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2022年の振り返り

祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。
2022年の除夜の鐘もとっくに鳴り終わり、2023年も1か月過ぎてしまった。

振り返りを書こうとしていたが、なかなか時間が取れず。振り返りの時期はとっくに過ぎて、ほかにやるべきタスクは積み上がり、仕事もプライベートもすべての期日を無視してしまっている今日この頃。

忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず。まさしく平家物語の重盛公よろしく、自分の進退がここに極まったことで、ほかのタスクを振り切って、まったく義務の発生しない振り返りを書く決意が付いたのだ。

というわけで2022年も振り返る。特に反省とかはない。

1.読書にハマる

2021年の年末に、ふと「年間100冊くらいは本読みたいな」と思って記録を付けて本を読み始めた。
残念ながら100冊に達することはできなかったが、2022年は80冊近くの本を読むことができて、さらに10冊くらい積読を積むことができた。

老後くらい暇にならないと読まないだろうなぁと思っていた「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」(全30巻)にも手を付けてしまった。2022年だけで全部を読み切ることはできなかったが、ちょうど半分15冊を読了することができた。

文学全集など一生読むことはないだろうと思っていたが、実際に読んでみると想像以上に面白かった。中島敦の良さを再認識したり、全集にいなければ自分で手に取ることはなかったであろう宮本常一、須賀敦子という好みの作家を見つけることもできた。

半分は明治以前の古典で、初めは古典なんて詰まらんだろうと思っていたが、現代作家による現代語訳が教科書的な訳ではなく各々独自色がかなり大胆でいて良くできていた。小説としても面白く読める。
逆に何も手が加わってない明治~昭和初期の作家のほうが読むのがつらい。

半分まで読んでいったん中断している。さすがに残りは老後まで残しておきたい。

2.コロナにかかる

今年ついにコロナに罹った。感染経路は不明。特にやましい店に行っていたとかもないし、コロナ禍3年目ということもあり、周りも自分も「まぁ罹ってしまったね。こういうのは順番だから」という感じ。

放って置いても人は死ぬし、女と寝るし、コロナにかかる。そういうものだ。

比較的感染者が少ない期間に感染したのでせっかくだからホテル療養も体験してみた。部屋に缶詰で弁当はそんなにおいしくなく大変という噂だけ聴いていたが、別に缶詰もそんなに苦ではなく、思ったよりも快適で弁当もおいしかった。

3.走る

体重が増えたので、コロナ前にやっていたジムのランニングマシンを再開した。最終的にGWからはじめて年末までに約1000kmランニングできた。

おかげでちょっと痩せて履けなかったジーンズが履けるようになったが、それ以降は走った分だけ食べたので体重はコロナ前より減りはしない。むしろ微増。こういうのは痩せないことを責めるより、だいたい100km走ると体脂肪1㎏の消費に相当するので、もし何も運動しなかったらさらに10kg太っていたと考えよう。

せっかく走るようになったのでハーフマラソンにも挑戦した。はるか昔に1度だけ走ったときの記録が2時間ちょっと越えだったのでそれを更新することに挑戦。

結果として1時間52分で完走。目標は更新できたので良かった。走ることの面白さも感じるようになったので、来年はもっと記録を縮めることを視野にランニングを続けたい。

4.マナビDX

昨年も参加した経産省の機械学習やAI取得のための自主学習プログラムに参加した。

昨年に引き続き参加して良かった。この話は改めて参加した結果を整理して記事にしたい。

5.今年の音楽


・the CHANG / 休日~Holiday~
90年代のオシャレ曲ってこんな感じよね~、と勝手に感じ入る一曲。
「休日なのにやることがない」ことをつらつらと語るポップで都会的な歌詞は渋谷系の系譜でもあるし、シティポップに通ずるとこもある。
売れなかったようでCHANGに関する情報がネットにほとんどない。どんなバンドか知りたいので再評価されて情報が発掘されてほしいという気持ちがある。
80年代シティポップが2020年代に再評価されたので、たぶん2030年ごろに評価されるでしょう。

・吉澤嘉代子 / 鬼remix
若い女性のフェミニンな情緒の表現がよい。
女性が抱える生きづらさとか鬱々とした感情のような重いテーマではなく、女性の生きる様そのままを明るくコミカルに描いていて素直な気持ちで応援したくなる。うら若い複雑な乙女の感情表現を、若くない単純な30代男性が聴いて良いと感じているのだからすごい。

昔から好きだったが、本曲は今まで一番好み。

「やめて!追いかけないで!やっぱり追いかけて!」と矛盾するサビの終わり方と繰り返し流れるラムちゃんが立腹する映像がマッチして良い。

・Vaundy (milet*Aimer*幾田りら)  / おもかげ
昼飯食べてるラーメン屋で流れていた曲。こういう時にスマホの音楽検索機能が助かる。(なおこの曲は大流行して常にどこかの店で聞くことになる)
知られていない曲に出会うことが好きなので、大衆に売れてから知った曲は聴かないことが多いがVaundyはこの曲を知ってからバンバン聞くようになった。
本曲含めてVaundyは全体的に曲の抑揚がいい意味で裏切ってくれる。「ここは来るでしょ」というタイミングでフカされて「来ないのかな?」というところでアゲる。でもそれがいい。

・土岐麻子 / mirrors
2021年11月に発表された曲。実に今どきの曲らしさを感じる。
「何が今どきらしいのか?」と言われても正直、音楽理論的な部分は全く分からない。ただ歌の入りの抑揚のつけ方とか、サビの「キラキラ」と「心地よさ」が同居した部分に自分は今っぽさを見出している。
これが少し古いJ-popだと、歌の入りははっきりとていて力強いし、サビはキラキラした心地よさではなくてギラギラとしたリズムに寄っているイメージ。
こういう時に音楽理論を知りたいと思う。そもそも楽器もろくに引けないのだが。

・Nujabeats / Horn in the middle
2022年にNujabeatsを初めて聴いたとき、こんなに今風な曲調なのに作曲年が2010~2012年であることに驚いた。
何て呼んでいいかも分からないようなアーティスト名だし気になって調べてみると、アーティストの読み方がヌジャベツであること、ヌジャベツは日本人であること、そしてヌジャベツは交通事故で10年前に他界していることを知った。肩の力ががっくりと抜ける。
今の時代を10年も前に先取りした音楽というのか、彼が今の音楽シーンを作ったというべきなのか。

・矢船テツロー / 59番街橋の歌 feat. 野宮真貴
ピアノによく合う温かみのある声が◎。
カバー楽曲が多いが、オリジナル曲もジャズの心地よいリズムと優しい歌声がよくマッチしていつまでも聴きたくなる。

・Squall / INO hidefumi
ジャズを基調にオルタナティブで浮遊感のある音楽と歌詞。かっこいい。
特に本曲はイントロがかなり好み。大粒の雨粒がボタボタと落ちてくるようなキーボードと入りの「かりそめのサスティン」という不思議なフレーズを何度も聴きたくなる。

今年もっとも聴いたアーティスト。これは歌ものだがインストも半々くらい。どれもよい。蘇州夜曲のインストもかなり聴いた。

・呂布カルマ VS 鎮座DOOPNESS (STUTS beats)
自分の中でフリースタイルダンジョンブームが起きて色んなバトル動画を漁っていた中での個人的ベストバウト。
まず前座のトリプルファイヤー吉田 vs.呂布カルマの吉田の切られっぷりが非常に良い。吉田の駄目さがタモリ倶楽部を通じて民衆に伝わってきたころの動画だろう。ダメ人間素人がトッププロに体当たりで挑んで完敗する様が絵になっている。敗者の美しさ。
転じて決勝は呂布カルマがビシビシとdisを繰り出す一方で、DOOPNESS特有の軸をずらしたスタイルが伯仲していて面白い。特に決勝2回戦目がベスト。

・Ginger Root / 君に胸キュン
発音良すぎて日本人かと思ったが中華系アメリカ人とのこと。この曲を聴く限り日本人だと思わないほうが難しい。
オリジナル曲もミュージックビデオが80年代日本をかなり意識してユーモアがあふれていて実に自分好み。

・高畑正義 / ON GUITAR
アルバムジャケットが目に入った瞬間、ジャケットに載った立ち姿で中身を見なくても名盤と分かった。これで曲が大したことなかったら逆にすごい。
ジャケットのイメージを全く裏切らない、想像通りの音を聴かせてくれるタイプのおじさん。

・九月の海はクラゲの海 / MoonRaiders
30年前の前衛的な音楽バンドが様々な実験的な音楽を作ってきた中でこの一曲だけ今の自分にピンズド。イントロ、サビ、歌詞を通じて幻想的なイメージのロック。30年以上前に作られたにもかかわらず全く色褪せた感じがしない。

・小坂忠 / しらけちまうぜ
ふとしたきっかけで知った小坂忠。この曲を気に入って何度も何度も聴いた。そんな小坂忠の訃報を知った2022年。しらけちまうぜ。

・METAFIVE / Wife
METAFIVEのお蔵入りアルバム「METAATEM」が正式発売されることが発表され、それにあわせてMETAATEMで一番好きな曲「Wife」のミュージッククリップがショートながら公開された。

アルバム発売に嬉しさ半分、初版で「セカンドアルバム」と書かれていた場所に書かれた「ラストアルバム」の表記に悲しさ半分。
「ラスト」とはきっと最新という意味だと信じて。いつまでもあっていいんだMETAFIVE。

…ということをつらつらと下書きしているところに入ってきた高橋幸宏の訃報。

カーラジオから流れてきたこの曲(RADIO)のタイトルが知りたくて、曲が終わってDJが曲名を言うまで車を止めたのが初めて高橋幸宏というミュージシャンを認識したときだった。

YMOやサディスティック・ミカ・バンドからの高橋幸宏ファンたちからすれば自分は大したことはないが、それでも本当に永遠にMETAATEMが「ラストアルバム」になってしまったことは「喪失」や「悲しみ」という単語で片付けることはできない。

6.2022年の総括と反省

冒頭の通り特に反省とかはない。

「驕れる者も久しからず ただ春の夜の夢の如し」と「人並みに驕れや 一夜一夜にひと見ごろ」はちょっと似ている(似ていない)。

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