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螺鈿4:螺鈿の素材作り

おはようございます。
今日は朝から薄く広く雲が広がっていて曇りの穏やかな朝。

さて、螺鈿に関して、貝独特の光沢を生かして装飾を施すことということを学んだけれど、特定の貝がもつこの独特の光沢の真珠層を、どのように螺鈿の素材にしていくのか。早速掘り下げていきたい。

真珠層の取り出し方

昨日学んできた通り、貝殻の一番内側の真珠層は、その厚さが約0.2~0.5ミクロン程度の霰石結晶と有機基質の薄膜より構成されていて、レンガ状のアラレ石結晶が貝殻内表面に平行に堆積した形になっている。
螺鈿に使うためには湾曲した貝殻の状態から、その光輝く層を薄く平らにしていく必要がある。

螺鈿に使う貝は厚さによって厚貝・薄貝に分けられる。
厚貝は厚さ1〜2mmまで削った貝を使用した螺鈿の技法。
まずは曲線を帯びた貝を平らにするため3cm程にカットし、厚さが2mm程になるまで砥石で削り文様を切り出す。

一方で薄貝はその仕上がりから青貝とも呼ばれ、砥石で擦ったり煮て薄く剥がしたもので、厚みは0.1ミリ以下。貝の裏に金や銀などで色をつける裏彩色という技法もある。薄貝の制作方法は2つある。

摺貝

摺貝(すりがい)とは、漆芸の薄貝螺鈿に使われる「薄貝」の一般的な制作方法。
厚貝で行っていた削り出しを、もとの貝を砥石でより薄く、約0.06~0.08mm の極薄の厚さにまで「摺りおろし」て作っていく。何層にも重なった真珠層を平らに摺 りおろすので、木目状に真珠層が現れそれ自体も模様となる。

具体的に鮑を例に見ていこう。
鮑は貝の深さがあるものが雄、比較的平らなものが雌らしい。まずカバーのついた丸ノコでアワビの原貝を約3cm幅にスライスしていく。
スライスしたら、貝の内側を回転式の荒砥石で平面を研ぎ出していく。貝を棒で押さえつつ、 慎重に平らな面を作っていく。
なお約0.06~0.08mm の厚さに貝を摺りおろすのは大変難しく、熟練した技術が必要とされる。大変薄く摺りおろすために、熱で破れないように水をかけながらの作業となる。

へぎ貝

1 週間ほど貝を煮て、貝殻を柔らかくしてから、貝の真珠層を剥がして作っていく。機会がなかった時代には主に大きな貝殻の夜光貝で用いられたが、時間と手間がかかるため今ではほとんど行われておらず、現在沖縄で一部用いられている。

こうして薄くなった板状の真珠層の板状のものがメインでの螺鈿としての素材になる。この過程で出た、真珠層のかけらも同様に光沢はあるため、細かく敷き詰めていく加工の材料として、破片の状態のものから細かな粉になったものまで貝粉と呼ばれる素材としても扱われる。


*上記の情報は以下のリンクからまとめています。

https://www.museum.toyota.aichi.jp/wp-content/uploads/2022/08/第12回.pdf


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

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