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紫がたり 創作部分解説『玉鬘』前編

みなさん、こんにちは。
本日も私の書く源氏物語の創作部分について綴ろうと思います。

先日掲載が終わりました『玉鬘』の帖についてですが、原本をご存知の方はかなり創作されていたことにお気づきになるでしょう。
夕顔が六条御息所の生霊によって呪い殺されたことは夕顔の帖で描かれておりますね。
そして今尚も御息所の霊によって夕顔は苦しめられている、というように創作しました。これは後々御息所の霊が死しても尚紫の上を苦しめ、女三宮を出家させるという悪行を為すことにつながるお話にしたかったからです。
源氏が苦しめた女性が死んだ後にも源氏を苦しめ続けるわけですね。
 
六条御息所という女性はとても興味深いです。
女性の本質そのものというか、自分の気持ちに素直な女性なのだと思います。
そして常に感じることは、愛と憎しみは表裏一体であるということ。
根っこは同じ感情であるように思われるのです。
愛に囚われて執着することと憎しむことで執着し続けることは同じように感じます。
御息所は他の女性たちを殺してでも近づけたくないほどに源氏を愛していたのでした。それはあの世に行ってもその想いを断ち切れないほどに。
 
人は三途の川を超えてあの世に行くと、長い道のりを歩むうちにも生前の記憶が濯がれて次の世に生まれ変わるのだと言われています。
六条御息所はまさにこの道を外れて源氏に執着し続けるのです。
それが究極の愛なのでしょうか?
それもひとつの捉え方です。
御息所には憐れを催しますが、世にも稀なる光る君はそれほどに人を惹きつけたということでしょう。
ともかく魂が迷うほどに君を愛した女人を作り出したのは罪深いことですね。
それによって物語が野次馬根性と申しますか、人とひきくらべて安心できる群衆心理のようなものを満たせる効果を得た次第です。そう考えますと実に深い物語なのです。
 
受験生の方や学生さん、私が書いた源氏物語は多分な創作部分、省いた部分がありますのでお気を付け下さいね。
 
明日も『玉鬘』の帖の創作部分について説明いたします。


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