ご褒美目当てで頑張るのは良くないの?

こんにちは、辰巳です♪

今日は「ご褒美の是非」についてのお話です。


皆さま、レッスンに「ご褒美」を活用された事はありますか?

先生からもらうシールなどの「プチご褒美」もあれば、発表会を頑張ったらおうちの方から何かを買ってもらう「ビッグご褒美」まで、

生徒さんにとっては色々なご褒美があります。

これらの「ご褒美」が、生徒本人にどのような影響があるのかを考察します。


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「ご褒美」をあげる目的は、生徒さんのやる気をアップさせる事ですよね。

心理学では、「やる気」の事を「達成動機」と言います。

さらに、「達成動機」は、「内発的達成動機」「外発的達成動機」の2つに分かれます。


「内発的達成動機」とは、目的が行動そのものである事です。勉強が面白いから勉強をやっている、演奏が楽しいから練習をしている、という感じです。

「外発的達成動機」とは、目的が、行動以外のご褒美である事です。ゲームを買ってもらうために勉強を頑張る、シールをもらうために練習をしている、褒められるために頑張るという感じです。(褒める事もご褒美です)


先生方であれば、楽器の練習のモチベーションは「内発的達成動機」である事が望ましいと思われますよね。

では、「外発的達成動機」はどうでしょう?

結論から言うと、

「内発的達成動機に繋がる外発的達成動機は活用すべき」

です。

ん?つまりどゆこと?

ですね、

具体的にご説明します。

「ピアノを上手に弾けるようになる」という目的のために、いつも外的なご褒美を準備していたとしましょう。

すると目的が「外的なご褒美」にシフトしてしまい、本来の目的の「ピアノ」は、目的達成の「手段」になってしまいます

ピアノの練習がシールを貰ったりプレゼントを買ってもらうための手段になってしまっては、本末転倒です。

では、外的なご褒美はいけないのか?と言うと、そうでもないのです。


内発的達成動機のご褒美は「達成感」や「やりがい」などの「目に見えない物」ですから、
ある程度、精神的に成熟していなければ価値が理解出来ないのです。

例えば、生徒さんが幼稚園児だったとしましょう。

その子に、内発的達成動機のご褒美の事を説明しても、あまり理解できないかもしれません。

よく分からないご褒美のためにちびっ子は頑張れませんよね(^_^;)

なので、この時期には「内発的達成動機の種を撒きつつ、外発的達成動機の肥料をやる」

というイメージです♪

はじめは外発的なご褒美を使いながら、達成感を経験させてゆきます。

達成感を経験させるには、コンプリメントが大切です。

コレが出来るようになったね!

こんな事も出来たね!

という言葉がけを繰り返します。

先生からのコンプリメントによって子ども達は、達成感への感度が上がるのです。

こういった関わりで、子どもの内発的達成動機は育まれてゆきます。


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レッスンでの具体的な、内発的達成動機の育成モデルをご紹介します。

外的報酬は「先生の褒め言葉」として、

「内発的達成動機」→自分で課題を見付けてチャレンジ、クリアすることで育成(自信、達成感を感じる経験)

「外発的達成動機」→先生が課題を出してクリアしたら褒めてもらえる(外的報酬で補助)

この両者を両輪に、年齢に合わせて以下の例のようなバランスで使います。

年齢による、外発的達成動機から内発的達成動機へのシフトイメージ(Aは内発的、Bは外発的)↓

画像1

「前操作期」とは、2〜7歳位まで。幼稚園児をイメージしてください。

この時期は、基本的に課題は先生や親が決めます。課題の決め方を覚える時期です。そして、たまに自分で簡単な課題設定にチャレンジしてみるのが良いでしょう。◯回弾く!みたいな、簡単な事で良いので、自分で決めた内容を実行する練習です。

まだシールや褒め言葉を楽しみに頑張っていても構いません。


画像2

「具体的操作期」とは、7〜11歳位まで。小学1〜4年生のイメージです。

この時期には、曲の難しさを自分で判断出来たり、基本的な練習計画を自分で立てられるようにチャレンジさせてゆきます。

まだシールや褒め言葉は欲しいけど、内発的達成動機にも気付き始めます。

「シールは欲しいけど、あれ?自分で決めた事が達成出来るってすごく嬉しい!」という感じです。


画像3

「形式的操作期」とは、12歳〜大人未満です。

この時期には、自分で決めた課題と先生の決めた課題が半々になっている事が望ましいです。曲の難易度を自分で判断して、技術的な内容も含めた練習計画を立ててそれを遂行出来るようになって欲しい時期です。

具体例としては、「今日は自分で宿題決めてみよっか」などの声かけをします。

画像4

高校生位になれば、自分で設定した課題を遂行してゆく中で壁にぶつかったら先生に質問してアドバイスをもらう、というスタイルになっていて欲しいのです。この段階では、外的報酬、つまり「褒め言葉」のための練習ではありません。


※グラフの数値は、私がだいたいで決めたイメージです。データではありません。

このように、ご褒美の質を段階的に「褒める」から「自分でチャレンジして達成する喜び」にシフトする事で、ゆるやかに、しかし確実に内発的達成動機は育ってゆくと思います(^^)


年齢はもちろん目安です。生徒個人の性格や発達の個人差に合わせてあげるのが良いですね♪


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ところで、内発的達成動機の十分に育った状態であれば、その後にまた外発的達成動機を投入しても構いません。

音楽に対する内発的達成動機が十分に育っている先生方でさえ、練習やコンサートのご褒美に美味しい物を食べたりしちゃいますよね( *´艸`)

でも、多少の外的報酬(美味しい物)では本来の目的(音楽を楽しむ)は揺るがないですよね(^^)


内発的達成動機は、経験を経てゆっくりと育つ物です。

最終的には身に付けて欲しいですが、そこまでの道のりには適度に外的なご褒美も活用してゆけると良いですね(^^)


1つ注意点があります。

活用する外的なご褒美ですが、その内容には注意が必要です。ご褒美の内容が、ピアノを遠ざけるような物(ゲームなど?)にしてしまわない事です。

そんなご褒美を与えてしまうと、後で苦労しますよね^^;

どうせなら、ピアノが楽しくなるようなご褒美にしましょう♪レッスンシールやレッスンノートなどのレッスングッズ、楽器の図鑑や作曲家の漫画、女の子なら舞台用の衣装や可愛いレッスンバッグ、文房具、などなど、そういう物がオススメです♪


さてここらで、はじめの話に戻りましょう。

冒頭で、

「内発的達成動機に繋がる外発的達成動機は活用すべき」

とお伝えしましたね、ご理解いただけましたでしょうか(^^)


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ご褒美をどうするべきか悩んでおられる先生は、生徒さんのお母様やお父様にご相談されるのも良いと思います。

きっと、とても参考になるお話を聞かせてくださる事でしょう(^ ^)


今日もお読みくださってありがとうごさいました♪









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