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【歴史編10冊】横山和輝氏(名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授)

過去と現代を照合する「歴史」の使い方。

経歴

1971年生まれ。1994年神奈川大学経済学部卒業。1999年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。2006年博士(経済学、一橋大学)。一橋大学経済学部助手、東京大学日本経済国際共同研究センター研究員を経て、2007年より名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授。専攻は経済史。


「昭和と平成の経済の歩み」

①日本の経済統制 戦時・戦後の経験と教訓

キャッチーな筋書きとして歴史を捉えるのではなく、史料に基づいて歴史を把握することの大切さを痛感させてくれる名著です。昭和戦後の歴史を学ぶ上ではその歴史的前提となる戦時統制に対する理解が不可欠です。


②日本の経済 歴史・現状・論点

明治・大正・昭和・平成にわたる日本の長期的な経済発展について、丹念なデータ分析や史料解釈を重ねてきた著者が平易に解説した日本経済史入門です。つまり歴史を踏まえた「日本経済論」です。


③贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ

取引、交渉あるいは交換といった行動は、何かを得る代わりに何かを手放す行為でもあります。「手放す」ことの意味を考えることは、ビジネス上のルールの意味合いや、ベターな策を模索するヒントになります。


④戦国大名の「外交」

戦国時代は、日本と呼ぶべき統一国家が事実上なくなった時代です。戦国大名がいわば独立国家を形成した時代とも捉えられます。他の大名との交渉、つまり「外交」に力点を置いて戦国大名の政策を考察する斬新な発想の書です。他の企業との関係性を切り口として経営組織論について考えるときにヒントになります。


⑤大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済

世界初の先物マーケット、徳川政権下の大坂堂島米市場。市場経済の歴史にとって、徳川時代は全国市場が成立するという重要な局面でした。現代のような通信技術を備えていないはずの時代において、現代にも引けを取らない熾烈な価格情報戦が展開されました。価格データ分析を重ねた著者の新作です。


⑥鉄道が変えた社寺参詣

ネットワークの活用を通じて利用頻度を増やし、バンドワゴン効果を成立させる現代のプラットフォームビジネスモデルにも通じる経営モデルを示します。


⑦持株会社の歴史 財閥と企業統治

本書は主要財閥の持株会社のM&Aに、理論分析・データ分析・史料解釈など様々な視点から切り込んだ解説書です。コーポレート・ガバナンスや効率的な組織のあり方を学べます。


⑧一揆の原理

歴史を学ぶ際に最も重要なのは、限られた情報の中で事実関係をいかに突き詰められるのかという方法論を学ぶことにあります。ベストセラー『応仁の乱』の著者が、室町時代の「一揆」を分析した成果について、歯に衣着せぬ物言いで解説しています。


⑨世界の辺境とハードボイルド室町時代

本書は、世界の「辺境」に詳しい作家と室町時代を専門とする歴史家とのコラボレーションです。人間の業の深さは時空を超えて変わらないことがわかり、歴史に対する面白さを体感できます。


⑩江戸の教育力

本書は、徳川時代における庶民の読み書き、つまりリテラシーの形成を詳説しています。明治維新が達成された要因の一つが徳川時代以来のリテラシーの高さです。この徳川時代のリテラシーの高さに迫ります。

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