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「キャンピングカーで巡るニュージーランド南島-7」

ニュージーランドをキャンピングカーで旅した記録。今回はDay3の途中まで。よろしければお付き合いを🥾🥰🏕️
前回の記事はこちら↓↓


1.Day 6‐2:ミルフォードロード - 神々の道を行く

アロウタウンを出発して間もなく、景色が劇的に変化し始めた。
人工物が次第に少なくなり、代わりに原生林と切り立った岩壁が私たちを取り囲んでいく。

【ミルフォードロード】
・全長:119km(テ・アナウから)
・所要時間:約2.5時間

  • ニュージーランドで最も美しい山岳道路

  • UNESCO世界遺産区域内

  • 携帯電話の圏外区域多数

「ここからが本当の冒険の始まりね」
スマホを確認しながら、私が呟く。

エグリントン渓谷に入ると、両側に切り立った山々が迫る。
原生林の緑と、灰色の岩肌のコントラストが息をのむほど美しい。

突然、夫がブレーキを踏んだ。
「見て!」
道路を横切るケアが、私たちを見上げている。
好奇心旺盛な目で、しばらく私たちを観察してから、悠々と林の中へ消えていった。

「ミラーレイクスに寄ってみない?」
道路脇の小さな案内板を見つける。
駐車場には数台の車が止まっていた。

【Mirror Lakes】
・所要時間:約15分
・無料
・遊歩道完備
・特徴:山々が湖面に完璧に映り込む

「次はThe Chasm(渓谷)ね」
何度も確認しながら進む。
途中、天候が変わり始め、霧が立ち込めてきた。

「これも、ミルフォードの魅力の一つなんです」
The Chasmの駐車場で出会ったレンジャーのピーター(50代)が教えてくれた。
「晴れた日も、雨の日も、霧の日も、それぞれ違った表情を見せてくれる場所なんです」

【The Chasm】
・徒歩:15分往復
・見どころ:

  • 激流が刻んだ渓谷

  • 原生林の中の遊歩道

  • 数千年かけて形成された岩の彫刻

ホーマートンネルに差し掛かる頃、雨が本格的に降り始めた。
1.2kmの山岳トンネルを抜けると、そこはまさに別世界。

「まるで、ジュラシック・パークの世界」
夫の言葉通り、霧と雨の中に浮かび上がる峰々は、太古の世界を思わせる。

道は次第に下り坂となり、ついにミルフォードサウンドが見えてきた。
時刻は17時を回っていた。

【宿泊地】
Milford Sound Lodge
URL:Milford Sound Lodge | Accommodation in Milford Sound

  • フィヨルド国立公園内唯一の宿泊施設

  • 原生林に囲まれたサイト

  • シャワー/キッチン完備

  • 夜間は野生動物に注意

チェックイン時、フロントのサラ(30代)が警告する。
「夜間は、キウイやポッサムが現れることがあります。食べ物は必ず車内に保管してくださいね」

サイトに到着すると、雨は小降りになっていた。
周囲の山々から無数の滝が流れ落ち、その音が心地よい。

「明日の天気は?」と尋ねると、サラは微笑んで答えた。
「ここは予報が当たらない場所。でも、それも魅力の一つです」

キャンピングカーの窓から見える景色に見とれながら、明日のクルーズに思いを馳せる。
この雨と霧が、どんな風景を見せてくれるのだろう。

2.Day 7‐1:ミルフォードサウンド - 神々の涙

早朝4時、雨音で目が覚めた。
外は、まだ暗い。
しかし、キャンピングカーの窓を伝う雨粒の向こうに、何か大きな影が動くのが見える。

「あれ、キウイかも」
夫が小声で言う。
ヘッドライトを控えめにつけると、確かにキウイが餌を探して歩いていた。
二人とも、息を潜めて観察する。
野生のキウイとの出会いは、この旅最大の幸運の一つかもしれない。

6時、夜明けとともに目が覚める。
「雨が降っているのは、実は幸運なんですよ」
朝食を準備していると、隣のサイトのニュージーランド人カップルが話しかけてきた。

ジョンとメアリー、地元クイーンズタウンから週末を過ごしに来ているという。
「雨の日は、何百もの滝が現れるんです。晴れの日には見られない景色ですよ」

【クルーズ情報】
Real Journeys Nature Cruise

  • 自然ガイド付き

  • 滝の下をくぐる体験あり

  • シールやペンギンの観察可能

9時、クルーズターミナルに到着。
ガイドのキャロル(40代)が、明るく出迎えてくれる。
「今日は特別な日になりそうです。雨上がりの光が、最高の条件を作ってくれそう」

船に乗り込むと、霧に包まれたフィヨルドが神秘的な姿を見せていた。
切り立った岩壁から無数の滝が流れ落ち、キャロルの言葉を借りれば「神々の涙」のよう。

「あそこを見てください!」
キャロルが指さす方向に、ボトルノーズドルフィンの群れ。
船の周りで優雅に泳ぎ、時折ジャンプを披露してくれる。

船が有名なボーエン滝に近づく。
「皆さん、デッキに出てきてください。特別な体験をご用意しています」

船が滝に向かって進む。
「濡れても大丈夫な方は、前方デッキへ!」
夫と私は、迷わず前へ。

轟音と共に、滝しぶきを浴びる。
冷たい水が顔を打つ。
歓声と笑い声が響く中、虹が架かった。

「みてください、ニュージーランドファーシールです」
岩場で昼寝するファーシールの群れ。
中には赤ちゃんシールも。

霧が晴れ始めると、ミルフォードサウンドの真の姿が現れる。
マイター・ピーク(1,692m)がその威容を現す瞬間、船内から歓声が上がった。

「あれは『世界で最も写真を撮られる山』と言われています」
キャロルが説明を加える。
「でも、写真では伝わらない壮大さがありますよね」

クルーズ後、キャロルが地図を広げてくれた。
「これから西海岸に向かうなら、ハースト・パスを通ることをお勧めします」
詳しいルートを書き込みながら、途中の見どころを説明してくれる。

「特に、ブループールは絶対に寄るべき場所です。この時期なら、水の色が最高になっているはず」

昼食は、ミルフォードサウンドロッジのカフェで。

【Milford Sound Lodge Cafe】
・Blue River Soup(地元の魚のチャウダー)
・Venison Pie(鹿肉のパイ)
・地元産ハーブティー

窓の外では、雨が上がり、陽が差し始めていた。
新しい滝が生まれては消え、風景が刻一刻と変化していく。

「自然の力って、本当にすごいね」
夫の言葉に深く頷く。
人の手が加えられていない自然の中にいると、人間の小ささを実感する。
それと同時に、この景色を守り継いでいく責任も感じる。

(続く...)

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