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エストニア訪問記(1)「エストニアについて」

エストニアを訪問した備忘録を残します

ご存知のとおり、エストニア は 旧ソビエト連邦 の崩壊後に独立した東欧諸国の1つで、フィンランドとは海を挟んた南、東は強大なロシアとの国境で接する東欧の国です。EUにも加盟していますが、以外と正確な場所をご存知ない方も多いのではないでしょうか?
そのような歴史を持つ エストニア は「電子政府」など、以下の取り組みで世界に知られるようになっています。

・「電子政府」として成功したと言われている
・e-Residency で海外から電子国民になれる
・スカイプなどユニコーン企業を生み出している
・電子政府のシステムソースコードを公開

今回、私の複業先の佐川町役場の中澤副町長より紹介いただき、運よくエストニア政府組織や、インキュベーション施設などに行く機会を得ました。(無論、自腹です。)その体験をこちらで何回かに分けて備忘録を残したいと思います。

エストニアと高知県の比較

そもそも、エストニアの国としてのおおまかな経済力を知るために、私が住む高知と簡単に比較してみます。

最初に、国家を運営するために重要な歳入を双方のデータが揃う直近の2017年度で比較してみます。
高知県の財政(*1)を参照すると、歳入は 4,592億円(内、自主財源は31% 約1,421億円)です。一方エストニアの歳入は約10,832億円(2017年度91.8億ユーロ、1ユーロ118円換算)で、高知県の倍以上の収入を確保できています。
自主財源ベースで比較すると約7.5倍となり、もはや比較対象にもなりません。エストニアの人口は(139万人)高知県の倍ですので、仮に高知県の自主財源を倍として換算しても、エストニアは高知の約4倍の歳入を確保していることがわかります。

続いて、民間も含む全体的な経済活動をGDPで、双方のデータが揃う直近の2016年度比較してみます。
高知県のGDP(*3)を参照すると 24,194億円です。一方エストニアのGDPは 24,978億円です。単純比較はできませんが、エストニアと高知のGDPはほぼ同等程度で、大きく違わないと言っていいでしょう。
人口は高知県が約70万人で、エストニアの約136万人の半数程度で、以外なことに1人辺りのGDPは高知県の半分程度であることがわかります。この結果は予想外でした。
確かにエストニアは工業国ではなく、ITを除けば農業と観光立国といった感が強く、工業・商業でGDPを押し上げる要因が少ないのかもしれません。

上記は県と国家の比較ですので、税制面や外交費、防衛費などの県にはない支出も多くあることが想像され、単純な比較はできません。ですが、GDPが高知県とほぼ同じで、自主財源を約7.5倍も確保しているということは、エストニアは一人辺りの国民負担も大きいことが想定されます。(人口が少ない国ですので当たり前なんですが。)そのためか、電子国家は「国民のため」という視点を常に意識して進められているように感じました。
また、彼らの視点が電子国家のIT技術を産業として育て、外商を意識しているのは、この辺りの要因が強いのかもしれないですね。

エストニアに関する情報

その他、エストニアに関する情報は以下の Wikipedia 他に詳しくまとめられていますので、そちらを参照すると良いでしょう。

Wikipedia(エストニア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%A2

世界初、「国境のない国」エストニアのデジタル戦略
https://forbesjapan.com/articles/detail/18294

エストニアの「電子政府」を可能にした3つの成功要因
https://forbesjapan.com/articles/detail/19386

エストニアが「電子国家」に生まれ変わった本当の理由
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/13/news010.html

電子政府先進国エストニアに学ぶ--行政サービスのデジタル化のヒント
https://japan.techrepublic.com/article/35134975.htm

Estonia creates a public code repository for e-governance solutions
https://e-estonia.com/code-repository-for-e-governance/

エストニアのe国民になれるe-residencyとは
http://keisuke-chiba.hateblo.jp/entry/2017/08/04/175846

参照データ

*1 平成29年度高知県の財政
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/110401/files/2008123100544/file_20174241142754_1.pdf

*2 エストニアの歳入・歳出の推移
https://ecodb.net/country/EE/imf_ggrx.html

*3 平成28(2016)年度高知県県民経済計算の概要
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/111901/kenminkeizai.html

*4 エストニアのGDPの推移
https://ecodb.net/country/EE/imf_gdp.html

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