見出し画像

『光る君へ第14話を観て・・・※ネタバレあり』

みなさん、こんばんは。
次回、『令和源氏物語 宇治の恋華 第百二十三話』は4月11日(木)に掲載させていただきます。

第14話は兼家なき後、政治の政略図はまた次のフェイズへと移行していきますね。


 巨星落つる

ご存知、安倍晴明(ユースケさん)は星読みを得意としたスーパー陰陽師です。兼家(段田安則さん)の命に翳りがあることはとうにお見通しで、自分も力が衰えたと言い逃れて13話ではあえて示唆、明言はしませんでした。
それは星読みから得た運命の流れを変えることを憚り、兼家は退場の時であると、静かに引導を渡したことに他なりません。
兼家は花山天皇の女御と御子を呪詛によって葬りましたが、その手が血で汚れていることに恐れをなしておりました。
それゆえ出家という道を選んだのでしょう。
そして、源明子(瀧内公美さん)による呪詛は恐ろしい形で結実しました。
見事呪詛は成功しましたが、明子はその代償のように授かった子を流産してしまいます。
人を呪わば・・・、といいますが、子を亡くした悲しみに打ちひしがれ、表情の乏しかった明子が道長の優しさに心を動かしてゆく演技は見事なものでした。これから夫婦はより打ち解けて絆を深めてゆくのではないでしょうか。しかして明子はその道長の父を呪詛によって殺したという事実をどのように背負ってゆくのでしょう。
深い苦悩がまた彼女を襲うのではないかと思われます。
それこそ人を呪った報いでしょうから。

さて、話は変わりますが、兼家は剃髪して今まで通り邸に起居しておりましたね。現在の我々でいう在宅出家のようなスタイルがやんごとない平安貴族の出家でした。
源氏物語でも、藤壺女院は尼削ぎにして三条のお邸にてお勤めをされ、息子の東宮に会いに参内することもできたのです。
しかしながら、特に女性が出家することを「落飾」と表現するように、まさに女性としての人生が終わるというのは、女人たちはかなりの覚悟をもって臨むわけでした。女人の美しいとされる長い髪を捨て、化粧もせず、はでやかな色味は着けてはなりません。女院は息子を守るという確固たる信念のもとに未練を滲ませる源氏を断固として退けた意志の強い方でした。
そしてここで今ひとつ、女人にとっての「還俗=俗世に復帰すること」とは、政治的な思惑や男性の都合ばかりのもので、男尊女卑の平安時代にあっては女性の意志などあってないようなものでした。
浮舟が阿闍梨から提案された還俗も薫大将への忖度でしたが、惨めさに苛まれ、再びの愛欲地獄を浮舟は望みませんでした。
すでに捨てた者と慕ってくれた弟とも二度と会いませんでした。

ともあれ、朱雀院やその娘の女三の宮も同じ兼家スタイルの出家ということです。この辺りも源氏物語のオマージュと取れなくもない部分でした。

 まひろと桔梗

兼家の長男・道隆(井浦新さん)が、父の跡を継ぎ一門の長となりましたが、そのあまりの依怙贔屓ぶりに一波乱ありそうな予感です。
若年の息子・伊周(三浦翔平さん)を蔵人頭にして、娘・定子を有無を言わさず中宮にするとは、結構暴挙でしたね。
温厚と見えた長男は道長に根回しするよう命じましたが、その独裁面が目立ってきます。

優しそうだったのに。
弟の道兼を励ましてたじゃん。
そんなだったっけ? お兄ちゃーん!

ミーイズム先行というか、どの社会でもそうですが「折り合い」は重要ですよね。あの兼家さんだって、左大臣嫌いだけど〜、って、そういうとこ慎重でしたヨ。
「今回これで、次は頼むよ」
的な、さじ加減が道隆には無いのですね〜。

さて、さて。
ともあれ、表向きは「姫君たちの和歌の集い」。
実質は伊周の花嫁選びの会に招聘されたまひろは、知的な部分で共感しあうライバル(と書いて、「友」と読む⁉)ともいうべき桔梗(清少納言)と再会します。
5年も経つとお互いに色々あったようですねぇ。
桔梗は夫も息子もありますが、キッパリ捨てて宮中に仕える旨をまひろに明かしました。
その決意表明も、まひろに理解してもらいたかったのでしょうね。才女として認め合いながら、その生きづらさを共感できるのはまひろだけと考えたのではないでしょうか。
NHKドラマは一年の長丁場ですから、エンターテイメント性上等だと思います。
実際に紫式部と清少納言が宮中に顔を合わせる前から知り合いだとか、後に紫式部が道長の召人の君となっても、幼なじみだったとかはザッツ・エンターテイメントなわけです。
そこのあたりをふまえて・・・

また、来週☆


この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?