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【カナダ留学】国際貿易FITTについて

日本の会社に勤めながら海外留学を経験し、自身のキャリアアップを果たしたYukiです。

私はカナダへ2年間Co-op留学で国際貿易FITTのDiplomaのコースを受けていました。
今回は、この国際貿易について記載したいと思います。

コロナを経てますます越境ビジネスが加速する中で、
持ってて損はない資格ですし、
私自身、取得後の現在でも仕事に活用できています。

※Co-op留学については下記の記事で記載しています。




1.FITT International Tradeについて

国際貿易の資格を取るコースですが、学校独自の資格ではありません。

カナダ政府によって承認されたNPO団体であるFITT(Forum for International Trade Training)と提携されたプログラムで、
カナダ国内に限らず、個人・企業・組織がグローバル市場に展開するために必要な知識・スキル・能力を構築することを目的としています。

そのため、各科目の内容については
時代に合わせたタイムリーで実用的な内容となっています。

FITTから認定された学校のみがこのプログラムを提供できるため、
カナダ国内でも学校が限られています。
私が通っていたCanadian Collegeはそのうちの一校です。

FITTが定める15のコンピテンシーは以下の通りです。

参考:FITT Educational Partnership Opportunities Content


座学として提供される知識の構築は「FITTskills」と呼ばれており、
全部で6つのプログラムで構成されています。
各プログラムの概要は目次3で説明しています。

  • Feasibility of International Trade

  • International Market Entry Strategies

  • Global Value Chain

  • Products and Services for a Global Market

  • International Trade Finance

  • International Sales and Marketing



2.3つの資格と取得までの道のり

FITTの資格取得は1つというわけではありません。
資格取得を目指すにあたって、
どこをゴールにするかによって難易度も変わってきます。

自分の目的に合わせた選択をすることをオススメします。

2-1.FITT Certificate in International Trade

国際貿易になんとなく興味がある程度の方は、
このコースから始めてみてもいいかもしれません。

FITTskills全6プログラムの内、
3プログラムを終了すれば「Certificate(履修認定証)」がもらえます。

受講に関して、今のところ3プログラムの指定はありませんので、
ご自身で6つの中から3つ選ぶことができます。

Certificateをもらうためには、
各プログラム3時間のオンラインテストで
一定のスコアを獲得しないといけません。

同じ時間に受けた場合でも、人によって問題内容が異なるため、
自力で頑張るしかありません。
試験終了後、すぐに結果がわかるのもドキドキする瞬間です。

私が受けた時は全45問の中に以下の項目が分かれており、
総合得点とそれぞれに対して正答率が表示されていました。
・Application
・Critical Thinking
・Knowlege


2-2.FITT Diploma in International Trade

こちらはプログラム数が3つではなく、
全6プログラムを終了した場合に「Diploma(修了認定証)」がもらえます。

プログラム内容はCertificateの場合と同じで、
各3時間のオンラインテストを受けて
一定のスコアを獲得する必要があります。

私はこちらのコースを取っていました。
残りの受講プログラム数が少なくなるにつれ、
テストに落ちたくないプレッシャーと戦っていたことが懐かしいです。

※落ちてしまった場合の救済措置として、
追加料金を支払えば指定の期間内に再度テストを受けることもできます。


2-3.Certified International Trade Professional(CITP)

こちらは学校では受けることができない資格です。
国際貿易のプロフェッショナルとして活動できる称号になります。

そのため、CITPの認定を受けるためには細かな要件が設定されており、
すべての要件を満たさないと取得することができません。

また、取得後もプロフェッショナルとして維持するために
継続的な活動が要求されます。

CITP取得のためのプロセスは大きく2つあります。

<プロセス①>
・FITT Diplomaを取得&実務要件を満たす
・CITP申請に通過する
・CITP Professionalの試験に合格する

<プロセス②>
・エグゼクティブレベルの役割で、
上述した15のうちの10のコンピテンシーカテゴリに関連する
最低15年のフルタイムの実務経験がある
・CITP申請に通過する
・CITP Professionalの試験に合格する

プロセス①も②もすべて要件を満たす必要があります。
※プロセスや要件が変更される可能性がありますので、
最新情報は下記よりご確認ください。


3.FITTskills 各プログラムの概要

CertificateやDiplomaを受ける方のために
各プログラムの概要についてご紹介したいと思います。

私は2022年に受けていることもあり、
最新の内容がアップデートされている可能性があることご了承ください。

個人的に受けてて良いなと思った点は、
本でも学校の授業でも、
単なる暗記型の知識講座ではなく
ケーススタディや実例をもとに考える時間があります。

商習慣も貨幣も文化も言語も異なる国と
ビジネスを実施するとなると
早々スムーズにいくはずがないということを実感できました。

3-1.Feasibility of International Trade

新しい市場へ参入するにあたって
実現可能性を判断するための流れを3つの観点から学びます。

<市場調査>
・そもそもなぜ市場調査が必要なのか
・市場調査の種類(一次情報・二次情報)とやり方
・国際市場のどの点に着目するべきか

<価格分析>
・輸出入に必要な価格戦略について
・商品・サービス・アウトソーシング別の価格分析
・価格やコストを設定するにあたり必要な貿易ルール
例)HSコード・インコタームズ

<リスク分析>
・リスクマネジメントのやり方
・政治・経済・社会・商慣習・為替・技術・人・知的財産についてのリスクと対策方法について

3-2.International Market Entry Strategies

Feasibilityで市場調査・価格分析・リスク分析を実施した後、
どのように市場へ参入すべきか
国際的な視点で戦略立案からオペレーションまでを学びます。

<市場参入の戦略立案>
・新規参入する際の方法
例)Trading Entry Strategies, Transfer-Related Strategies, Foreign Direct Investment Strategies
・適切なパートナー企業・組織・人の見つけ方
・ビジネスプランの書き方

<オペレーション>
・上の例にあげた新規参入方法別のオペレーションの仕方
・コミュニケーションの取り方やモチベーション構築
・パートナーの開拓や対立時の解決方法

<法規制と倫理>
・国際貿易を行ううえで考慮すべき法的事項と倫理観
・契約書の締結方法
・知的財産の保護について


3-3.Global Value Chain

すでに国際貿易を実施している企業・組織でも
見直しに活用できるコースになります。

サプライチェーン全体の流れと物流面を俯瞰的にみることで
リスク軽減・コスト削減・効率化に繋げるための内容です。

<調達・購買>
・様々な手段とプロセスについて
・商品・サービス別の調達・購買方法
・サプライヤーとの関係構築

<在庫管理と効率化>
・在庫管理の重要性と管理方法
・物流の重要性と効率的な実施について
・サーキュラーエコノミーとの関連性

<運送手段>
・商品・サービス別の運送手段について
・リスク管理
・セキュリティと税関について

<ドキュメント管理とコンプライアンス>
・ステークホルダー(利害関係者)の役割と責任
・インコタームズのルールと活用
・ドキュメントの種類と活用
例)運送・ファイナンス・承認・IT・コンプライアンス

3-4.Products and Services for a Global Market

日本で展開している商品・サービスを
そのまま海外へ販売してもうまくいきません。

ターゲット国の法規制や顧客の要件に合うような
商品・サービスの設計や影響力について学びます。

<商品開発>
・新商品・既存商品含めた開発フェーズ別の適合手段とプロセス
・法規制・コンプライアンス遵守
・知的財産権の保護について

<サービス展開>
・サービス別の適合手段とプロセス
・商品との関わり方
・オペレーションと評価設定について


3-5.International Trade Finance

異なる通貨の取引になるため、財務リスク管理はとても重要です。

単なる為替レートに対する回避ではなく、
商品・サービスが届かないといったことも
国際貿易においてはよくあるトラブルです。

適切な取引手段の選択と、
相手との交渉力・トラブル解決能力が求められます。

<リスクの特定と交渉術>
・商習慣・為替・カントリー・銀行リスクについて
・交渉と契約の締結

<支払いリスクと評価>
・支払い手段と決済フロー
例)期日前決済・前払い・信用状の発行
・リスク回避について
・キャッシュフローマネジメント

<公的機関の活用>
・ECA(Export Credit Agency)について
・商品・サービスとECAの活用

<トラブル解決>
・よくあるトラブルについて
・解決手段の紹介


3-6.International Sales and Marketing

実際に海外へ展開する商品・サービスの
マーケティング戦略や販売計画について学びます。

私はこのプログラムについては、
3時間のテストを受ける代わりに
2人ペアで国・商品を決めて30ページほどの
マーケティングプランを提出・評価してもらいました。

12の基準に対して各得点と評価コメントをもらったうえで
総合判断が出されます。

テスト以外で実力を試してみたいという方は
こちらを挑戦してみるのもオススメです。

<戦略の立て方>
・商品・サービスの適合について
・価格戦略
・ブランディング戦略
・販売促進戦略
・マーケティングプランの書き方

<商品・サービス販売>
・販売チャネルの選定
・販売実施とフォローアップ
・条件交渉

<テクノロジーを活用した販売>
・E-Commerceについてとオペレーション
・Webマーケティング手法


4.最後に

国際貿易FITTについての概要を紹介させていただきました。

FITTskillsの6コースについては
それぞれ400ページほどの文章を読み・理解する必要があるため、
ここで紹介した内容は目次程度と捉えていただきたいです。

テストに合格することを目的とするのではなく、
実際のビジネス現場で活用することを念頭に、
資格取得後も何度も見返せるくらいボリュームのある内容です。


専門用語もたくさん出てきますので、
英語力がある方でもビジネス知識がない方は
事前に日本語である程度勉強しておくことをオススメします。

ビジネス知識・英語力ともに問題のない方にとっては
この学びの時間をアウトプットの場として使ってください。

自分のビジネスシチュエーションに置き換えて
どの点をどのくらい改善すれば売上・利益の向上に繋がるのか
関係者にどのようにアプローチすべきかを見直す良い機会になります。


グローバル化がますます加速していく中で、
個人的には商品・サービスに限らず
人の移動もこれまで以上に活発になってくると思っています。

特に少子高齢社会の日本経済力を回復させるには
海外との取引は必要不可欠ですし、
労働環境においても日本で外国人と共に働く未来がそう遠くないはずです。

そうなった場合に、
日本の価値観・基準だけで話をする企業・組織・個人と
国際貿易の視点を踏まえたうえで話ができる企業・組織・個人。

どちらが優遇されるかは明白だと思います。
自分の身を守るという意味でも、
勉強していて損はないなと客観的にみても感じています。




長くなりましたが、
ここまで読んでいただきありがとうございました。

国際貿易の資格について興味のある方にとって
少しでもお役に立てていれば嬉しいです。

※私自身が国際貿易の仕事に携わっていますので
各科目の詳細やテスト対策などもお手伝いしています。
こちらは有料になりますが、必要な方はご相談ください。

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個別で質問がありましたら、お気軽にこちらよりお問い合わせください。


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