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内に成長するものを感覚せよ

第2週 4月14日〜4月20日の記憶。 それを探る試みです。 
一年間のルドルフ・シュタイナー超訳に挑戦中です。

今週は、自然がもつ力を感覚として観察し、
みずからの成長と照らし合わせて自分で考えよ、という導きです。

では、読み解いていきましょう。

B. ZWEITE WOCHE (14. – 20. APRIL [1912]).

2.
Ins Äussre des Sinnesalls
Verliert Gedankenmacht ihr Eigensein
Es finden Geisteswelten
Den Menschensprossen wieder
Der seinen Keim in ihnen
Doch seine Seelenfrucht
In sich muss finden.

Anthroposophischer Seelenkalender, Rudolf Steiners,1912


  感覚の宇宙へと自然の中へと
  もし考えるのを制止できれば
  心の世界は
  ふたたびの芽吹きに気づき
  その芽を自分の内にも見いだす
  実りゆくものへと
  自らの心を育ててゆく



春を感覚する

今週は、春のような感覚を眺めるのではなく、春そのものを感覚してくださいね。という強い言葉を使いたいと思いました。

なぜなら、その感覚は、思考や考えをはるかに超えているからです。逆に思考や考えが、感覚するのを邪魔してしまう可能性があるのです。かといって思考や考えが必要ないものであるといっているわけではありません。

赤ちゃんは外界に触れることで、世界を認識してゆくそうです。たとえば、床をハイハイしている際に、自分が観るたびに似たような椅子がいくつも出現しているのではなく、ひとつの同じ椅子が存在していることを感覚から学ぶのです。比例やパースという概念が先ではなく、感覚することで、すでに概念を学んでいるのですね。

感覚が鍛えられれば、それにともなって、思考や考えも成長してゆくのです。そして、受け売りではなく、自分の体験から思考し考えられれば、もちろん表現力も成長してゆくのでしょう。

ですから、まずは感覚する。

そんな、勢いで外界に触れてみてくださいね。
というメッセージなのでしょう。

感覚するときに、人間のものではない、大いなるものの思考によって表現されるものと、それを抜きに自分の思考だけで表現されるのもとでは、大きな差があるのを知ることができるでしょう。

春の自然は、そのチャンスにあふれています。森羅万象を形成する力(Macht)があちこちにその姿を現してくれている季節だからこそ、外に出てみましょう。自然が持つ力を自分自身の内部にもそなわっているのだと気づいていただければ、感覚力がアップするのは、まちがえないですね。

新緑の木々や初夏を告げる花々を感覚して、
全身で春のエネルギーを吸収してくださいませ。



ふたたびめぐる

いきなりですが、
横山大観先生の「生々流転」という絵巻物を観ていただきたいと思います。

すごいお宝なのですよ!私がこの絵を観たとき、大行列の上野の展覧会場で、あまりの衝撃と感動のあまり、何回も何回も並び直しては、前後に並ぶ人たちのプレッシャーを押しのけ、ゆっくりと心ゆくまで時間を忘れて観入ったのを覚えています。

まるで、墨をといた水と自分とが同一化したかのような水墨画の傑作なのです。春の雪解け、幽谷で煙立つ霧も、やがては一滴の水となり、瀬となり淵となり、雨となり降りそそぎ、川となって、大河となり、

そして、水の流れに寄り添うかのような自然や人の営みがあり、大海へといたり。水の変幻自在さと生命の蓋然性みたいなものが、直球でグンっと心に入ってくるのですね。

40メートルもある、長い巻物です。おそらくこの絵を観たときに、大いなるものの真理を感じていただけるのではないかと思うのです。

そして大海へといたった水は水蒸気となり、嵐の中で渦となり、そこには龍がいて、また一滴の水に戻ってゆくという、あたりまえ自然の摂理。その摂理の中に生きている自分。そして、自分もそのようなものである、という忘れていた感覚を思い出させてくれるのです。

今週のシュタイナーの「芽」に象徴されているのは、最初の「水の一滴」に近いものなのでしょう。始まり一滴がまた、最初の一滴に戻る豊かな旅をイメージするのが良いのでしょう。

芽吹きやがて実をつけ、そして熟して地面に落ち、そして、また成長を始めるという循環なのです。

心の成長は、あなたの内にある「ふたたびめぐる」という循環に気づき、しっかりと受け止めるようにうながされているのです。


2024年4月モミジの花


モミジにも花は、咲く

モミジは、気づけば翼果と呼ばれるブーメランのような実をつけています。翼果は、とても美しいカタチをしているので目にとまりやすく、ふと気づけばカタチはできていて、ずーっと秋まで成長して、紅葉が終わる頃になってクルクルと飛ばされてゆくのを何度もみてきました。

今年は、シュタイナーの暦のおかげで毎週のように自然観察をしているので、若葉がでてくるのと同時に赤い小さな芽が出てきているのに気づき、そして、今週あたりに、満開をむかえそうな勢いでパカっと花が咲いているのを観察しているわけです。

そして、チビ翼果も発見!
なんじゃ!この造形は…
花のガクが残っている姿は初めてみましたよ!

桜の脇で、「あーモミジの花だー!」

などと騒いでいる人などいるはずもなく、
静かに小さな花をけなげに観察しているのでありました。

ふたたびめぐる自然。

生まれて初めて、じっくりとモミジの花見をさせていただきました。

あなたも、モミジに気づいたら近づいて観察してみてくださいませ。
感覚してみれば、自然の超自然的な思考を学べるかもしれませんよ!

翼はもう授けられている、かもしれませんね。




シュタイナーさん
ありがとう

では、また


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