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A Lock Back On Katimi A

どうも、こんにちは。ライターのYuki Kawasakiです。GH STREAMINGと、かつて私が所属していたMixmag Japanが共同で配信プロジェクトを行っていた縁で、これまでに放送されてきた番組をダイジェストでお送りする企画がスタートしました。2020年の3月から始まったGH STREAMING、早くも立ち上げから2年半以上が経過。膨大なアーカイブの中から、選りすぐりのDJとミックスを改めてピックアップします。初回には、近年活躍の幅を広げ続けているKatimi Aiをご紹介。

ハウス界隈を牽引するブライテスト・ホープ

テックハウスを基調としたパーティ「EDGE HOUSE」のレジデントや、DJ BAR Bridge Shibuyaで行われている「HOUSE-TEX」にDJ EMMAと共にレギュラー出演するなど、とりわけハウスミュージックのDJ / プロデューサーとして邁進するKatimi Ai。しかし彼女の音楽観やセンスは、ジャンルの垣根を超えて広がっています。

例えば今年の初めに大手音楽メディア / プラットフォーム「XLR8R(アクセラレーター)」に提供されたミックスでは、彼女は4つ打ちを基調にしながら自在にテクスチャーを横断するようなDJを披露しています。ハウスの音像の中にブレイクスやガラージが局所的に差し込まれ、テクノ的な冷たいビートも時折顔をのぞかせます。今回ご紹介するのはEDGE HOUSEに出演された際の動画ですが、この特徴を知っていると彼女のDJへの解釈がまた違ったものになるかもしれません。

XLR8R:
ロサンゼルスを本拠地とするメディア/プラットフォーム。立ち上げから25年以上の歴史を持つ老舗。UKのDJ・プロデューサーのHAAiやDaniel Avery
などがミックスを提供しており、世界的なアーティストも多数関わっている。

XLR8R Podcast 765: Daniel Avery

Floyd Lavineが主宰するレーベル〈Afrikan Tales〉からリリース

アーティストがXLR8Rクラスの大きなプラットフォームにミックスや楽曲を提供する時には、往々にしてセンセーショナルなリリースやブッキングがあるものです。実際、このミックスから数か月後、Katimi AiはFloyd Lavineが2021年に立ち上げたレーベル〈Afrikan Tales〉のコンピレーション・アルバム『The Afrofuturists EP』に楽曲「Tmbt 2019」を提供。南アフリカが生んだスーパースターの新たな根城から、ミニマル・テックハウスを発表しました。かねてFloyd Lavineはアフリカインスパイアなイベントやレーベルを運営しており、2015年にコレクティブ「RISE」を結成して以降、彼はヨーロッパとアフリカでパーティを開催しております。Afrikan Talesの設立当初、こんなコメントも出していました。

我々のビジョンは、自分たちのこれまでの物語(story)を語り、これからの物語(narrative)を作ってゆくことだ。際限なく自分たちの創造性を探求する。

Floyd Lavineが自身のレーベル〈Afrikan Tales〉を創設し、EP『The Story Tellers』をリリース!

また、レーベルがフォーカスするのはアフリカ人に限らず、アフリカ・インスパイアなアーティストであれば歓迎するといいます。Katimi Aiは拠点を日本に持ちながら、ナイジェリアにもルーツがあるので、まさしく共感するところがあったのでしょう。彼女のミックスを聴いても、GqomやAmapianoのトラックが選曲されることがありますから、自身もそこに意識的であるように感じられます。

冒頭にも書いたように、今回セレクトした「EDGE HOUSE」でのDJスタイルは、彼女の一側面に過ぎません。彼女が出演するパーティに遊びに行かれる際は、ぜひとも多様な選曲観に期待していただければと思います。まだまだ飛躍する余地を残しているところも、今後が楽しみな才能ですよね。

【Katimi Ai インタビュー(英語)】
Podcast 730: Katimi Ai
Katimi Ai: The ‘Shine A Light On’ Mix


■ GH STREAMING PRESENTS LOOK BACK ON KATIMI AI
11月3日(木・祝), 8:00 PM - 21:10
配信リンク

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