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『光る君へ』第21話を観て・・・ ※ネタバレあり

みなさん、こんにちは。
『光る君へ』第21話のタイトルは「旅立ち」でした。
本格的に舞台は越前へとシフトします。


 定子の出家と伊周の足掻き

中宮定子(高畑充希さん)の突然の出家はそれはもう大騒動でした。
一条天皇(塩野瑛久さん)もお怒りに・・・。
源氏物語にもあるように出家とは「落飾」し、女性としての人生を終えることです。夫婦は今生の縁を切り、御仏にお仕えするのですね。
藤壺中宮が源氏の懸想から逃れ、御子を守るために世を捨てますが、それは母としての強い心をもってなされたことでした。
頼りの桐壺院が崩御し、源氏は後見として藤壺女御と東宮を見守る役目にありましたが、源氏は初恋をいつまでも忘れることはできませんでした。
そして内裏を出られた藤壺中宮のお邸に忍び込み、三度目の関係を宮に迫るのです。
世は朱雀帝の御世。
弘徽殿大后と右大臣に牛耳られ、隙を見せようものならば足元を掬われ、東宮が帝に立つ未来は望めません。
源氏とのことが世間に知られることはあってはならないものの、それを当人は理解しようとしないので、藤壺中宮は独断で髪を下ろされました。
源氏という人は困ったもので、「自分は宮に捨てられた」と勝手に拗ねる始末で、自分のことしか考えていないのが残念ですね。
宇治のお話では失踪した浮舟が男性からの懸想を逃れるために出家しますが、助けた僧都は諸々の事情を把握して浮舟に還俗を促します。
しかし、浮舟はそれを拒んで尼として生きることを決断するのです。
「還俗」というのも、男性に都合のよい方便ですね。
来週の22話ではどうやら中宮定子の懐妊が明らかになり、出産が描かれるようです。
史実では定子は姫宮を生み、還俗させられ、再び一条天皇に寵愛されるのです。一族があのようになり、孤立無援で内裏にあるというのは心細かったことでしょう。
しかし伊周(三浦翔平さん)みっともないですね。
これから出家するとか言い訳ばかり。
妹は腹を括ったというのに、母親同伴で流罪先に赴こうとは。
道長と実資は命令に従っただけなのに、とても非道に見えてしまいました。

 枕草子誕生

紫式部と清少納言が仲の良いお友達、というぶっ飛び設定により、誕生となった『枕草子』。
御料紙を賜るという逸話が差しこんでありましたが、紫式部が清少納言にアドバイスして『枕草子』が生まれた、というのは無理があるような・・・。
まぁ、ドラマですから。。。
    と、何度言ったことか。
中宮定子をお慰めするために書かれた、というのは本当だと思いますので、百歩譲ってヨシとしましょう。
しかしウイカさんは芸達者だなぁ、と私の中で清少納言=ウイカさんという認識ができあがってしまいました。

 やはり犯人は女院であった!

今回の女院(吉田羊さん)、右大臣(柄本佑さん)呪詛の顛末はやはり女院の自作自演でした。
倫子(黒木華さん)の仄めかしですっかり明らかになりましたね。
今回はスルーされずちゃんと犯人が分かりましたので、スッキリしました。
結局内裏の付け火騒動は誰が犯人だったのでしょう?
やっぱり女院?

それにしても中宮がいらっしゃる二条邸が炎上とは、これも付け火なのでしょうか。
私は最初定子さまが自ら火をつけて死ぬ気だったのでは?
と考えましたが、悪意のある付け火だったのかもしれません。
私が書いた源氏物語では、須磨に隠棲する源氏の状況を細かく描写した部分を加えました。
平安時代では「天下の大罪人」という烙印を押されるとその家の者たちは略奪や邸に火をつけられたりして世間のさらし者となりました。
源氏は紫の上や関わりの深い者たちがそのような誹りを受けない様、自ら須磨へ退去したのです。
それを鑑みますと、定子さまのいらっしゃる二条邸は伊周の足掻きや帝に対する不敬への戒めだったのかもしれません。

 いざ、越前へ

さて、長徳の変については『大鏡』に記されておりますが、為時の越前守大抜擢の経緯は『今鏡』に記されております。
ドラマの演出上まひろ(吉高さん)が申し文を書いて、道長それにきづいちゃったワン、ということになっておりますが、実際には為時が詠んだ漢詩が帝の目に触れて宋人問題にあたらせるというのは本当だったようです。
紫式部が源氏物語で数々の和歌を記していたようにこの越前に赴任する際にも歌を残しております。

 三尾の海に網引く民のてまもなく
     立ち居につけて都恋しも

(琵琶湖西岸にある三尾の海で網をめぐらせて漁をする民が忙しそうに網を引くのを眺めているのを見るにつけても都が恋しくてたまりません)

これを見るに、ドラマのように溌剌と旅を楽しんでいたようではありませんね。紫式部は行きたくもない越前に下向したということになります。
ともかく、ドラマなので・・・
(と、また言ってしまいました)
これからの展開を静観するとしましょう。

では、また来週☆


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