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米国編#3あなただけのX10バーガーを探そう

はじめに

昔、僕はエンジニアだった。昔は米国時間に行われるトレーニングをリモートで受けてまだ自分しか知らないであろうテクニカルアップデートに心が踊った。若い時は深夜のミーティングも平気だったが、最近は徹夜どころか翌日がつらい。白い髭が混じり始めた顔を見ながら心身のバランスを取らなくてはと感じつつ、朝早起きなんだから仕方ないじゃないかとも思う。今日はアメリカのX10バーガー銘柄の3回目だ。気を取り直していこう。

e.l.f. beauty
アメリカの化粧品メーカーのe.l.f. beauty は2019年のIPO時点で12ドル前後で取引されていた。2023年の上期にX10バーガーを達成し、株価は今も乱高下を続けながら伸び続けている。

Elf beautyの株価推移

大手のコスメブランドと異なり、Elf beauty は伝統的な広告宣伝に費用を投入しない。インフルエンサーやソーシャルメディアを上手く使った口コミから販売を伸ばし、大手がグローバル市場の減速に苦しむ中でリーズナブルで付加価値の高い商品をヒットさせている。今やLOREALやMAYBELLINEに次ぐブランドと認知されつつあり、日本でも個人輸入をする人が増えていると聞く。業績はコロナ期に大きく伸びており、ミレニアル世代やZ世代からの支持も高いという。以下が売上高と利益の推移である。サプライズ決算での株価の伸長もさることながら、利益を出し続けていることも驚嘆に値する。

Elf beauty の業績推移

一方、ポストコロナにより販売管理費は増え続けており、売上高に対する利益の厚みはやや薄くなってきているようだ。

広告宣伝におけるブレイク・スルーを
コロナ期をきっかけに社会の行動変容に上手く適応させたことに成功の秘訣はあるのかもしれない。新興メーカーゆえにグローバル市場の影響が軽微だったこともあるだろう。伝統的な市場への革新的なアプローチが優れた決算となり、力強く持続的な成長に繋がったのだろう。

Centrus Energy 

Centrus EnergyはNYSE Americanに上場するエネルギー企業だ。エネルギーと言っても様々だが、同社の場合、原子力発電に伴うウランやそのサービスを各国に提供するのが主な生業である。

Centrus Energy の株価推移

各国のエネルギー需要や政策に左右されることの多い銘柄であるものの、この成長を大きく手助けしたのはエネルギー価格の高騰とロシアのウクライナ侵攻だ。ロシアから天然ガスやウランが輸入出来なくなり、ウランの先物価格は数倍に跳ね上がった。さらに各国はエネルギー政策を見直しせざる得なくなり、原子力発電の再稼働や新設も噂される。

Centrus Energy の損益計算書より抜粋

資源高の影響を受けているという点では日本の商社株に似ている。しかし、既に巨大企業であるが故に売上高の伸長はそれ程でもなく、これまでの推移はバリエーションの見直しという気がする。

おわりに

今回はelf beautyとCentrus Energyを見てきた。どちらも日本の話題株ではないが、社会のイベントを的確に捉えて好業績を示しつつ、実力以上の大きな期待値を背負っているという気もしている。elf beauty は販売管理費の抑制と売上高の伸長が課題だし、Centrus Energy はウラン価格に依存しない利益モデルが求められているに違いない。私はどちらの業界にも属していないが、近しいビジネスを生業にしている人は思うところがあるかもしれない。これまで5年でX10バーガーを実現した銘柄を辿ってきたが、次はそのスパンを10年に広げて深掘りしてみたいと思う。



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