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中国で子供の日本語を育てる難しさについて

先日、北京で2才の日中ミックスのお子さんを育てるママと
お会いする機会がありました。

会ってすぐ、お子さんに、

「こんにちは~」

と話しかけると、隣から

「すみません、この子、まだこんにちは、って言えないんです~」

とママ。

「あ、そっか。2才だったらまだそんなに話せないよね~」

と返したのですが、
その瞬間、ママが思わず涙ぐんだ気がして、

「あ~~~、だいぶん悩んでるんだな。。。」

と分かりました。

日本在住のママだったら、
たとえまだ歩かないような赤ちゃんに
誰かが「こんにちは」と話しかけたとしたら、

「ほ~ら、〇〇ちゃん、こんにちは、って。
 こ・ん・に・ち・は!」

なんて言って、
ママが赤ちゃんになりかわって楽しく会話を交わしたり
することもあるんじゃないかと思います。
だけど、このママはそんな感じではなく、

「この子はまだ言えないんです。。。」

とおっしゃったので、
お子さんが日本語がよく話せないことを
だいぶん気にされてるんだな、と感じました。

2才になったばかりだから、
言葉なんてまだまだこれからだと思いますが、
そういうことではない心配、
この中国語に囲まれた環境に打ち勝って
とても子供に日本語を身につけさせられそうにない、
という押しつぶれそうな不安が
このママにはあるのでしょう。

わたし自身も中国語に囲まれた環境のなかで、
子供になんとか日本語を身に着けさせようと
必死になってきたから、
このママの気持ちがわかるのです。

子供を持つ前は、
日本人から生まれた子供は
ひとりでに日本語ができるようになるはずだと
信じて疑わなかったのですが、
とんでもない。

中国に住み、
夫婦の会話も中国語、
日本語が分からない夫は子供に中国語で話しかけ、
義母も、義父も、家族・親戚みんなが中国語で子供に話しかけ、
一歩外に出たらこれまたオール中国語といった環境で
子供に日本語を身に着けさせるのが
どれほど簡単ではないことか。

日本人の母のみが、
子供が日本語で直にコミュニケーションをとる
ほぼ唯一の相手となりますが、
母一人が、中国人の父と祖父、祖母、その他大勢の
中国語インプットに負けない量と質の日本語で
子供に接することができるかと考えれば、
それがどれだけ簡単なことではないかが分かるでしょう。

当時のわたしは、北京で生まれた
生後まもない日中ミックスの我が子を前に、

「無意識に接していると子供は必ず中国語優勢になる」

と思いました。
そんなわたしの最初の努力は、

「子供にできるだけ多く日本語で話しかける」

ということでした。
1人で人の3倍も5倍も話しかけるつもりで
なんでもないようなことまで言葉にして
できるだけたくさん子供に日本語で話しかけ
できるだけたくさん日本語で遊び相手になってやることを
心がけました。

つづく。

※注:中国で生まれ、長期にわたって中国語環境の中で育つ子供が
   中国語優勢になるのは至極当然の流れであり、
   わたしはそれを否定するわけではありません。
   ただ、当時のわたしは、どうしても我が子に
   自分の母語である日本語を身につけさせたかった。
   子供と日本語で会話し、笑い、毎日の生活を楽しみたかったのです。


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