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コンビニで出逢う恋もある(後編)


2週間位で風邪が治って、その代わりに半年毎日会えていた人が来なくなって、初めて好意を持っていた事に気付いた。

いつも、つなぎの上にジャージを羽織っていたけど、1度だけジャージを着ていない日があって、背中にENEOSと書かれていた。

今まで意識していなかったけど、ガソリンスタンドで働いている事だけが分かった。

また、掛け持ちしている仕事の関係で、8時上がりになった時、コンビニから出る彼の車が、住宅街から離れて大通りに向かうのを見かけた事があったので、少し遠い場所かもしれないと思った。

友達に相談すると、彼を探そうと言ってくれた。目的はなかったけど、ただ会いたいと思った。

1店舗目は小さいスタンドで、おじさんが1人立っていた。『人を探していて、ここに20歳くらいの人は働いてますか?』と聞いた。そこには若い人は働いていなかった。

そこから5分の所にもう1店舗あって、そこはかなり大きなスタンドだった。
私も友達もこの日は朝から集まって、1日かけて探すつもりだった。

2店舗目に着いて、20代後半の男の店員さんに同じ質問をすると、ちょっと待ってて!と慌てて奥の個室に入っていった。

一緒に出てきたのが、まさかの彼だった。
2店舗目で会えた。

ガソリンスタンドのつなぎにキャップを被っていた。『こいつでしょ!』と同僚に背中を押され、彼は驚いた表情で近づいてきた。

後から知ったのだけど、コンビニで気になる店員が居ると相談していたみたいで、毎日同じ物を買ったら印象に残るから、インパクトのある焼きそばパンを自分用に買うように同僚に言われていたようだった。

メールが来ないからコンビニにもう行けなくなったと報告もしていた。
そんな時に私が現れて、再会出来た。

今はSNSやインターネットの普及で誰かと繋がる事や連絡を取り合う事が簡単に出来る。

当時は携帯もガラケーでネット環境も今よりも全然良くなくて、連絡先の交換も電話番号とメールアドレスを手入力する時代だった。

自分の力で会いに行って繋がりに行く時代。
それはそれで良かった。

彼が書いたアドレスが間違っていた事が分かって、その日を境に連絡を取れるようになった。
8時10分にコンビニにも来てくれるようになった。そして、2月に告白されて彼氏になった。

この後も壮絶で壮大なドラマが待ち受けている。初めて付き合った人との出逢い編はこれにて完結として、また気が向いたらその後を記録に残します。

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