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『光る君へ』第10話を観て・・・ ※ネタバレあり

みなさん、こんばんは。
次回、『令和源氏物語 宇治の恋華 第百三話』は3月14日(木)に掲載させていただきます。
『光る君へ』第10話、これまで度々花山天皇出家(寛和の変)に言及しつつ、とうとうこの時がきましたね〜。(長かったです)
さて、今回ではラブストーリーも大きく展開致しました。


 まひろと道長の逢瀬

直秀の死はまひろと道長の心に大きな陰を落しました。
しかしながら二人の捉え方が真逆であるのが印象的でしたね。
道長は右大臣家の若君であること、その重責から逃れたいとまひろと共に海でも見える国に駆け落ちをして、慎ましく暮らしたいと願います。
「俺はまひろと出会うためだけに生まれてきたんだ」
とは、何とも情熱的な台詞です。
しかし、それは現実逃避にしかなりません。
まひろが言うように、貴族出身でひもじい思いなどしなことのない道長が、生きるために魚を獲り、木を切り倒して暮らすことなど到底無理に違いないのです。
山賊などに出会えば身を守れるのでしょうか?
何より大事の政変を控えて、元来性質の穏やかな道長には父のプレッシャーなどから逃げ出したいと思ったのでしょう。

それに対してまひろは、道長が高貴な家に生まれたのはそこに使命があるからだと諌めます。貧しい者たちが虫ケラ同然に命を落とす世の不条理を正すためには、そうした大臣にも上る家柄の者でなければ政事を導くことなどできない、ということをまひろはこの段階で理解しているわけですね。
なるほど父の為時が常々「お前が男であったら・・・」と繰り返す台詞が生きてくるわけです。
頭ではそう理解していても、男女である二人は当然のように互いを求めました。
以前の感想文で、今回の大河はけっこう何でもアリなので、「もしかしたらまひろが道長の子を産んじゃうんじゃないの~?」と漏らしましたが、どうやら本格的にそうなりそうです・・・(?)
来週の予告で後に夫となるべき宣孝(佐々木蔵之助さん)のワンカットに、どうやらまひろが身ごもるような気配が。。。
そしてそれを庇護するべく宣孝が結婚を仄めかす、という構図が見えました。
道長とまひろの恋はどう考えても前途多難です。
来週には、未来の道長の正妻・源倫子(黒木華さん)からもマウントされてしまう流れでしょうね。
要注目です。

 花山天皇の出家

10話の肝はやはり花山天皇の出家でしょう。
冒頭で、右大臣・兼家が息子たちを集めて諮りごとの全貌と細かい段取り、それぞれの役目を言い渡しました。
これは露見すればたちどころに失脚する大それた政変です。
そして失敗した場合には一族の繁栄の終わりがそこにあるのです。
兼家の娘・栓子(吉田羊さん)は父のやり方に疑いと不満を持っておりますので、その陰謀を父から明かされることはありませんでした。
ですがやはり兼家の娘、何事かあると大きく構えておりました。
兼家の子供たちのなかでは、栓子が一番兼家に似ているのではないでしょうか。さすが後に女院となって政治に携わることとなる女傑です。
吉田さんの気迫のある演技はまさにドンピシャですね。
計画は緻密に計算され、安倍晴明の示唆の元、速やかに実行されました。
それにしても、右大臣が一族を守るために道長の立場を保険として立ち居振る舞わせるというのも見事ですね。
バカ騒ぎをしていた義懐(高橋光臣さん)が滑稽に見えるほどで、やはり驕れるものはこのような顛末を迎えるのであるな、と教訓めいておりました。
道兼に裏切られたと知った時の花山天皇の顔が。。。
本郷さんはやはりお芝居が上手いですね。

ところで、まひろの父・為時が他に通う高倉の女、というのはどことなく儚げで夕顔へのオマージュだったのでしょうか。
劇中劇が制作されないということなので、ところどころにエッセンスが散りばめられており、一時も気が抜けない今年の大河ドラマであります。

そして藤原行成は道長のよき友ですね。
たしかに歌を詠んで漢詩で返してくる女子は珍しいと思いますが、そこに確固たる信念を感じると道長に示唆するのはなかなかです。
能書家としても知られておりますので、密かなファンも多いようです。
渡辺さんがまた優しい風情でとても好もしいですね。

今朝のNHK朝イチで平安文学風の文字を書くというコーナー。
書家の先生の筆運びも美しく、たしか吉高さんは
「左利きなので平安文字を右手で書くのが大変だった」
とインタビューで答えていたのを思い出しました。
女優さんは役によって、琵琶を演奏したりと大変だなぁ、と思った瞬間でした。
さて、来週はどうなることやら・・・
では、また来週☆


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