「シアワセ」第五話

それからしばらく彼らが会話をすることはなかった。学年集会ではバンビのクラスを常に確認し、移動教室の際には必ずバンビを目で追った。しかし一度バンビと目が合うと晋作はすぐに目を逸らし、その後はバンビの方を見向きもしない。

そんな態度をするものだから、バンビの方も晋作が自分に対して怒っていると勘違いしてしまい。彼らのすれ違いは深まるばかりであった。

学年が変わり彼らは2年生になった。晋作とバンビはもうお互いのことを気にすることなどなくなっていた。お互い自分たちの周りのことで忙しく、考える暇などなかったのだ。

しかし完全に忘れていたわけではない。

Instagramを通して二人はかろうじてつながっていた。 お互いの状況をなんとなくではあるが把握することができていた。

そう、バンビに彼氏ができたことも晋作は当然知ることになった。

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