる」
という方も多いかもしれませんが、
わたしは読みながら
「世界中で孤独に苦しむ人たちが
どれだけたくさんいるんだろう」
と考えずには入られませんでした。

直接人と会うことが難しいこの状態では
電話やメール、チャット、SNSなどで
家族や友人たちと連絡を取り合って
まだまだ続きそうなこの期間を
乗り越えていくしかないのですよね。 

やはり毎日ほぼ一人で過ごして
食事も常に一人で食べていると
否応無しに孤独を感じることがあります。

それでも、一人でも本は読めるし
音楽も聴けるし、
美味しいものも食べられる。

先が見えないこんな時だからこそ、
美しいものや楽しいもの、
美味しいものからエネルギーをいただきつつ
兎にも角にも元気でいようと思う
今日この頃です。

今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

*実家には毎週一度は手紙かハガキを
送るようにしているのですが、
忙しくてたまに間があくと、父が
「最近由紀からハガキが来ないな」
というのだそうです。

全く気にしていないのではと思っていたのですが
意外と楽しみにしてくれているもよう(^^)

今回は、東山魁夷画伯の絵葉書に
夕張メロンの切手を貼って送りました。

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