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私がスマホからSNSアプリを消すまで

「発信」よりも「吸収」したい

デンマークにいた2週間、ある程度目の前の出来事に集中したいなあという思いもあって、ホテル以外でSNSをあまり使わないようにしていた。

実際には、「使わないように」という表現よりも「結果あまり使わなかった」と言った方がいいかもしれない。見るもの、触れるもの、食べるもの、その全てが初めてだったから、「発信」よりも「吸収」が先だったように思う。そして何より、ここに「居る」ことができる時間が限られているからこそ、携帯を見る時間があれば肌で感じていたい、という感覚が強かったのだと思う。

「これはなんだろう」「この文字はなんて読むんだろう」「この商品との違いはなんだろう」スーパーで食材を選ぶだけでも、次から次に疑問が湧いてくる。それはまるで生まれたての赤ちゃんが、見るもの全てに目を輝かせているような、幼稚園に入って新しい知識をたくさん得る瞬間のような、そういう類のワクワクがあった。

そんな日々の中ではSNSの小さな画面の中で起きるきらびやかな変化より、今目の前のことの方が何倍もたのしかったし、鮮やかだった。

SNSで感じていた「誰かに評価されている」感覚

私がなぜSNSの使い方を気にしているかというと、それだけSNSに気を取られていたからだ。

高校卒業までガラケーだった私は、どちらかというとPCメインで、当時はFC2ブログやアメブロをよく使っていた。当時からやっぱり書くことがすきだったこともあると思う。

その後大学生になってスマホになってからは、Facebookにはじまり、Twitter、Instagram、とどんどんSNSの虜になった。書いて発信することが純粋に楽しい!という次元から、徐々に「誰かに評価(いいね)されている自分」を認識しだしたのもこの頃からだと思う。

社会人になってからは、より一層人間関係も広くなり、その広さに合わせて、その使い道も多様になった。自分の社会的なつながりを確認する場になったり、辛いことを吐き出す場になったり、はじめてのお給料の使い道を見せびらかす場になったり、友達との充実感を確認する場になったり。いろいろだった。

もともと感受性が強めの私は「誰かに評価(いいね)されている自分」という感覚がより一層強まり、SNSは意図せず自分をブランディングするような、意識的に「こうありたい自分」を演出するような場になってしまったような気がする。

そうなると、すべての体験が「感じる」より先に「どう発信するか」という思考になり、それは「どの角度の写真を撮るか」「いつ動画を撮るか」という行動になった。そこにはもう「体験」の純粋な価値はなくなっていたと思う。

自分で決めたSNSのルール

デンマークのフォルケでの滞在の期間はたっぷり時間があったので、久々に先輩と夜ゆっくり語り合った。

当時から私のSNS癖を知っていた先輩や、一緒に旅していたはるちゃんからもたくさんフィードバックをもらって、1つ決めたルールがある。

「スマホに入っているSNSのアプリを全部消す。PCの時だけ見る。」

というものだ。

SNSはやはり純粋に人とつながるたのしさや、なかなか会えない大切な人とコミュニケーションをとりやすくするメリットがある。何より大好きな文章を誰かに届けられる場でもある。だからこそ全部消すのではなく、PCを開いている時だけ確認&投稿できるルールにした。

比べなくていい、「今ここ」に集中できる環境

冒頭の話に戻るが、デンマークでは移民をたくさん受け入れていることもあって、街中でも多様な人がいる国だということがすぐにわかる。そんな街中では、いちいち自分のファッションが変じゃないか、とかそういう細かいことを気にしなくてもいい安心感があった。

クリスマスマーケットでも、きっとこれが東京にあったらあちこちでカメラ音しかしないだろうな、というようなかわいい雑貨やお菓子にカメラを向けるのは数名の観光客だけで、みんな「この瞬間の時間」を思いっきり楽しんでいた。家族や友達との会話に一生懸命で、誰もスマホをいじっている暇はなさそうだった。(そういえば歩くペースも本当にゆっくりで、みんなおしゃべりを楽しみながらのんびり街を歩いていた)

誰とも比べないでいいし、「今この瞬間」を楽しめばいいというおおらかな雰囲気が、私をより一層SNSの欲求から遠ざけてくれたのだと思う。

帰国後1週間がたった。もっとSNSへの衝動がありそうだと思っていたが、想像より穏やかにSNS断ちができている。そういえば今日はInstagramも1度も開いていない。(おかげでバチェラーの放送をすっかり忘れていた。笑)

それはきっとデンマークという土地が私を「自分のペース」に戻してくれたおかげだと思う。今の私には流行への敏感さもないけれど、このペースが、この環境が今はすごく心地いい。



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